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Apple、期待外れの自社生成AI 収益源iPhoneに影

米アップルが10日、自社開発の生成AI(人工知能)を発表した。音声応答や文章作成などでは米オープンAIの技術に頼る面もあり、出遅れをかえって印象づける形となった。屋台骨であるスマートフォン「iPhone」の競争力低下につながる懸念もある。

年次開発者会議「WWDC」はかつて、ライフスタイルを変えるような新機能が披露される場だった。10日に米カリフォルニア州の本社で開かれた今年のWWDCは新味に乏しく、画期的な生成AI機能を期待した株式市場には失望感が広がった。

米株式市場でアップル株の10日終値は前週末比で約2%安となり、ダウ工業株30種平均の構成銘柄で最も値下がり率が大きかった。

10日に発表した生成AIサービス「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」は、iPhoneやパソコン「Mac」に蓄積された電子メールや写真などを分析し、利用者にあった文章生成や画像編集などができる。今秋に配信を始める次期OS(基本ソフト)に搭載し、「iPhone15Pro」など最新の自社製半導体を搭載したアップル製品で使える。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「AIがあなたを理解する、新しいパーソナルインテリジェンスシステムだ」と説明したが、その核は長年のライバルである米マイクロソフトと蜜月関係にあるオープンAIの対話型AIであるChat(チャット)GPTに頼っている。

  • >>7293

    その一つが音声アシスタント「Siri(シリ)」だ。例えば魚料理を作りたいとシリに聞き、チャットGPTの方が優れた答えがでるとシリが判断した場合は、利用者の同意を得た上でチャットGPTの知識を回答する。文書作成でもチャットGPTに簡単な指示を打ち込むと、おとぎ話を創作したり、イメージ画像を生成してくれたりする。

    アプリを移動することなくチャットGPTの機能を使えるため、消費者にとっては使いやすいが、独自性は薄れている。WWDCに参加したアプリのエンジニアは「他モデルを使うというのは、何か品質が足りないということなのか」と疑問の声も出た。

    アップルのクレイグ・フェデリギ上級副社長は「これからも、広範な知識や特定の分野に特化した専門性を提供する外部のAIモデルを組み込む」と話した。ただオープンAIのサム・アルトマンCEOは10日、WWDC会場に姿を見せたが、客席に座るだけで登壇することはなかった。クック氏の口からチャットGPTの紹介もなく、自社色を出したいアップルとの微妙な距離感も伺わせた。

    アップルは必ずしもこれまで自社開発にこだわってきたわけではない。シリも米国防総省系の研究組織が源流で、開発を引き継いだスタートアップを10年に買収した。拡張現実(AR)や仮想現実(VR)でも、視線を追跡するアイトラッキングを研究開発する独企業など少なくとも8社を買収し、ゴーグル型端末「ビジョンプロ」の発売にこぎつけた。

  • >>7293

    スタートアップを買収し、後発でも完成度の高い製品を出してきた手法が生成AI分野では通用しなくなっている。成長が早く、規模が大きくなっていることに加え、ゆるやかな連携を望むスタートアップも増えている。競争法上から完全に傘下に収めることが難しくなっている面もある。

    マイクロソフトはオープンAIの初期から計130億ドル(約2兆円)を投じ、米アマゾン・ドット・コムも米アンソロピックに巨額を投資しているが、子会社にはなっていない。

    スマホなど端末に生成AIが搭載されるのは当たり前になり、その機能が競争力につながるようになっている。米グーグルは「Pixel(ピクセル)」で写真編集や要約の機能を持たせ、韓国サムスン電子はリアルタイム翻訳などを実現した。

    アップルは今回発表した生成AIが使えるiPhoneを23年に発売した15Proなど高価格帯に限定した。「16」とされる次期シリーズへの買い替えサイクルを誘導するためとみられる。ただ米証券キーバンク・キャピタル・マーケッツは「アップルインテリジェンスは当初は米国と英語圏に限定されており、魅力的な機能がないことを考えても買い替えは促進されないだろう」とも指摘する。

    オープンAIとの連携には横やりも入る。米起業家のイーロン・マスク氏は10日、オープンAIにはセキュリティー面のリスクがあるとして「アップルがOSにオープンAIの技術を使えば、私の会社でアップル端末は使用禁止になるだろう」とX(旧ツイッター)に投稿した。

    他社の生成AIを取り込むことは利便性を高める一方で、他社と同じようなスマホになるとiPhoneの独自性や優位性がなくなることも意味する。iPhoneはアップル売上高の約半分を占める。生成AIの出遅れは土台を揺るがすことにもなりかねない。