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葵の落書きスレッド

葵の落書きスレッドの掲示板

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  • 1
  • 2023/09/01 07:05
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  • 葵ちゃんは、引っ越しました。

    逢いたい人は、アンジェス記事ストックへどうぞ

  • 女性が男性を選ぶポイント

    子孫の生存に有利な特徴を備えているか。
    つまり女性に選ばれる資質を持っているか

    1⃣見た目が優れているか
     本能的に

    2⃣良好な社会生活がおくられるか。
     社会と交わりを持てるか、知的な性質を備えてい
     るか

    3⃣良好な生活を送ることができるか
     金銭的に、平穏に、生き生きとして

    4⃣何者にも侵されず安心感をえら生活できるか。
      強い人間 性格、体力、社会的な要因

    このウエイト差の違いで好みが分かれる。

    葵の落書きスレッド 女性が男性を選ぶポイント  子孫の生存に有利な特徴を備えているか。 つまり女性に選ばれる資質を持っているか  1⃣見た目が優れているか  本能的に  2⃣良好な社会生活がおくられるか。  社会と交わりを持てるか、知的な性質を備えてい  るか  3⃣良好な生活を送ることができるか  金銭的に、平穏に、生き生きとして  4⃣何者にも侵されず安心感をえら生活できるか。   強い人間 性格、体力、社会的な要因  このウエイト差の違いで好みが分かれる。

  • >>176

    大きなバブルは2回崩壊する
    第2の「1カ月単位の乱高下」は、もっと大きな枠組みで、バブル崩壊が決定したことを示している。

    私の独自の観察として(だから異論は多くあるだろうが)、大きなバブルが崩壊するとき「必ず2回崩壊する」という事実がある。2008年のリーマンショックのときも、1年前にパリバショックがあった。

    日本のバブル崩壊でも、株価は1990年1月の大発会から大暴落が始まったが、それでも一気にはいかず、3月の年度末を越えて、暴落は峠を過ぎたかと思われたが、8月から真の大暴落が始まった。

    この理由は、1回目の暴落ではまだ儲かっている投資家が多く、センチメントとしては「いかん、バブル崩壊から逃げ遅れた、しまった」ということなのだが、財務的には余裕があるので、パニックで全員が一気に逃げるということはせず、タイミングを見計らって、次の崩壊前に逃げる準備を静かに行うからである。

    しかし、2回目のショックが来たときには、逃げる準備は整っているし、それまでに売れるものは静かに売ってきたし、逃げる準備は整っているから、一気に逃げるのである。あるいは、もう財務的に追い込まれて、投げるしかない投資家も続出するのである。

    今回でいうと、昨年9月の下落は、バブル崩壊が始まったことが皆、頭ではわかったが、まだそれを受け入れたくない、「中国だけだ」という言い訳をして、もう少しバブルに酔いたい、儲けたいという欲望が、崩壊を押しとどめたのである。

    賢明な投資家たちは静かに売り進めた。なぜなら、次のショックはアメリカの中央銀行FEDの利上げによるものであり、それは確実に起こることが誰にでもわかっていたからである。

    しかし、強欲な投資家は、あるいは、あとからバブルに参加して、もう少し儲けたいという甘えた投資家たちは、「まだ崩壊はもう少し先だ」ということを信じたかったし、そうしたかったのである。

    量的緩和バブルは終わった
    だが、11月にFEDの態度がより鮮明になり、さらに利上げは前倒し、そのペースも早まるということが明確になると、1度目の明確なバブル崩壊が起きた。しかし、ここでは完全に逃げ切れないから、売り場を作るために「バブルはまだ崩壊しない」という世論を作り上げ、「ナスダックなどのグロース株は終わりでも、コロナが終わって、これからは代わりにオールドセクターが実体経済の回復に伴い持ち直す」というストーリーでごまかそうとしたのである。

    ごまかしは効かなかった。2022年になってFEDの態度が決定的になると、もう終わりである。そして、それはわかっていたから、今回のFOMCを待たずに、クリスマスの終わり頃から売り始めていたのである。

    これが1カ月単位の投資家たちの行動であり、思考回路である。2度目のバブル崩壊。これは決定的であり、もはやバブルに戻ることはありえないのである。

    今後はどうなるか。短期的に一時戻すような動きがあれば、そこをとらえて、逃げ損なっている投資家たちが売る。売り損ねた分を売る。そして、さらなる売り場を作るために、少し戻す。しかし、徐々に戻す局面が少なくなり、戻る幅も小さくなり、下落が続くようになる。

    問題は、私が考える1990年からの実体経済の中期的な(一般的には長期的というだろうが、30年続いたバブルだから)バブルが終わり、長期停滞局面に入るかどうかだ。私は入ると思うが、そこは議論が分かれるところだろう。ただし、2009年に始まった量的緩和バブルは決定的に終わったのである。

  • 「量的緩和バブル崩壊」はすでに始まっている
    「30年バブル」が終了、長期停滞局面の入口に
    小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授 2022年01月29日

    筆者は「すでにバブルは崩壊している」と断言。パウエルFRB議長のもとで、長く続いたバブルが終了するのだろうか(写真:U.S. Federal Reserve Board/ロイター/アフロ)
    バブルはすでに崩壊している。崩壊の始まりは2021年9月。中国不動産バブル崩壊、恒大集団の危機がきっかけだった。

    だが本当の理由はバブルがすでに最終盤にあり、アメリカの中央銀行にあたるFEDがテーパリング(量的緩和の縮小)の開始時期を2021年11月に繰り上げ、さらに利上げ開始が2022年半ばまで前倒しされる可能性をFOMC(連邦公開市場委員会)で示唆したことだった。

    最高値更新前からバブル崩壊は始まっていた

    この連載は競馬をこよなく愛するエコノミスト3人による持ち回り連載です(最終ページには競馬の予想が載っています)。記事の一覧はこちら
    すでに昨年9月に本欄のコラム「世界のバブル崩壊がついに始まったと言える理由」で書いたように、崩壊は始まっていたのである。

    その後、NYダウ平均株価は大幅に回復しただけでなく、史上最高値を2021年11月に更新した。しかし、FEDがテーパリングを実際に開始すると、株価は同月末にかけて9月の水準まで大きく下落した。

    そして、2021年12月には大乱高下が始まった。1日の中でも乱高下し、値幅が増大した。12月前半は急回復と急落を繰り返しながら、同月半ばから急回復し、ダウは年が明けて2022年1月4日に史上最高値を更新した。

    しかし、ダウはそこから急落を開始した。1月24日は昨年11月末の水準を割り込み、直近の最安値を更新した。それよりも重要なことは、1日の上下の値幅が1000ドル近いことで、しかもそれが連日であったことである。

    そして、1月26日にはFOMCの結果が発表となった。テーパリングを3月初めに終了し、同月中旬の会合で利上げを開始し、その後の資産縮小の原則的な考え方をわざわざ文書にして公表。FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は記者会見で、さらに「資産縮小は利上げ開始よりも後であるが、前回の資産縮小よりもはるかに大規模」であることをはっきりと説明した。

    このように、バブル終了の号令は3回鳴ったのである。FEDが毎回のFOMCで「バブルは終わりだ」と2カ月ごとに3連続で宣言したのだ。バブルは決定的に崩壊したのである。

    決定的なバブル崩壊「3つの現象」
    バブル崩壊、バブルの決定的終了を示す現象はいくつもある。

    第1に、ナスダックである。アメリカのダウを見ていると、真のバブル崩壊のタイミングがわからない。だが、ナスダックのほうは2021年11月がピークであり、その後の下落幅はダウよりもはるかに大きく、調整局面入りを明示的に示している。さらに、2022年1月の下落は一直線の連日の下落である。

    第2に、ビットコインの暴落も激しい。テスラのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏の行動に惑わされている人々が多いが、何がきっかけにせよ、要はバブルが決定的に崩壊した。

    第3に、日本株はすでに2021年9月にピークをつけており、東証マザーズなどの大暴落は致命的に激しい。

    これらの3つが何を表しているかというと、大きくバブルになっていたものほど大きく下落しているということである。つまり、下落がすべてバブル崩壊にあることを示しているのだ。

    また、弱いところほど、バブル崩壊が即座に反映されている。なぜなら、バブルの最後はそれを受け入れたくないから、まだ暴落が始まらないところ、「相対的にまし」と思われるところに資金が一時的に移動し、売るタイミングを見計らう。そして、最後の聖域であるダウ構成銘柄も、持続不可能になってきた今は、完全なるバブル崩壊が示されたのだ。

    しかし、これでも、哀れな(あるいは個人投資家や投資の素人である一般メディアをバカにした)市場関係者は、言葉の上ではバブルの完全・全面崩壊を認めようとしない。

    「今後は一段と企業業績をよく見る必要がある」「勝ち組・負け組を見極めて、銘柄を選別する必要がある」などと言う株式アナリストの悲痛なアドバイスは有害である。

    大きく上がったものは大きく下がり、小さくしか上がっていないものは小さく下がるだけであり、今後、上がるものはほとんどない。バブルでも上がらなかった弱い銘柄は、今後も弱いので暴落はしないが、上がるわけがない。これは典型的なバブル崩壊時の風景であり、アナリストの言明パターンである。

    まあ、他人の哀れな姿などどうでもいい。重要なのは、現状の市場の状態の、より正確な分析である。

    バブルが崩壊した。ほぼそれは決定的だ。

    さてこのとき、第1に、なぜ毎日乱高下するのか。1日の中で大きく上がり、また下がるのか。そして第2に、なぜ昨年11月以降、乱高下を3回も繰り返したのか。この2つの、一見謎に見える現象は、実は謎どころか、最も明確な市場の現状を表しているカギとなる現象、最も明快な情報なのだ。

    そもそも「市場の現状」というものは存在しない、ということを肝に銘じておく必要がある。もっと言えば、そもそも「市場」などというものは、存在しないのである。市場とは概念にすぎず、実体はない。市場とは幻想なのだ。

    「市場」とは「投資家の群れ」にすぎない
    では、多くの人々が「市場」と呼んでいるものとは何なのか。それは、投資家の集合体である。市場とは、投資家の群れにすぎない。

    取引所とは、欲望にまみれた群れが、じゃれ合い、いがみ合い、ののしり合い、かみつき合い、そして、最後には一斉に逃げ出す場にすぎない。そういう場を提供しているにすぎないのである。

    市場とは「投資家の集合体・群れにほかならない」ととらえ直すと、今まで見えなかったものがすべて見えてくる。

    「市場の声を聞け」という言葉を使うのは市場も投資も知らない人々であり、「市場の声」とは投資家の声にすぎない。声というよりは、欲望から生まれた汗であり、叫びである。

    市場が「中央銀行の政策変更を催促する」とか、政府の政策に対して警鐘を鳴らしたとか、きれいごとを市場関係者は言う。だが、それは単なる投資家たちの苦情である。欲望が実現できないことに対する文句にすぎない。

    そして、バブル崩壊時の彼らの声とは、悲痛な叫びであり、それは取引所のおける売買行動として現れる。取引量が増えるのは、投資家たちが焦って右往左往しているからであり、動きが増えているということである。乱高下はまさに右往左往であり、どちらに動いていいかわからず、あるいはわかっているが、パニックで過敏に些細(ささい)なニュースに過剰反応し、七転八倒しているさまである。

    さて、第1の「毎日の乱高下」だが、これは投資家(およびトレーダー)のセンチメント(心理)を表している。小さなニュースに一喜一憂し、しかもその日の中で大きく動くのは、ファンダメンタルズや中央銀行、政府の政策に関するニュース自体にびくついているというよりは、ほかの人たちがどう動くのかにビクビクしていることを示している。

    「みんなが売っている、やばい俺も売らなきゃ」「みんなは買いに転じた、しまった売ってしまった、買い戻せ」などといった具合だ。そして、これら右往左往する投資家の動きに乗じようとするトレーダーも、トレーダーたちがどう動くかには異常に敏感で、その流れに乗り遅れまいとしている。そういう状況である。

    そして、より重要なのは、なぜ皆が超短期の流れに乗りたいと思うのかというと、自分にまったく自信がないから、というよりは、もうバブルが崩壊寸前、あるいは崩壊していることを認識しているから、ファンダメンタルズは無関係、トレードのモメンタム(勢い)だけが相場の動きを決めることを知っているからだ。そして、バブルは終わりだから、基本的には逃げ方向であるからである。

    したがって、毎日乱高下し、1日の中で上下に振れるのは、バブル崩壊を投資家全員が認識していることを表しているのである。

  • 「FIRE」は日本に根付くのか?不労所得で生きるという令和的価値観
    1/29(土) 6:01配信
    ダイヤモンド・オンライン

     昨今話題になりつつある「FIRE」について、さまざまな意見が聞かれる。不労所得というものは、日本の価値観ではいまひとつ受け入れられづらい面もあるが、果たして今後どれほど日本で根付くだろうか。(フリーライター 武藤弘樹)

    ● 働かずに生活する “不労所得推奨”のFIRE

     日本国内で「FIRE」という生き方が注目され始めているそうだ。これは「Financial Independence, Retire Early」の略で、生きていくためのお金を資産運用(などの不労所得)で確保して、仕事を早期リタイアする人生設計のことである。アメリカ発祥の手法・考え方らしい。

    “不労所得”という言葉を耳にする時、働いてお金を得ている多くの人は憧れと、「そうは言っても自分はちゃんと働いてお金を得ているし」という積極的な自己肯定のような強がりのような、複雑な思いが胸に去来するだろう。

     筆者の周囲から察せられる限り、“不労所得”という言葉は日本ではやや複雑な受け入れられ方をしているのが現状である。

     しかし、注目のFIREは不労所得の確保がその計画の根幹にある。巷では「20、30代が目標にしている」との言説も見受けられる(「本当にそうか疑わしく、投資関連企業のステマでは?」などという声もある)が、果たして日本でFIREは今後根付くのであろうか。これについて考えてみたい。

    ● 月々25万円を得るために FIREの基本的考え方とは

     FIREの詳細については、他にたくさん記事が出ているのでそちらに譲るとして、ここではごくおおまかにその内容に触れるだけにとどめておきたい。

     まずお金をためて資産を作り、目標額に達したら仕事をリタイアして資産運用をスタートさせる。すなわちFIRE生活の始まりである。多くのネット記事では年4%の利率を目指す「4%ルール」を基準としているが、これはその人の資産運用法によって3%にも5%にもなりうるようである。

     資産を7500万円ためると、年利4%で年に300万円(月々25万円)が不労所得で稼げるので、まあオッケーなのではないか……という算段である。資産7500万円は目減りすることなく、月25万円の収入をもたらし続ける錬金術の素材となる。

     しかし資産運用、すなわち投資であるから当然リスクはある。向こう何十年にわたって年利4%がキープできるとは限らないし、私生活で急な出費が余儀なくされる場合もある。資産7500万円が目減りすれば月25万円は確保できず、FIREは破綻する。

     また、FIREには投資の知識が不可欠であり、FIREを始めるならまず勉強が必要だが、その世界を知るほどもっとハイリターンな投資に興味を持つ人も少なくなかろう。しかしハイリターンということはイコール・ハイリスクである。そちらに食指を動かすと、現今知られる“FIRE”からはややニュアンスが離れていく。

     つまり、「不労所得で一生月25万円」といえばいかにもうまそうな話に聞こえるが、お金を計画通りにためたのち長きに渡って定額しか消費しない節制力、投資を学ぶ勤勉さ、投資リスクへの理解、FIREを貫く意志の強さ、早期リタイアでキャリアをいったん終えることへの覚悟、そして投資がうまくいくための幸運など、さまざまなものが必要とされる。実はハードルが高いのがFIREの本質である。

    ● “投資”に対する認識はどうか 日本と外国の差

     FIREも内実にはいくつか種類がある。「豪遊して暮らせる」「質素になら暮らせる」「生活は資産運用分で余裕だがあえて働く」などで、「頻度を減らした働きで得た収入と資産運用を合わせて生活していく」スタイルは特に“サイドFIRE”などと呼ばれる。

     だからひとくちにFIREといっても、その内情は人それぞれだが、資産運用は必ずベースとなっている。

     FIRE本国のアメリカは投資が盛んな国だが、さて日本で“投資”と聞くと、どうしてもきなくさい印象を持たれる向きが多いのではあるまいか。日本銀行がまとめた「家計の金融資産構成」データを見てみると、日本と外国の違いがよく見て取れて面白い。

     このデータによると、日本・米国・ユーロエリアの3者では、「保険・年金・定型保証」が共通して30%前後であるのに対して、「現金・預金」が米国13.3%、ユーロエリア34.3%、そして日本では54.3%となっている。では、その他のお金はどこに使われているかというと、株や投資信託、債務証券である。株だけを見てみると、日本10.0%、米国37.8%、ユーロエリア18.2%である。すなわちアメリカでは、いわゆる「お金に働いてもらう」が多く実践されているわけである。

     日本の「現金・預金」保有率は3者の中でずば抜けていたが、これは株式や投資信託などの“投資”的な資産運用に対する不信感の表れでもある。

     この日本人の価値観形成にはバブル崩壊が深く関わっているというのが私見である。バブルは、栄華なりし日々の様子とセットでその後やってきた大損害が語り継がれているから、「投資って致命的なリスクが付き物の非常に危険な試み」と考えられがちである。

     筆者は楽してお金を稼ぐために1年ほど本気で投資の勉強をしたことがあるが、「リスクのコントロールを顧みない投資は、“投資”的ではなくギャンブル的である」ということを学んだ(これに合わせて「楽してお金を稼ぐ道はない」ということも分かった)。

     だからFIREも「結局投資なんでしょう。怖い!」と最初は思われるであろうが、志してその道を勉強する人が増えれば「リスクをコントロールしてしかるべき運用を心がければ“投資”はただ怖いだけのものではない」という価値観に、わずかずつではあろうが徐々に上書きされていくかもしれない。

    ● FIREの誕生は令和を物語る? 時代のニーズによって生まれた人生設計

     それにしてもFIREというのは、非常に令和的である。多くの記事でうたわれているのは“平均的な収入の人でも目指せるFIRE”であり、つまり「質素になら暮らせる」FIREが紹介されている。

     それこそバブルの昭和などは、もっとガツガツした空気があって、欲が経済を成長させる推進剤としても機能していた。欲を抱くことは恥ずかしいことではなく、大志(大きな欲)を抱くことはむしろ美徳であった。また、「仕事をするのは偉いこと」といった風潮も今より強くあった。

     これらの風潮が、令和になるとだいぶ薄まってきた。若者はマイカーを欲しがらず、仕事最優先ではなくプライベートに重きを置き、“人生大成功巨万の富”より“人並みな生活とささやかな日常の中にある幸せ”を希求するようになってきた。むろん、そちらの方向に針が完全に振れたわけではないが、そう考える人の割合が増えてきたのである。

    “女性に人気のある男性のタイプ”の変化なども顕著である。昭和は濃ければ濃いほどよかったが、今は“草食男子”に代表されるように、あまり男くさくない方が喜ばれるようになってきた。

     つまり、令和は全体的にソフトになってきている。FIREが示唆する「質素になら仕事をしないで暮らせる」というゴールは、昭和に生きる人に聞かせれば「それでも男か!」と一括されそうだが、令和の今なら「そういう生き方もあるかもなあ」となんとなく受け入れられるのである。

     視点を変えれば「時代がFIREを生んだ」ともいえる。FIREが目指すところは、時代のニーズによくマッチしている。だから今後、FIREが完全なスタンダードになるとは現段階では想像しにくいが、特に20~30代の若者層を中心に一部では選択肢の一つとして考えられるくらいには浸透していくのではないか……というのが個人的見解である。

    武藤弘樹

  • 日本株の崩れは“理不尽”!反転はもうすぐと読む理由
    1/28(金) 19:12配信
    MONEY PLUS

    株安が止まりません。市場はいったい何に怯えているのでしょうか。ぱっと思いつく答えは、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げが警戒されているというものでしょう。しかし、そんな単純なことが株安の本当の理由であるとは思えません。

    なぜ株価が下がり続けているのか
    実は、利上げそのもので株高が崩れたことはないからです。その経験則を投資家は学習済みでしょう。米国市場には“three steps and a stumble rule”という法則があります(NASDAQの用語集にも載っています)。利上げは3回目までなら大丈夫だが、そのあとは躓く、という意味です。ところが実際のマーケットは3回どころか、もっと多くの利上げに耐えてきました。

    2004年から2006年にかけて、FRBはFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催する毎に17回連続で政策金利を引き上げましたがS&P500はほぼ右肩上がりに推移しました。2016年から2018年にかけての利上げサイクルでもS&P500は利上げ局面の終盤になってようやく調整を入れたましが、それまで8回の利上げに耐えて上昇を続けたのです。

    市場が恐れているのが利上げそのものではないとすればなんでしょうか。QT(量的引き締め)でしょうか。さらに言えば、利上げやQTのタイミングやペースが非常にタカ派的になり、景気を過度に冷やす「オーバーキル」を恐れているのでしょうか。

    本当のところは分かりませんが、おそらくそのどれもが答えなのでしょう。つまり、投資家の見方が錯綜し、コンセンサスが得られていないということが株価がなかなか底を入れない理由なのだと思います。マーケットにとっての真のリスクは「わからないこと」です。

    年初から下げのピッチを速めた株式相場の下落は、「FOMCを警戒」と言われることが多くありました。今週開催されたFOMCで金融引き締めについてどんなメッセージが打ち出されるか市場は戦々恐々として株を手放していると解説されていました。そうであれば、FOMCを通過したなら下げ止まってもよいはずです。

    しかし、実際にはFOMC終了直後の27日の東京株式市場では日経平均が一時900円を超える大暴落となりました。なぜならFOMCを終えても、肝心のFRBの金融政策に関する手掛かりが何も得られなかったからです。まさにマーケットにとってのリスク「わからない」という状況がこの先も続く、ということに対する失望売りであると思われます。

    あとは市場心理が落ち着くのを待つだけ
    この急落劇がどこで止まるか、ピンポイントの予想は難しいですが、そろそろいいところに来ていると思います。というのも、ファンダメンタルズでは十分調整したと考えられ、あとは市場心理が落ち着くのを待つだけだからです。

    冒頭で、過去にFRBが利上げを続けても株高が崩れなかったか例を出しましたが、その背景は、長期金利がそれほど上昇せずに安定していたからです。株式相場にとって重要なのは長期金利なのです。特に長期金利と株式益回りの差(イールドスプレッド)が重要です。

    イールドスプレッドが縮小すれば、債券利回りに比べて株価が割高だということになります。実際、イールドスプレッドが縮小することで大きな調整が起きたことは過去に何度もあります。ところが、いまはまだイールドスプレッドはそれほど縮小していません。

    特に直近ではS&P500の予想PER(ブルームバーグ12カ月先予想)が2020年春のコロナショック暴落以来、初めて20倍を割り込む水準まで調整しました。これによってPERの逆数である株式益利回りは上昇しました。ざっくり言えば、長期金利が仮に2%まで上昇したとしても米国株はフェアバリューを維持できます。

    日本株はむしろ押し目買いのチャンス
    さらに米国株以上に日本株が崩れていることも理不尽です。日本株市場が海外市場に比べて優位である点は多くあります。まず日本でもインフレが起きてはいるものの、その程度ははるかに低い状態です。それもあって欧米の中央銀行が金融引き締めに動く中、日銀は断固として金融緩和を継続すると黒田総裁は明言しました。

    また、コロナ対応の初動が遅れたことから、日本は景気回復のサイクルが欧米とは1年遅れになっています。そのため2022年は欧米の景気がピークから減速する見通しであるのに対して、日本は昨年より今年のほうが経済成長率が加速する、グローバルにみて数少ない国のひとつです。

    これは今週発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し1月版でも改めて確認できます。IMFは25日改定した世界経済見通しで2022年の実質成長率を4.4%と、前回21年10月の予測から0.5ポイント引き下げましたが、そのなかにあって日本の2022年成長率は3.3%と0.1ポイント引き上げられています。

    さらにこれから本格化してくる4~12月期の決算発表も期待が低い分、思わぬ好決算で締めてみればポジティブ・サプライズとなるのではないでしょうか。

    日本電産は2021年4~12月期の連結決算で、環境分野がけん引した営業利益が3年ぶり過去最高を更新しました。ファナックも2022年3月期の純利益を従来予想の1508億円から増額修正し前期比69%増の1593億円になりそうだと発表しました。日東電工も、2022年3月期の純利益が前期比35%増の950億円になりそうだと発表しました。従来予想を50億円上回り、4期ぶりの最高益となります。カプコンが発表した2021年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比52%増の267億円となり、同期間として過去最高になりました。

    決算発表はまだ序盤ですが、好業績を発表する企業が相次いでいます。それに対して相場は逆行安となっていますが、これは相場が間違っている典型例で、過去に何度も繰り返されてきたパターンです。その後、相場が落ち着けば、企業業績の伸びをキャッチアップしに反転上昇に転じます。それを信じて、ここは堪え時、いやむしろ、押し目買いのチャンスではないでしょうか。

    (編集部注:この原稿は日本時間1月27日(木)16:30に寄稿されたものです。)

    広木 隆(マネックス証券 専門役員 チーフ・ストラテジスト)

  • 続落する日本株...エコノミストは「金融相場から業績相場への転換」に注目
    1/28(金) 19:50配信
    J-CAST会社ウォッチ

    日本株の下落が続く――。米FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め政策表明に端を発した米国市場の下落に引きずられるかたちで、2022年1月28日、2万6700円台にまで下落した。

    昨年(2021年)1年間かけて引き上げた分が、全部吹き飛んだかたちだ。オミクロン株の急拡大に加え、中国経済の減速、ウクライナ危機、さらに足元に忍び寄るインフレ懸念......。

    いい材料はほとんどなさそうだが、大丈夫か。エコノミストたちの見立ては?

    大幅下落の中でも、値上がりした銘柄とは?
    2022年1月27日、米国と日本の株式市場は大きく下落した=図表参照。これは、日本のエコノミストたちにとっても大きな衝撃だったようだ。

    ニッセイ基礎研究所のチーフ株式ストラテジスト井出真吾氏も困惑を隠さなかった。井出氏のレポート「パウエル・ショックで株価急落 今後の展開は?」(1月28日付)のなかで、記者たちからの「どこまで下がるか?いつ落ち着くのか?」という電話が絶えず、明確に答えられなかったと明かしたうえで、こう説明した。


    (図表)急落した日米の株価指数(ニッセイ基礎研究所作成)
    「世界中の投資家がFRB(米連邦準備制度理事会)に対して疑心暗鬼になっているとみられ、悲観的な投資家の売り注文が一巡するまで幅広い資産の下落基調が続く」「東京都などに緊急事態宣言が再び発動される可能性が指摘され始めたことも、投資家の不安心理を増幅させる」

    しかし、井出氏は1月27日、日経平均が841円(3.1%)の大幅下落となったなかでも、値上がりした銘柄もあったと、東証REIT指数が1.9%上昇したことに注目した。REIT指数とは、東京証券取引所に上場している不動産投資信託(REIT)の全銘柄を対象にした指数だ。井出真吾氏はこう続ける。

    「通常、負債を抱えるREITにとって金利上昇は逆風だが、米国の金利が上がっても日本の金利上昇は限定的とみた投資家の買いが向かった」「REIT収益源であるオフィスなどの賃料は短期的に下落する可能性が低いことを考えれば、分配金利回りに魅力を感じるのも頷ける」

    そこで、井出氏は「金利上昇局面で『質への逃避』が始まった」として、こう結ぶのだった。

    「1月27日はPER(株価収益率)が高いハイテク株が軒並み下落したことも含めて、共通するのは『利回りの質への逃避』だ」「米国金利の上昇が想定される中で、相対的かつ実質的に高い利回りを確保できそうなところに投資資金がシフトした」「相場全体の底入れがいつか、そしてイールド・ハンティング(利回り物色)でどの銘柄が選好されるか注目したい」

    「株価反転に備え、冷静に下値を拾う局面に入った」
    ここまで下がれば、「日本株が反転する時に備えるべきだ」と強調するのは、野村アセットマネジメントのシニア・ストラテジスト石黒英之氏だ。石黒氏のレポート「日本株の自律反発に備える局面へ」(1月28日付)のなかで、「日本株の自律反発局面は近づいている」としてこう指摘した。

    日本経済はどうなるのか(写真はイメージ)
    「中長期的な視点でみても、日本株は投資妙味が高まっている」「日本株の時価総額トップであるトヨタ自動車の2022年度の自動車生産計画が過去最高の約1100万台となる報道が伝わるなど、日本企業を取り巻く環境は決して悪くない」「長期的な視点に立てば、現在の日本株は業績面での割安感が強まっているといえ、株価反転に備えて、冷静に下値を拾う局面に入ってきた」

    一方、こういう時こそ、目先の利益にとらわれず、「SDGs」(持続可能な開発目標)や「ESG」(環境・社会・ガバナンス)の観点に立った企業への投資に注目しているのが、りそなアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト黒瀬浩一氏だ。

    黒瀬氏の「鳥瞰の目・虫瞰の目:新春レポート~2022年の市場見通しについて~」(1月27日付)によると、未曽有の政策転換の時期には、市場は不安定になりやすい。そのため、こういう時に大事なことは「『金融相場』から『業績相場』への転換だ」として、こう指摘するのだった。

    「去年までのような株価の急上昇は見込みにくいものの、業績の拡大に応じた9%前後の安定的な上昇が見込まれる」「2022年は、この大きな変化に付いていけるかどうかで、景気拡大と株価が順調な国とそうでない国で明暗が分かれる」

    つづけて黒瀬氏は、こうした変革期、さらにはアフターコロナの時代とあいまって、地球環境保護の機運の高まりを取り上げ、「企業は単に利益ではなく、ESGの観点での存在意義が問われる時代になっている」と、変革のチャンスを生かす企業に目を向けるのだった。

    (福田和郎)

  • >>171

    ただのポジショントークでしかない。
    株価が下がったときは「売られすぎ」 上がったときは「上昇相場」

    彼らは手数料で稼いでいる。株を買う人が多い方が彼らにとって都合が良い

  • 金利が上がっても株価は下がらない? 「今の株価は下がりすぎ」
    1/26(水) 14:10配信
    日興アセットマネジメントの神山直樹チーフストラテジスト

     日米ともに株式相場が下落している。2022年に入ってから、日経平均は7.7%下落して2万7000円前後。米国株価指数S&P500は9.1%の下落、ハイテク株の多いナスダック総合指数は14.5%も下落した。

     背景には、ウクライナ情勢や米国金融当局のインフレ対抗姿勢があるといわれるが、実のところどうなのか。

     日興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストは、「金利が上がると株価が下がる類いの話は、さほど重要ではない」と話す。本来は、政策金利の引き上げは株価には影響しないというのだ。

    金利が上がるとなぜ株価が下がるのか
     一方で、大手新聞をはじめ各所でいわれるのは、「政策金利が引き上げられると、特に成長期待が大きいグロース株の株価が下がる」ということ。この理屈は、株価の適正値はどのように計算されるかを元にしている。

     一般に、株価はその企業が将来生み出す利益の合計だとされる。ただし、今の100万円と来年の100万円の価値は同じではない。今の100万円を金利1%で預ければ来年には101万円になる。逆にいうと、来年の100万円を現在の価値に直すと約99万円だということだ。この計算を“割り引く”という。

     こう考えると、遠い将来の利益ほど株価の算出においては影響は小さくなることが分かる。そして金利が高いほど、将来の利益の価値は小さくなる。逆に金利が低いほど将来の利益の価値は高く評価されることになる。

     これを、「今はまだ小さいけど、成長率が高く、将来大きな利益を稼ぐ見通し」というグロース企業に当てはめてみよう。グロース企業の価値のほとんどは、将来の利益だ。そして将来の事業見通しが同じであれば、金利が低くなれば現在価値は高くなり、つまり株価は上昇する。逆に、金利が上昇すれば現在価値が下がり、株価は下落することになる。

     これが「政策金利が引き上げられると、グロース株の株価が下がる」ことにつながるわけだ。

    金利が上昇するとき企業業績も上昇する
     ところがこの理屈には、「将来の事業見通しが同じであれば」という前提がある。ここが、理論上、政策金利は株価に影響しないと神山氏がいうポイントだ。

     中央銀行が利上げを行う基本的な理由はインフレだ。米FRBは、当初インフレを一時的と見なし楽観的だったが、徐々にインフレを懸念しはじめ、現在は強い対抗姿勢を見せている。利上げペースを早める方針であり、インフレへの対策として年内4回の利上げが見込まれている。

     ところが、「企業はインフレ率と同じだけ値上げをすることで、インフレ率と同等の事業成長率が上乗せされる」(神山氏)。原材料価格の上昇を、“企業努力”として吸収しがちな日本企業と違い、特に米国では上昇分をそのまま消費者に転嫁するのが一般的だ。インフレ分を販売価格に乗せるため、売上も利益もインフレ分だけ上昇する。

     インフレと利上げが連動して起こるなら、理論的には「利上げは株価にはフラットな影響」(神山氏)となるわけだ。株式はインフレに強いといわれるが、それはこうした理由による。

     もっとも、株価は理論通りに動くわけではない。「おかしな理論の解釈が、米国でもそこそこ出ていて、金利が上がると実際に株が売られている。さらにそれを利用するヘッジファンドもいる」と神山氏。それでも、理論的には利上げは株価にネガティブではないので、「株価が荒れるのは長くても年の前半だろう」(神山氏)

    今の株価は下がりすぎ
     そう見ると、今の株価は「一口で言うと下がりすぎ」だと神山氏。

     経済自体の状況は悪化しておらず、好調が継続している。「日本の輸出も半導体不足などで少しへこんだが、それも戻ってきた」(神山氏)。米国の需要は堅調であり、そこに向けて日本やドイツなどの輸出も安定して伸びている。

     FRBは早期の利上げを示唆しているが、2%程度のインフレ率と2%程度の政策金利が正常だというのが神山氏の認識だ。そのため、予想される利上げも「引き締めではない。キーワードは正常化だ」と話した。

     利益水準に対して期待から株価が上昇した銘柄は、不確実性の上昇から売られているが、「今の経済環境で今後の経済的な期待がつぶれる可能性は非常に低いので、株価は下がりすぎ。行きすぎたグロース株の調整には少しかかるが、2〜3四半期で解決されるのではないか」とした。

    ITmedia ビジネスオンライン

  • >>169

    この先、日本はどう動くべきなのか?
     以上のように、2022年現在、バイデンのアメリカは、「価値の同盟」を掲げ、米豪日などと共に米欧の利害と主導権を守るために、中国の軍事的封じ込めを図っている。

     日本はどうすべきだろうか。日本の経済的利益や、安全保障上の危険性などから考えると、米欧が進める軍事同盟には加わらないことが日本国の利益にかなうように思われる。加われば地政学的に、戦争の最前線になる。

     たとえ日米同盟を維持したままでも、現在の米欧の軍事再編に対しては中立を保ち、中国をはじめアジアとは経済的関係、米欧とは政治外交関係というように、双方と交流を続けることは可能であろう。

     軍事同盟に加わらなければ、核ミサイルは打ちこまれない。もしそれに反して大陸から万一核ミサイルを打ち込めば、その国は国際的に非難され孤立する。

     「価値の同盟」に参加する国々は、中国を米欧から締め出し、あからさまに台湾に次々と代表を派遣するという挑発的な行為を繰り返すべきではない。

     アジアにAUKUSのような、アングロサクソンとフランスの軍事力を拡大する軍事植民地主義的メリット(軍事外交による武器販売の利益)を持つ軍事同盟は、アジアの主権をも損なう。

     これに加わらず、ASEANなどアジア諸国とも連携して、中国を含む地域経済圏、RCEPを発展させていくこと、「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定」などに中国やアメリカも招き入れる努力を重ねることが、日本の安定と発展を守るだろう。

     アメリカの軍事的攻勢は、国際的利益を守るという普遍主義というより、中国に追い抜かされる前に中国を抑えようとする自国中心主義的なものであり、1国では対応できないため米欧軍事同盟により抑え込もうとするものである。

     インド、ASEANも危惧している米欧による中国封じ込めと台湾介入による挑発がさらに緊張を生む前に、アジア諸国の連携によって、現状の緊張を緩和し、経済再生を図っていくことが求められている。

    羽場 久美子(青山学院大学名誉教授)

  • 中国がアメリカを抜いて「経済で世界一」になる前に、日本が採るべき路線
    1/24(月) 7:32配信
    現代ビジネス

     21世紀初頭、国際社会を一国でリードしてきたアメリカは、2022年、もはや一国では中国を封じ込める力を持たなくなっている。そうした中、「価値の同盟」を掲げ、イギリス、オーストラリアに共同行動を呼びかけ、昨年12月には「民主主義サミット」を開催した。が、どうもうまくいっていない。

     イギリスはEU(欧州連合)から離脱し、「グローバル・ブリテン(大英帝国再編)」を目指して、米英の軍事的連携を強めている。オーストラリアも、アジア、オセアニアでアジア人の経済力が拡大する中、米英との同盟強化により存在の再構築を図っている。

     このような現状で、アメリカ、中国、ロシア、北朝鮮などに囲まれた日本は、どのように行動すればよいのだろうか? アメリカとの同盟関係を既定路線と決め込むことなく、今後の日本のアジア政策を考えてみたい。

    アメリカ中心の「価値の同盟」
     最大の特徴は、アメリカ・バイデン政権の「価値の同盟」戦略である。アメリカは、2021年6月のG7で「価値の同盟」を打ち出し、トランプ時代の同盟解消を脱し、イギリス・オーストラリア・日本と共に、アジアで強力な軍事再編を行ってきた。

     なぜか? 
     問題は中国の「人権問題」ではない。

     人権問題なら、アメリカの南部警察の黒人射殺、イスラエルのパレスチナに対するミサイル攻撃、ヨーロッパのイスラム嫌悪、日本のヘイトスピーチなど、あらゆる先進国も抱えている。確かに中国において権威主義的な傾向は拡大の予兆を見せるが、中国だけの問題ではない。

     最大の問題は、中国の経済、IT、知力、軍事力すべてにおける強化に対する米欧の警戒感だ。アジアで急速に拡大する新興大国中国に対し、アメリカはもはや一国では中国に対抗できない。だからこそ、「価値の同盟」を表明し、組織化を図っているのだ。

     「価値の同盟」の根幹は3つ、(1)QUAD(クアド)、 (2)AUKUS(オーカス)、(3)ファイブ・アイズ(5つの眼)という諜報網だ。

     ヨーロッパは、長年、メルケルという東ドイツの物理学者の女性をリーダーとすることにより、社会主義対資本主義という思想的分断やロシアの封じ込めを極力避け、旧社会主義体制と西欧諸国との調整役に徹してきた。またEUの経済的強化に向け、新中国政策を図ってきた。 

     イギリスのEU離脱後、グローバル・ブリテンとしてアジア進出を拡大してきたイギリスに対して、欧州最大の軍事大国フランスも、影響力を拡大すべくアジア太平洋に乗り出している。

    10年後、アジアで生じる「緊張の激化」

     中国は、早ければ2028年にはアメリカを凌ぎ世界第1位の経済大国になる。インドは2030年には日本を抜いて世界第3位になると言われる(英国の民間調査機関「経済・ビジネス研究センター」CEBR(2020.12.26)、BBC News(12.27)+米国家情報会議(NIC)12月10日に発表した報告書「2030年の世界展望:変貌する世界」)。

     あと10年で中国とインドの時代が始まる。その前にアメリカは、米英豪仏の「価値の(軍事)同盟」でそれを押しとどめようとする計画を掲げている。アジア諸国は少なくとも、アジアでの米欧の代理戦争を避ける決意を表明すべきであろう。

     アメリカの元NATO欧州連合軍最高司令官によるリアル小説『2034』は東アジアの局地紛争が尖閣・台湾・南シナ海のどこかで、もうすぐ起こると予測している。

     もし東アジアで局地紛争が起これば最も被害を受けるのは日本列島である。

    日本の「地政学的な危うさ」
    世界地図を回転させると、日本の地政学的な位置がわかる。台湾と連携することで、アメリカにとってはロシア・中国・北朝鮮を封じ込める3000キロの要塞、前線基地となる

     日本は、通常の地図で見る限りは大陸の極東に位置する小さな島国であるが、北を直角に西に倒すとその地政学的重要性が一変する。明らかなように、ロシア・朝鮮半島・中国に対し、それらの国々が、太平洋に出るのを遮る、3000Km に及ぶ自然の要塞である(地図を参照)。

     米欧の「価値の同盟」に乗って、アメリカの軍事力の肩代わりを承諾した時、日本列島は、ロシア・中国・北朝鮮の目と鼻の先の最前線で、比喩的な意味ではなく地理的にも、アメリカへのミサイル発射を妨げる(イージス艦で撃ち落とす)位置にあることを認識する必要がある。アメリカが日本を守っているのではない。日本がアメリカを守る構図である。

     それゆえアメリカを守るためにイージス艦を1兆円も払って購入し、日本が中国に対する守りの最前線に立つ必要はない。

     2017年11月、北朝鮮が射程1万3000キロの大陸間弾道弾を装備したことが明らかになった時、アメリカは北朝鮮に「長距離核ミサイル」を爆破させた。これでノーベル平和賞だとトランプ前大統領は豪語したが、現実ではさすがにかなわなかった。

     次いでトランプは、2018年10月には、ゴルバチョフとレーガンが1987年に結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱すると表明した。すなわち北朝鮮から、ワシントンやニューヨークまでを狙えるミサイルを全廃させるとともに、欧州戦争を危惧して結ばれた中距離核戦力全廃条約から離脱することにより、「東アジアでの核戦争はありうる」という事実を容認したのだ。

    慎重なインドと積極的な日本

     インドもASEANも中国と国境を接するがゆえに、QUADや AUKUSには批判的である。しかし日本は現在、岸田政権を含めて、アメリカの要請に積極的に従おうとしている。しかしこれらの同盟に加わることは、日本にとって極めて危険である。日本が最前線になりうるからである。

     では中国と結ぶのか。

     中国とは経済・貿易における交流は続ければよい。その際に重要な“同盟”が「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」である。これにより世界の半分近い経済圏が東アジアのリードの下に入る。いずれ欧州もこれに連動する可能性がある。

     一方で、中国と政治的・軍事的に結ぶ必要はない。しかし、中国やロシア、北朝鮮から日本に核ミサイルを撃ち込まれない程度の経済外交関係は維持し続けねばならない。

     米欧の軍艦を無批判に次々と受け入れ、イージス艦を購入し、台湾だけと強い協力関係を結ぶのは極めて危険なことだと、日本のメディアはもっと報道すべきではないだろうか。

     かといって日米同盟を破棄する必要はなく、これは維持したままでよい。現状維持でよいから、QUADに加わって最前線で反中国の立場をとるのではなく、これまで通り、経済は中国・アジア諸国と、政治はアメリカと、是々非々で連携していくべきだ。反中国外交、ましてや反中国軍事同盟に与するのでなく、隣国との経済友好関係を持続しつつ、米欧の軍事同盟からは距離を取ることが日本の利益にかなっている。

     仮に戦争になれば、広大な中国のみならずロシア・北朝鮮三方に対して、日本が一国で守りを固めなければならない可能性もある。その結果、細長く攻撃されやすい日本列島と市民が最大の被害を受けることになる。

     東シナ海に「自由な航行」を主張して駐留するアメリカやイギリスの軍艦が万一攻撃されたとしてもその被害は数千人、他方、日本の大都市や原子力発電所が爆破されれば数十万人の被害が予想され、長期にわたる経済的・社会的停滞を被る。

     核ミサイルが発射されたら、たとえ打ち落としてもその残骸の放射能が日本列島に広範に降り注ぐと、日本学術会議の物理学者は警告している。

  • 日本がいつの間にか「モノを売って稼ぐ国」から変貌していた…!
    1/19(水) 7:32配信
    現代ビジネス

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    国の黒字や赤字とはどういう意味なのか? 日本やアメリカ、イギリス、中国などの国々はどのような経済構造なのか? 財務省・IMF・世界銀行などで活躍され、『教養としての金融危機』を上梓した宮崎成人さんが解説します。
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     同じ黒字国(赤字国)でも経常収支の中身は様々です。そこで、経常収支の分野のどこが強いか弱いかを見ることによって、国による経済構造の違いが見えてきます。ここでは、いくつか代表的な例を見ていきましょう。

    日本
     日本は過去何十年も経常収支黒字国です。トヨタやキヤノンのような日本を代表する大企業だけでなく、特定分野に強い数多くの中小企業の製品が海外で取引されていますので、ずっと貿易黒字を出し続けていると思ってしまいそうですが、現実は異なります。

     たしかにかつては財(モノ)の貿易が黒字を稼ぎ出していましたし、それが日米貿易摩擦の原因となっていました。

     しかし、現地生産が進んだことや、日本企業がいくつかの分野で競争力を失ったこと等もあって、貿易黒字は徐々に縮小し、2011年の東日本大震災以降、貿易収支は赤字ないし無視できる程度の黒字しかありません。

     他方、日本が過去の貿易黒字を積み上げた巨額の対外資産からのリターン(第一次所得収支)は、着実に増えてきています。特にここ十年ほどは、海外子会社からの配当が順調に伸びて、現在は第一次所得収支の半分を占めます。

     つまり、現在では経常黒字のほとんどが過去の投資からの収益になっており、日本はモノを売って稼ぐ国から、投資収益で稼ぐ国に変わったのです。なお、インバウンド旅行者が大幅に増えたため、新型コロナ危機前までは旅行収支が黒字になっていました。

    米国
     米国の強みはウォール街の投資資金やハリウッドに代表されるソフト・パワーでしょう。実際、投資収益(第一次所得収支)やサービス収支は黒字になっています。

     他方でモノの貿易がずっと巨額の赤字のため、経常収支全体では赤字が続いています。その要因の一つがグローバル化です。アップル社のiPhoneに代表されるように、米国企業の設計と特許に基づき、世界中から部品を調達して中国で組み立てた製品は、中国からの輸入にカウントされます(1)。

     貿易赤字は、米国の弱さ(自動車等一部産業の低い競争力)と強さ(付加価値の高い知的作業に特化)の双方を示していると言えます。

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    (1)最終的な製品価格ではなく、製品になるまでの付加価値のベースで貿易統計を作る動きがあります。それによると、iPhone1台の代金のうち、設計等の知的所有権部分は米国に帰属しますので、輸入額はかなり低くなると同時に、輸入先も部品ごと(半導体は台湾、液晶は韓国等)に分かれ、中国からの輸入額は組み立て代程度に小さくなるはずです。
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    英国
     イギリスは1970年代以来、製造業が低迷しますが、代わりに金融や法務・会計等のサービス業が国際競争力を強めました。

     サービス収支がかなりの黒字となった一方、モノの貿易は大きな赤字が続いているので、全体としては経常赤字が続いています。

     ただし、ブレグジットの結果、欧州の金融の中心がロンドン(シティー)から欧州大陸に移るようなことになると、サービス収支の黒字が減って、経常赤字が一層拡大して問題になるかもしれません。

    中国
     世界の工場となった中国の経常黒字は、当然ながら巨額の貿易黒字に引っ張られています。

     ただし、開放政策の導入以来、数多くの外国企業が工場建設等の直接投資を行ってきたので、それらのリターンが海外投資家に流出して、第一次所得収支が大きな赤字になっています。

    インド
     インドはITビジネスが盛んですからサービス収支が黒字です。また、労働者など海外在住者からの送金額は世界最大ですので、第二次所得収支も大きな黒字です。

     しかし、モノの貿易が赤字のため、全体としては経常赤字になっています。

     ***

     このように、経常黒字・赤字といってもその内容は様々です。

     トランプ政権の際に、米国が日本の経常黒字を問題視し「もっと輸入を増やせ」と言ったことがありますが、日本側は困惑するのみでした。

     日本の経常黒字は、米国で工場を作って雇用を増やした結果である、というような反論をしたはずですが、米国も日本の経常黒字の内訳など百も承知で、それでも輸入増を求めたのかもしれません。

    宮崎 成人

  • >>165

    ● ベーシックインカムなら 「大きな政府」的な非効率性と無縁

     例えばベーシックインカムでセーフティーネットを用意するとしよう。ベーシックインカム自体は税制と組み合わせて「再分配」を行うための仕組みにすぎない。従って、予算上は政府の支出額が膨らんでも、そのお金の使い道を考えるのは民間であり、個々の国民だ。「大きな政府」的な非効率性からは逃れている。

     なお、分配は「差額」で見なければならないので、ベーシックインカムに対応する財源を何にするかが問題だ。筆者は、所得税の累進制を高めることと共に、広範な資産への課税が適当だと考える。

     岸田首相がかつて口にしていた金融所得に対する課税強化ではなく、金融資産に対する課税がいい。前者では、例えばリスクを取った株式投資の収益に課税する一方、預金に対する課税は、特に現在の金利ではごく小さい。投資を罰するような課税の強化は不適切だ。

     順番として良心的なのは、まず強力なセーフティーネットを作ることだろう。そして、自由主義的な規制緩和と市場の活用こそが成長戦略になる。

     ちなみに、株式市場(特に株価決定に影響力が大きい外国人投資家)が求める「成長戦略」とは、政府が業界を規制してお金の使い道を考える経済産業省的な経済運営ではなく、自由主義的な規制緩和のことだ。

     政府の役割は、(主に情報の非対称性があるから)市場原理になじまない教育(現在、いかにも過小投資だ)、医療、防衛などに効果的な投資とマネジメントを行うことだ。

     十分なセーフティーネットを作ると、今の予算で言う社会保障支出は巨大化する。しかし、支出の内容や資源配分への影響を考えると、再分配のための移転的支出は、「大きな政府」を計算するときに政府が資源配分に関わる支出と共に分子に乗るべき数字ではない。

     あえてキャッチスレーズにするなら、「小さな政府で大きな福祉」が目指すべき「新しい資本主義」の姿だ。

     大きな話は別として、予算が出るたびに社会保障費の拡大を嘆くような御用学者とマスコミは、何かがずれていると思わざるを得ない。

    山崎 元

  • ベーシックインカムなら「小さな政府で大きな福祉」を目指せる理由
    1/19(水) 6:01配信
    ダイヤモンド・オンライン

     「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄首相だが、岸田首相に任せておくと、福祉国家と新自由主義のそれぞれのメリット部分を選んで捨てる組み合わせになりそうで心配だ。矛盾するように感じるかもしれないが、「小さな政府で大きな福祉」が目指すべき「新しい資本主義」の姿だと筆者は考える。そして、ベーシックインカムならそれが実現できる。その理由を説明したい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

    ● 史上最大107.6兆円の予算案だが 政府の全体像は全く見えない

     1月17日、通常国会が始まった。与党が圧倒的に優勢なので、国会の推移にドラマ的な興味は全く湧かないが、2022(令和4)年度の予算案の通過辺りが演出上の山場になるのだろう。

     その予算案は、昨年の12月24日に閣議決定された。読者もご存じのように、約107兆6000億円と当初予算案としては史上最大の規模だ。

     予算案に関する報道では、社会保障費が増え続けていることと、国債への依存の増大を「懸念」することが定番になっている。仮に、予算案の記事を書くのが新米記者なら、そのフォーマットで記事を書くのが無難だ。しかし、畏れ多くも国家予算の記事だから、現実にはベテラン記者が書いているのではないだろうか。だとすると、つくづく進歩のない人たちだ。

     いわゆる予算案と称されるのは一般会計の予算だが、一般会計を見るだけでは政府の全体像は全く見えてこない。企業グループで言うと、事業の一部と金融機能を持った持ち株会社のお金の出入りだけなので、「株式会社日本政府グループ」の経営の効率がいいのか、財政状況がどうなのかはサッパリ分からない。

     特に、巨大な金融子会社である日本銀行を連結させたお金の出入りとバランスシートを見ないと、政府の金融的安全性が判断できない。また、特別会計や各種の基金のお金の動きを見ないと、日本の政府部門が何をやっていて、どの程度効率的な仕事をしているのかが分からない。

    ● 社会保障費は「大きな政府」の支出か? 経済的弱者向け予算の増加は「問題」か?

     さて、本稿が扱う問題は、日本政府全体よりもずっと小さい。

     36.2兆円で前年比1.2%の伸びだとされる社会保障費が本当に「問題」なのだろうか。社会保障費は、大まかに言って、年金や生活保護など、何らかの理由による経済的弱者のための支出だろう。これらを圧縮しなければならないと考えることは「まとも」な思考なのだろうか。

     岸田文雄首相は「成長と分配の好循環」を目指すと言っている。分配を成長と同じくらいには大切にするつもりがあるらしいが、国民間の「経済格差」拡大が問題とされる現状にあって、社会保障費的な富める者から困窮者への移転的支出が増えることが問題だという認識は、方向性が間違っているのではないか。

     社会保障的支出の実質的効果は、政府を通じた富の再分配だが(「所得」だけでなく資産も含めた「富」を再分配の対象にするべきだ)、支出されたお金を何に使うのかは「民間」の国民一人一人が決める。政府が決めるのではなく、一人一人の必要性と経済合理性に基づいて支出内容が決まる。

     一方、公共事業費(6兆円)や新型コロナウイルス対策の予備費用(「とりあえず5兆円」とは何とも大ざっぱだ)のような支出内容は、政府が決める。政府のお金の使い方が効率的なのかどうかを問われる支出だ。

     一般に「大きな政府」を定義する際には、財政支出の国内総生産(GDP)に占める割合を使うが、この尺度は不適切であるように思える。

     これまでの経済的な議論の文脈では、政府による支出(特に投資的支出)は非効率的な点がまずいとされてきた。政府が民間よりも賢いわけではないし、政治的な利害によってゆがみやすいためだ。

     予算案の規模に比べて話は小さいが、いわゆる「アベノマスク」に掛かった費用とその効果などを見ると、この指摘にはもっともな面がある。お金の効率的な使い道、特に投資的なお金の使い方の決定に関して、政府の能力はしばしば民間に劣る。

     だから、「大きな政府」よりも「小さな政府」の方がいいと思う経済学部生は少なくない。

    ● ベーシックインカムは 「大きな政府」の支出ではない

     さて、近年話題になることが増えたベーシックインカム(国民に無差別一律に現金を給付する政策)を考えてみよう。

     例えば、国民1人に一月7万円のベーシックインカムを支給すると約105兆円の財源を要する計算だ。これを一般会計に乗せるなら、予算規模は一気に倍増する。

     「それは無理だ」、「非現実的だ」と言いたくなるかもしれないが、国民全体に105兆円余計に配っているのだから、課税の対象とできる財源は国民に必ずある。富裕者からより多く税金を取って、相対的困窮者には軽い課税に済ませると、「差し引きで」経済力の「再分配」が完成する。

     いきなり「1人、一月7万円」のベーシックインカムを実現するのは変化が大き過ぎるかもしれないと筆者も思うが、小さなベーシックインカム、ないしベーシックインカム的な政策を行うことは十分可能で好ましいと思われる。

     例えば、現在保険料の2分の1を国庫が負担している基礎年金の財源を全額国庫負担にすると、現役世代の相対的な困窮者の手取り収入が「毎月!」1万数千円増えることになる。良い格差対策であり、人への投資ではないだろうか。

     国民年金の保険料を払わなくても良くなった若いサラリーマンは、浮いたお金を自分の教育費に使って将来の高所得を目指すかもしれないし、食事の事情を改善して健康を増進するかもしれない。重要なことは、個々の国民にとって何が大事かを決めるのが、政府ではなくて国民本人であるということだ。

     他人にお節介をしたい人は、政府部門に限らず存在するが、普通の経済学的常識では、お金の使い道は本人が自分で決める方が効率的だ。

    ● 岸田首相に任せると起きそうで心配な 福祉国家と新自由主義の「悪いとこどり」

     雑誌への寄稿などを見ると、岸田首相の認識では、資本主義は福祉国家、新自由主義といった環境適応的な変化を経て、現在、新自由主義の問題点が顕在化しており、これを修正するのが「新しい資本主義」だ、ということらしい。しかし、岸田首相に任せておくと、福祉国家と新自由主義のそれぞれのメリット部分を選んで捨てる組み合わせになりそうで心配だ。

     例えば、低所得な勤労者を救うためには、賃上げができる企業に補助金を出すのではなく、個人に直接公的な補助を行うべきだろう。岸田流の経済対策は、出だしからこじれている。

     日本の経済は、これまでも現在も全く新自由主義的でなどない。郵政民営化は途中で頓挫し、電波オークションも行われず、正社員の解雇ができないような経済運営のどこが新自由主義なのだろうか。

     小さな規制緩和にも大騒ぎする、停滞した縁故主義的社会が日本の実情だ。2世、3世だらけの政治家の顔触れは、その象徴だ。日本にあって、資本主義は借り物の仮面にすぎない。

     一方、国民の一人一人の自由な選択を尊重して、市場を広範に活用する経済運営を新自由主義と呼ぶなら、新自由主義を活用するためには強力な経済的セーフティーネットによる補完が必要だ。

    ● 米国の欠点を反面教師とするなら 「新しい資本主義」にも意味があるが…

     現代の米国のような経済運営は、人の能力とその成果による経済資源の配分を肯定する「能力主義的資本主義」と呼びたくなる種類のものだ。このシステムはビジネスの活性化やイノベーションの誘発には向いている。ただ他方で、先天的な能力や家庭の経済力の差、さらに競争の過程での勝敗など、「運・不運」の影響が大きい。また、経済力の格差拡大を推進するいくつかの要因がある。

     各種の経済的「不運」に対しては、大きな「社会的な保険」が必要である。

     現在の米国にはそれがないので、この点を反面教師とするなら「新しい資本主義」というキャッチフレーズにも少しは意味があるだろう。一方、能力主義的な自由競争には、経済成長に向けた活力があることを忘れてはならない。

     残念ながら今の日本には、自由競争と充実したセーフティーネットの両方がない。経済が停滞し、社会がギスギスするのはもっともだ。

  • 世界的インフレ 日本と欧米の違い
    1/17(月) 11:25配信
    大阪日日新聞

     コロナに翻弄され、経済が疲弊したまま終わった2021年。今年もその影響を色濃く残す中、昨年後半から徐々に物の値段が上がっていることを実感する。いわゆるインフレだ。原因はコロナ禍によるものだが、どうも海外と日本では経済が違った動きをしている気がしてならない。長く米国で生活した筆者の視点を交えながら、その原因を探ってみたい。

     健全な経済活動の中なら、適度なインフレは良しとされる。なぜなら経済が活発化して物価が上がれば収入も上がり、より良い生活ができるようになるからだ。

     物価が上昇すれば、回り回って収入も増加する。実際に、欧米ではインフレ後の賃金上昇が見られている。

     例えば米国では、新型コロナウイルスからの景気回復で労働者が不足。アマゾン・ドット・コムは発送管理・輸送部門の従業員の平均最低時給を18ドル(約2000円)超に引き上げた。コーヒーチェーンの最大手スターバックスは今夏までにすべての従業員が時給15ドル以上を得られるよう給与体系を変更。平均時給は約17ドルになる見通しという。

     一方で、日本にそんな動きはあるだろうか。物の値上がりを感じる一方で、収入が上がった話はあまり聞かない。しかも物価だが、実際には価格変動の大きいエネルギーと生鮮食品を除く消費者物価指数はほとんど上がっていない。企業の仕入れ値を表す企業物価指数は11月には前年同月比で9%にまで上昇したにも関わらず、企業はまだまだ消費者への価格転嫁には至っていない。

     なぜ、日本だけ海外と違う動きになるのか。米国の大学に通ってそのまま米国のメディアに就職し、海外生活の長い私は、欧米と日本の社会背景の違いに要因があると見ている。

    文化の違い

     そもそも現在、世界各国で見られるインフレは、コロナ禍による供給不安と、景気刺激策であるバラマキに起因している。だから、条件は世界的に同じと見ていい。

     一つずつ探っていこう。まずはコロナ陽性者数だが、日本は欧米よりもはるかに少ない。にも関わらず、日本では経済活動がまだまだ制限されている。マスクをしている人が減らないのと同じで、他人の目(ソーシャルプレッシャー)を気にして自主規制する国民性がある。一方で日本よりも陽性者数の多い欧米やアジア各国は、遥かに経済活動が活発化している。

     賃金についてはどうか。インフレで賃金が上がる欧米に対し、日本は上昇していない。

     日本は終身雇用や労働法によって労働市場の流動化が妨げられてきた。安定して長期間働けるという面では役立つが、固定化した仕組みのため、インフレの有無に関わらず給料が上がりにくいのは間違いない。

     その一方で言葉は悪いが、欧米では簡単に労働者を“クビ”にできる。今回のコロナ禍でも米国だけで何百万、何千万人という人が解雇された。欧州の国々も足せばその数字は相当なものだ。

     しかし、いざ経済が回復基調に入るとすぐに再雇用が始まり、あっという間に失業率が低下。人手が必要な業種で賃金の上昇が始まった。時給がコロナ前の2倍以上になった業種もある。

     インフレになればそれに対応する様に労働市場が反応し、ビジネスもそれに見合った金額をオファーする自然な流れになっている。

     日本は景気が良くなって就労人口が増えたと言っても多くは非正規雇用だったりするので、長期的には賃金が上がっていかない。正社員の給料でさえ、失われた30年でほとんど変わらず、今後も上がりにくいので、 全体としても上がっていかない。

    今後はどうなる?

     海外各国が、22年後半にはインフレは落ち着くと予想しているが、日本は年末までじわじわと物価が上がっていくと思われるので、日々の生活はそれと共に苦しくなっていくだろう。

     安定を取るかリスクを含む変化(成長)を取るかだろう。この観点からみると岸田政権に成長を求めるのは難しいかもしれない。

     インフレが進んでも収入が変わらなければ、賃金が下がっているのと同じ。預金も同じで、長期的に物価が10%上がれば、残高が変わらなくても実際には買える物は10%目減りしているので、10%お金が減ったのと同じ。加えて預金金利も低過ぎるから資産形成にならない。

     反対に、お金を借りている人や企業にとっては実質的に借金が減額したことになるから、今の日本の金利であれば借りられるだけ借りた方が得とも言える。

     資産がある人は、目減りする現金を株や債券、不動産に変えておくことでインフレの恩恵に預かれる。

     米国では日本よりも投資をしている人が多い。金持ち父さんで有名なロバートキヨサキなどもインフレの恩恵に預かった一例だ。今回のコロナ禍で資産を急激に増やしたのは、そういう投資をしている人たちだった。

     日本でも4月から高校家庭科で「お金の教育」が始まるそうだ。国を当てにするのではなく、まずは自分の資産は自分で守っていくという姿勢を持つ方が得策だ。

    (岡野健将)

  • 「橋本デフレ」から25年…過ち繰り返す政府 需要の萎縮による日本のデフレを増税や緊縮策で後押し
    1/15(土) 17:00配信
    夕刊フジ

    【お金は知っている】

    今年は、1997年当時の橋本龍太郎政権が消費税増税と財政支出削減、社会保険料引き上げという厳しい緊縮財政に踏み切ったために起きた「橋本デフレ」から25年たつ。橋本氏は首相退陣後「失政」を悔いていたが、その後の歴代政権も緊縮財政によってデフレ圧力を呼び込む過ちを繰り返した。

    経済学の教科書では、デフレとは将来にわたって物価が下がり続けるという予想が経済社会に支配的なことで、インフレはその逆である。この基準からすれば、石油価格の値上がりや新型コロナウイルス禍がもたらす部品や原材料の供給の乱れからくる物価の上昇が今後続きそうだから、世界はインフレ時代に突入したとの見方がある。だが、こと日本に関しては誤りであり、日本のデフレ基調はむしろより強くなると拙論はみる。

    物価は需要と供給の関係で決まる。25年間も続く日本のデフレは供給側というよりも需要の萎縮が主導している。

    1990年代前半の平成バブル崩壊不況を経て、95、96年度と実質経済成長率はそれぞれプラス3%前後と景気は回復基調にあった。しかし、97年度は橋本政権の緊縮策によって家計の所得が吸い取られ、民間需要が一挙にしぼんだ。巨額の不良債権を抱えたままの銀行は新規貸し出しを止め、既存の貸し出し先には返済を強制する貸し剥がしに奔走するに及んで、経済活動に欠かせないカネの流れが凍りつき、激しいデフレ不況局面に突入した。

    物価が下がり出すと家計は消費を手控え、企業は売り上げの減少に直面して設備投資を手控え、人件費圧縮に躍起となる。需要はさらに減り、物価が押し下げられるという悪循環にはまった。

    グラフは勤労者の給与と消費者物価の推移である。物価は2013年度までの間、08年夏の石油価格高騰時を除き下がり続け、給与のほうは物価下落を若干上回る速度で下がり続ける。

    12年12月に「脱デフレ」を掲げて発足した第2次安倍晋三政権はアベノミクスを打ち出し、13年度にかけて異次元金融緩和と積極財政を組み合わせて、景気をいったんは上向かせたが、デフレ心理が家計や企業から去らない中で、消費税の大型増税と財政支出削減という緊縮財政に踏み切った。

    給与は増えないのに物価のほうは消費税増税分だけ上がるので、家計負担はかさむ。政府は財政支出を減らすので、家計から巻き上げたカネは民需向けに還流しない。国債の償還に回して金融機関の日銀当座預金口座に振り込まれるが、余剰資金となって海外に流出する。

    消費税率は19年10月からも引き上げられ、物価を押し上げた。20年度からは新型コロナウイルス禍を受けて、政府は現金給付など大型補正予算を組むが、貧しくなるばかりの家計は給付金を消費に回そうとしない。需要は落ち込んだままで、物価は高止まっている。需要が減退するので、先行きもデフレは続く。 (産経新聞特別記者、田村秀男)

  • 米ドル高の材料だった高いインフレ率は、今後は米ドル安の材料になる可能性。パウエル議長は、インフレと闘う気がない
    1/15 12:06 配信

    パウエル議長が、1970年代に「一時的」という言葉を繰り返し高インフレを招き、史上最低のFRB議長の烙印を押されたアーサー・バーンズ氏の二の舞にならなければ良いが…

    パウエルFRB議長はインフレと闘う気がない…。高インフレ率が米ドル安ロジックになる可能性
     1月12日(水)に発表された12月の米CPI(消費者物価指数)は、ほぼ市場予想通りで、ついにプラス7%に乗せてきました。昨年(2021年)までのマーケットであれば、当然、米ドル買いに反応したでしょう。しかし、市場は米ドル買いではなく、米ドル売りで反応してきました。

     あまり、思い込みすぎるのも良くないかもしれませんが、私には大きな「異変」に感じられました。マーケットが明らかに変化した瞬間だったと思います。

     前日(1月11日)に行われたパウエルFRB議長の議会証言の影響もあるでしょう。昨年(2021年)12月18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)後の会見では、インフレに対処すると明言し、きっぱりとした決意に満ちていました。

     ところが1月12日(水)の議会証言では、闘う意思が感じられませんでした。再任が決まったことで、インフレファイターを演じる必要がなくなった、だから態度にぞんざいなところが出てきてしまったのでしょう。

     パウエル議長はバランスシートの縮小に関して「今年の後半」と発言しましたが、ゴールドマンサックスが7月スタートと予想を前倒ししてきたことが念頭にあったと思います。市場予想より遅らせ意図的に「ハト」を演出したのです。

     「インフレに対して闘う気がない」、市場もその様に解釈したのでしょう。

     これまでは、「高いインフレ率→FRB利上げ→米ドル買い」というロジックできました。しかし今後は、「高いインフレ率→低い実質金利→米ドル安」というロジックに切り替わるかもしれません。

    インフレによる金融引き締めで、米国株に投じられた巨額資金が出口を探している? 
     新興国通貨の解説などをするとき、見た目の金利ではなく、実質金利が高い通貨を選択して下さいと言います。トルコのように、金利が高くても、インフレ率がそれ以上に高く、実質金利がマイナスの通貨は下落する宿命にあります。

     米ドルに関しては、実質金利が大幅にマイナスであることは無視して、金利が今後上昇していくところのみを見ていましたが、もう大目に見るわけにはいかなくなりました。

     インフレ率は7%、FF金利(※)は0~0.25%なので、実質金利はマイナス6.75~7%ということになります。これは相当低い。しかし、それにも関わらずどうしてこれまで米ドルが売られなかったのか。それは、高い株価が投資資金を世界中から引き寄せていたからでしょう。

    (※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)

     しかし、ついにインフレで金融引き締めに動かざるを得なくなりました。金利上昇で今後引き寄せられるであろう資金よりも、はるかに巨額の米国株式市場にこれまで投じられていた資金が、出口を探し始めているのかもしれません。

    米国株に資金が吸い寄せられなくなったとき、米ドルは大きく売られることになるか
     過去2年間、米株式市場は非常に好調でした。2年連続20%以上のリターンを記録しましたが、この素晴らしいリターンが今後も続くのは難しい。今年(2022年)は良くて同程度でしょうか。

     米金利上昇で米ドル/円上昇というのをメインシナリオとしてきました。それ故、真逆の話をするのも躊躇しますが、金利が上昇する通貨が上昇するというのもセオリーですが、インフレ率の高い通貨は下落するというのもセオリーです。

     再任が決まったパウエルFRB議長を見ていると、やはりどこかに「今のインフレは一時的」という思いが滲み出ており、インフレと闘う気がないように見えます。

     実質金利がマイナスのトルコリラは大きく売られました。株価が高値圏にあり、これ以上資金を吸い寄せられなくなってきたとき、米ドルも同じような運命をたどるのでしょうか。

    パウエル議長が史上最低の烙印を押されたFRB議長、アーサー・バーンズの二の舞に? 
     今の状況はますます1970年代に似ている感じがします。ベトナム戦争を戦い、ものすごい戦費を使い過剰流動性から米ドルは売られ、米国はインフレに苦しみました。

     今はコロナとの戦争を戦い、巨額の財政資金を投じた結果、何年も見たこともなかったインフレに見舞われています。

     1970年代のFRB議長、アーサー・バーンズは、インフレは「一時的」という言葉を繰り返し、高インフレを招き、史上最低のFRB議長の烙印を押されました。

     その後、ボルカーFRB議長による超高金利政策でインフレを退治しましたが、パウエルFRB議長がアーサー・バーンズの二の舞を演じることを案ずる次第です。

    ザイFX!

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