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為替市場の掲示板

木内登英(野村総合研究所
当局は、目先のところは、G7、G20など為替安定を巡る国際協調の効果を見定めるだろう。しかし、期待したほどのドル高円安の抑制効果が見られない場合には、近いうちに為替介入に踏み切る、と見ておきたい。


米国では、大幅利上げが実施されたにもかかわらず、経済環境は安定を維持しており、またその結果として、インフレ率の低下ペースが鈍ってきていることから、利下げ時期が後ずれしている。その結果、世界では「ドル独歩高」傾向が強まっている。

ドル高は、日本のみならず、多くの国が懸念するところだ。
特に欧州諸国は、厳しい経済状況の下で金融緩和に動こうとしているが、
対ドルで自国通貨安が進めば、物価上昇率の低下の妨げとなり、
金融緩和が思うように行えなくなる恐れがある。
それは景気の悪化リスクを高めてしまうだろう。

また、ドル高が行き過ぎれば、ドル急落のリスクも高まることになる。
そうなれば、米国以外の国では貿易決済に支障が生じる、
ドルを保有する金融機関の財務に打撃となる、など弊害も大きくなる。

そこで、さらなるドル高は多くの国で懸念されているところとなっている。
しかしながら、各国が協調してドル高の是正を米国に強く求めるほどにはまだ機は熟していない。