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ロシア産が揺らす非鉄相場 米英制裁、LME在庫に不安

非鉄の国際相場をロシア産が揺らしている。米英両政府が国内取引所でロシア産の取引を禁じ、指標となるロンドン金属取引所(LME)の価格は一時急騰した。2022年以降の制裁で行き場を失い、LME在庫に流れ込んでいたロシア産が、ここに来て相場のかく乱要因となっている。

15日、LMEの非鉄相場が突然荒れた。アルミニウム3カ月先物は取引開始直後、前週末の12日に比べ9%高の1トン2728ドルと2022年6月以来の高値を付けた。ニッケルや銅もそれぞれ一時9%、2%高となった。すぐに急騰は収まったが、上昇基調はその後も続く。

  • >>6054

    きっかけは12日の米英両政府による発表だ。LMEと米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)でロシア産のアルミ、銅、ニッケルの取引を禁じた。ウクライナ侵略を続けるロシアへの追加制裁を理由としている。

    ロシアは非鉄の主要生産国の一つだ。アルミは世界生産量の5%程度を占める。ただ22年2月のウクライナ侵略以降、欧米を中心にロシア産の取引を控える動きが進んでいた。

    存在感が薄れたはずのロシア産の話題が相場を動かしたのは、LMEが持つ非鉄在庫の多くを同国産が占めるためだ。

    一般的な商品先物は、決済期限の前に反対売買で取引を手じまう「差金決済」がほとんどだ。LMEの非鉄先物は一定量の現物受け渡しがある。LMEは受け渡しに備えて、欧米や中東、アジアの約30地域にある指定倉庫で現物を抱えている。

    欧米が制裁を強めた後も、LMEはすべての消費者が拒否してはいないとして、ロシア産の取引を認めていた。引き取り手のないロシア産が指定倉庫に流れ、同国産アルミのオン・ワラント在庫(払い出し予定のない在庫)は24年3月時点で約31万トンと、全体の9割にまで膨らんだ。

  • >>6054

    LMEは混乱を避けるため、すでに指定倉庫にある在庫は制裁の対象外とした。だが市場では今後の受け渡しへの不安が高まった。15日の急騰は、ショートポジション(売り持ち高)を抱えた投資家が慌てて現物を買い戻した結果というのが関係者の見立てだ。

    在庫減への不安は当面の価格を押し上げる要因となる。住友商事グローバルリサーチの本間隆行チーフエコノミストは「LME在庫にロシア産以外の地金が流入すれば影響は和らぐだろうが、今のところ先行き不透明感は強い」と話す。

    現物と3カ月先物の価格差(スプレッド)にも、LME在庫への不安は表れている。商品は現物の保管料などがかかるため、先物価格は期先になるほど高くなるのが普通だ。制裁発表後は、現物の方が高い「逆ざや」となる場面があった。

    みずほ銀行の江口侑希調査役は「欧米での規制後、ロシア産非鉄は最大消費国の中国などに流れているとみられ、世界的な実需には影響がない」と指摘する。ただ非鉄はLME相場に基づく値決めが普及している。相場の急変は取引価格を乱し、企業業績に響きかねない。

    LMEが受け入れなくなったロシア産非鉄も、中国などに流れて一時的に需給を乱す可能性がある。本間氏は「仮にLME以外のアルミ価格が下がった場合、LMEとの価格差に着目したアービトラージ(裁定取引)が働くだろう。中国産アルミの輸出増につながるかもしれない」とみる。

    アルミの需要は伸びている。丸紅の見通しによると、24年は電気自動車(EV)の普及などで需要が増える一方、中国の生産能力が上限に達し、世界で38万5000トンの供給不足が生じる。供給不安を連想させる材料には市場の視線が向かいやすい。

    LMEではウクライナ危機の発生直後の22年3月上旬にも、ニッケル3カ月先物が供給懸念から急騰。異例の取引停止措置をとり、市場の混乱と批判を招いた。LMEの市場機能への疑問が、再び高まりかねない。

    マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘共同代表は、現物在庫への懸念から、今後、LMEを敬遠する動きが加速する可能性があると指摘する。「LMEの参加者が減れば、流動性低下を通じてボラティリティー(変動)が大きくなるリスクがある」と懸念する。

  • >>6054

    ニッケル、主産国増産で供給過剰懸念

    アルミや銅とともにロシア産取引禁止の対象となったニッケルには、供給過剰を指摘する声がある。住友金属鉱山は24年の需給見通しで、世界で15万1000トンの供給余剰との見方を示した。主要生産国のインドネシアで、ステンレス向けニッケル銑鉄の増産が続くことを反映した。

    ニッケルはEVの電池材料にも使う。EV向けは需要拡大を予想する関係者が多かったが、住友金属鉱山の丹羽祐輔執行役員は「中国でのEV電池は(ニッケルを使わない)リン酸鉄リチウムイオン電池が多く、ニッケルを使ったEV電池の伸びは予断を許さない」とみる。

    ニッケル需要は主力のステンレス向けでも懸念が広がる。阪和興業の伴野純一理事は「中国では不動産市況の低迷が当面続くとみられ、建材向けのステンレス鋼板の需要も厳しい」との見方を示す。