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全値戻協会本部~南無全値戻心経~の掲示板

FRBに緩和迫る影の主役
銀行向け融資増、廃止難題
日本経済新聞

米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じるとしたら、いつから、どのくらいの規模になるのか。2024年初の市場を覆う一大テーマだ。ここに「影の主役」として絡みそうな動きがある。昨春の銀行破綻でFRBがつくった緊急融資制度の残高が、今になって膨らみ続けているのだ。

5日の米市場では予想を上回る雇用統計と、さえないサービス業の景況感指数のはざまで米長期金利や円相場が揺れ動いた。早期利下げの楽観相場に懸けてよいのか、参加者は全神経を集中して探ろうとしている。

目を離せないのは指標だけではない。FRBが米国債などを段階的に減らす量的引き締め(QT)で資産圧縮を進めるなか、過去最高の更新が続く項目がある。「BTFP(銀行ターム・ファンディング・プログラム)」。3日時点の残高は1412億ドル(20兆円強)と2カ月で3割増えた。

昨年3月のシリコンバレーバンク(SVB)の破綻直後、FRBが危機の連鎖を防ごうとつくった緊急の融資制度だ。多くの銀行が債券価格の急落で保有債券に多額の含み損を抱えるなか、預金流出に直面したSVBは債券の投げ売りを迫られ、含み損があらわになって傷口を広げた。

最大の特徴は、銀行が含み損を抱えた債券を担保に差し入れても、額面で評価して融資する破格の条件にある。融資期間は最長1年。伝統的な連銀貸し出しだと担保は時価評価で、期間も短い。「BTFPによって米地銀危機は瞬く間に消え去った」(米オアンダ)

深刻な銀行危機が差し迫っている可能性は低いだろう。カギは1年物スワップ金利に0.1%を上乗せする基準金利の仕組みにある。市場金利がベースなので、利下げ観測が広がるなかで基準金利が下がり、「お得感」が増しているのだ。

BTFPの金利は、政策金利にほぼ連動する連銀貸し出しの基準金利(いわゆる公定歩合)のほか、準備預金につく利息(付利)も明確に下回ってきた。BTFPで得た資金を準備預金に置くだけで利ざやを稼げる。

パウエルFRB議長は昨年11月、制度の扱いを「1~3月に決める」と語ったが、利ざや稼ぎが中心なら延長を正当化できるかは微妙だ。

  • >>424

    深刻な銀行危機が差し迫っている可能性は低いだろう。カギは1年物スワップ金利に0.1%を上乗せする基準金利の仕組みにある。市場金利がベースなので、利下げ観測が広がるなかで基準金利が下がり、「お得感」が増しているのだ。

    BTFPの金利は、政策金利にほぼ連動する連銀貸し出しの基準金利(いわゆる公定歩合)のほか、準備預金につく利息(付利)も明確に下回ってきた。BTFPで得た資金を準備預金に置くだけで利ざやを稼げる。

    パウエルFRB議長は昨年11月、制度の扱いを「1~3月に決める」と語ったが、利ざや稼ぎが中心なら延長を正当化できるかは微妙だ。

    だが廃止が何の影響も及ぼさないと決めつけるのも乱暴だろう。銀行の資金調達を巡る潜在的な不安があるからだ。