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ネット小説大賞 ヤフー株板編
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ネット小説大賞 ヤフー株板編の掲示板

 高校教師
 六  
 会社の営業開始は九時なので、八時前には家を出なければならない。スナックの時は夕方の出勤だったので慣れるまでしばらくは早朝の出勤は辛かった。
 会社へ着いても、最初は給茶器の仕込みをしてお盆にコップを並べたあと、何をすればいいのか分からなかった。
 本格的に昼食を提供するとなれば大量のご飯を炊いて、おかずも三〜四品用意しなければならないだろう。そして終わったら食器洗い機にかけて、その後は材料の仕込みほか翌日の準備、掃除なども考えると最低でも三〜四名ぐらいの人員が必要と思われた。
 「社長、雇って頂いたからには出来るだけ早く、社員の方全員に、ここでお昼ご飯を提供できるようにしたいと思っているのですが、そうなると、毎日、何人分ぐらいの用意をすればよろしいでしょうか? 出張で出かけている人や自分で弁当を持って来る人もいるでしょうから、何人分が必要なのかを知りたいのですが・・・そして一人一人の好き嫌いやアレルギーで特別の食事を用意しないといけない人に対しても、どう対応したらいいでしょうか?・・・・そしてあと、お手伝いして下さる人も何人か必要だと思いますので、よろしくお願いします」
 「そうだね、初めは大変だと思うけど、例えば手始めに十人分だけ用意してもらうとしたらどうだろう。希望する社員のうちから交代で十人ずつ、ここで食べてもらって、慣れたら二十人、三十人、というように対応出来る人数を増やして行ったらいいのではないだろうか? そうすれば、社員の好みとか、どのくらいの量が必要とかも少しずつ分かってくると思うけど・・・・・そして必要な人員については、たとえば、近所のおばさんで良ければ募集すればすぐ集まると思うけど、それとも調理師免許を持った人とか、栄養士とかが必要なのだろうか?」
 「調理師免許なら私も持っています。当分は近所のおばさんでいいので、三〜四人募集して頂けませんか?」
 「分かったけど、張り紙をするとか、折り込みチラシを作るとか、それもすべて雪乃さんにお任せするよ。そして採用面接も」
 「えっ、採用面接もですか? あの・・人事部の方ではそれはお願い出来ないのですか?」
 「あっ、そうか、そうだな、じゃあ、人事部にも言っておくから相談してやってくれるかな?」
 こうして、まず、近所の農家のおばさんを四〜五人募集する事になった。小さな部落なので折り込みチラシを撒くほどでもなく、手書きチラシを村の集会所に届けたのと、会社の周囲に貼り付けて置いただけで、すぐにとりあえず三人が決まり、あとは必要に応じて追加募集する事になった。

  つづく