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呼吸困難の掲示板

●緊縮財政で暮らしは苦しくなっても、再浮上の道はある

藤巻氏:もしも、日本の財政が破綻したら、そこで改めて資本主義になればいいと思うのです。3~4年は厳しい時期が続くと思いますが、希望はあります。これだけ頭がよくて勤勉な国民は、そういないからです。きちんとした資本主義国家の仕組みさえつくれば、必ず再浮上、いえ“大浮上”できると思います。こんなに優秀でまじめで勤勉な国が30年間、世界でダントツのビリ成長って、おかしい話です。

相場氏:私も日本人には希望があると思います。今の状態が続くのは、あり得ない。さらに、若者にはもっとチャンスが与えられるといいと思います。携帯電話料金を下げるとか、そういう話ではなく、正規労働者と非正規の違いをどうするのか、など、国のシステムとしても考えるべきことはたくさんあります。

藤巻氏:財政再建を考えるなら、基本的には年間70兆円弱の税収+税外収入でやりくりすることを考える必要があります。これまでは国債を発行して年に100兆円使っていました。つまり借金をして100兆円使うから今の暮らしができていたわけです。今回はコロナ対策もあり、160兆円使うわけですが。

相場氏:日本のように国民皆保険で守られている国は世界では恵まれているほうです。70兆円でやりくりとなると、社会保障なども含めて、相当切り捨てないといけない部分が出てくるでしょう。

藤巻氏:これほどの借金を未来永劫(えいごう)に続けるわけにはいきませんから、今後は今のような豊かな生活は望めません。生活水準を今の6割、7割程度にしないともたないわけです。でも、終身雇用制がなくなり、自己責任になったら皆、必死で勉強しますよ。競争は激しくなるかもしれませんが、そうすれば生産性も上がり、パイも大きくなると思います。競争も厳しくなるということは、今の社会主義的な体制から、働かなければ食べていけない真の資本主義体制に変貌するということです。汗をかいた人ほど、より多く働いた人ほど豊かになる社会です。もちろん、その前提としてセーフティーネットの構築は重要です。

相場氏:確かにそういう面はあるでしょうね。

●財政赤字をためないために財政均衡法の制定を

藤巻氏:日本の一番いけなかったところは、財政赤字を放置して、財政再建を行わなかったことだと思います。なぜ、これほど深刻な赤字に鈍感だったのか。実は、以前は赤字がたまったときには警戒警報を鳴らす設定をしていたのです。

 例えば、赤字国債を発行する場合は1年限りの特例公債法案を毎年国会で通さなければならないというルールがありました。これは先人の知恵であり、警報の役割を果たしていました。それを5年ごとに変更してしまったのです。つまり警報を切ってしまったので、赤字国債を堂々と発行できるようになってしまいました。

 また、市場の警戒警報装置も取り除いてしまったのです。普通だったら、借金がたまっていけば長期金利が上がります。となると、政治家が橋や道路をつくって予算をばらまいて景気を上げようとしても、金利上昇が景気の足を引っ張ります。ここで再び、市場から警報が鳴るわけです。金利が上がれば、赤字が増えますよ、と。言ってみれば、長期国債のマーケットが、あるべき財政支出の額や赤字の額を示してくれていたのです。

 しかし日銀が国債の爆買いを始めたことにより、いくら財政赤字が増えても長期金利が上がらなくなり、ここでも警戒警報が鳴らなくなった。痛みを感じることなく、借金がたまっていったのです。

相場氏:そうした実態をメディアが伝えることも大事です。多くの人に分かってもらうためにしっかり伝える。一方、一般の人も、どういうメディアを読むのかを選び、きちんと情報を得る。誰が正しいことを言っているのかを判断し、もちろん選挙に行って政治家を選ぶことも大切です。

藤巻氏:私はいつも、憲法にスイスやドイツのような財政均衡条項を入れてはどうかと思うのです。憲法を変えるのは難しくても、例えば、仮に新しくスタートする新日本銀行ができたときには財政均衡法をつくる。そして、二度と財政赤字をためないと戒める。そうしないと、また財政危機を繰り返すことになると思うのです。