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「信者つくれ」がバフェット流 株価再浮上へ市場創造を

顧客を奪い合って疲弊する企業でなく、競争がない市場を開拓して大もうけする企業を選ぶのが賢い投資だ。こう説く93歳の著名投資家ウォーレン・バフェット氏の肉声を、人々はかみしめた。

「オマハの賢人」の異名を持つ同氏は今月4日、米ネブラスカ州オマハに4万人を集めて自身が率いるバークシャー・ハザウェイの株主総会を開いた。同氏の投資哲学で印象深かったのは、投資先のうち世界的なハイテク企業であるアップルと、チョコレートで知られる菓子メーカー、シーズキャンディーを同列に論じた点だ。

  • >>6711

    高収益は製品への信奉から

    バフェット氏は消費者の行動分析を披露した。アイフォーンの技術も、菓子の製法も知らない。だが消費者が両社の製品に心酔していることは知っている、と。

    「2台目のクルマとアイフォーンのどちらかを放棄するなら、価格が何十倍でもクルマの方をあきらめるだろう」。同氏は「アップル信者」の心理を活写した。そもそも菓子のシーズへの投資を決めたのは、昨年死去したチャーリー・マンガー氏が強いブランド力を見抜いたからだった。バフェット氏は、アップル株の保有が畏友の遺訓に沿うことを強調した。

    両社のように顧客が製品を信奉すれば高い価格を設定でき、利益率は向上する。稼ぎを研究開発や設備への投資に向け、持続的に成長できる。バフェット氏はアップル株を一部売却して利益を確定したが、よほどのことがない限り2社の株を持ち続けるだろう。

    一方、損を出して全株売却したのがメディア大手のパラマウント・グローバルだ。「(競合する)会社の数が減り、価格を上げられないと先行きは厳しい」。昨年の総会では赤字続きの動画配信事業を巡り、収益性を犠牲にした価格競争に愛想をつかせかけていた。

    自分の市場で悠々と稼ぐアップルやシーズと、他社との消耗戦に苦しむパラマウント。経営戦略の明暗が、バフェット氏の投資を通じて浮き上がった。

    独自の市場を持つことは、日本企業への処方箋でもある。

  • >>6711

    ゴールの位置を変える

    企業統治改革などを経て、日本企業は収益性を改善した。QUICK・ファクトセットによると、日本の主要企業は2019年に8%だった自己資本利益率(ROE)を今年9%に高める。だが同じ5年間に米企業は14%から18%に高め、差はむしろ開く。

    外国人投資家は昨年から日本株を買い直し、日経平均株価は今年2月、過去最高値を34年ぶりに更新した。だが収益性が見劣りしたままなら、買いが一巡すれば日本株を選ぶ理由はなくなる。

    経済が右肩上がりだった時代から引きずる横並び気質、失敗を恐れて失ったアニマルスピリッツ……。日本企業が市場を開拓するのが苦手な理由はいくつもある。だがそんな風土に背を向ける企業もあり、株式市場も認めてきた。

    経済産業省は4月、3年かけて選んだ「ルール形成型の市場創出」に強い企業10社を公表した。自社に有利な規制を作るよう政府や業界団体に働きかけ、市場を「開拓」する。サッカーに例えると、得意なシュートを決めやすい場所にゴールポストを置く戦略だ。

    10社の株価を指数化し、前回高値をつけた1989年末からの日経平均と比較しよう。34年かけて当時の水準をやっと回復した日経平均に対し、「開拓10社」は3倍を超える。収益性を見ると、ROEも営業利益率も日経平均を構成する企業を2〜3%引き離す。

    代表格が先週、「中興の祖」である井上礼之氏の会長退任を発表したダイキン工業だ。同氏が社長に就任した94年以降、株式時価総額は37倍に膨らんだ。

    成長をもたらした一因が、ルール作りに関わって自社に有利な市場を創る力だった。省エネや、環境負荷の小さい冷媒の自社技術が規制の標準に使われるよう世界の当局に働きかけ、エアコン市場で主導権を握った。

  • >>6711

    円安と原油高の憂鬱

    最高値を更新して以来の株価は日本企業に警告を発している。年初から上昇基調だった米原油先物は3月に1バレル80ドルを突破した。基本的には企業業績に追い風な円安も、円建ての原油価格が上昇すると話がちがってくる。

    円安と原油高が重なると燃料費が雪だるま式に膨らみ、運輸や物流を中心に収益を圧迫する。野村証券によると、1ドル10円の円安は主要企業にとって最大4%の増益要因だが、1バレル10ドルの原油高が重なるだけで2%以下に落ちる。

    円相場が1ドル160円をつけた4月末には、円換算の原油価格も年初来高値をつけてこのシナリオが現実の脅威になった。年初から世界の勝ち組だった日経平均は5月に入り、ドル建てでダウ工業株30種平均を下回り始めた。

    円安も原油高も長引く公算が大きい。原油価格が上昇すれば、貿易赤字が拡大してさらなる円安を招きかねない。外部環境の逆風をはね返すのは企業自身の成長力にほかならず、高い収益率を稼げる市場の開拓は切り札になる。

    オマハに戻ろう。4時間を超える質疑応答をこなしたバフェット氏も衰えが隠せなかった。介添えなしに椅子から立ち上がれず、歩行も杖に頼っていた。「あと何度金言を聞けるのか」。会場には株主の寂しい感情が漂った。

    バフェット氏の声にもっと真剣に耳を傾けるべきなのは、成長力のテコ入れが欠かせない日本企業の経営者だ。話題をさらった5大商社への投資以外、同氏の日本株買いはまだ表面化していない。