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脳梗塞フェーズ2bは「10ポイント以上改善した患者の割合」で「有意差なし」。
図書館で「統計解析がわかる」という本を借りて、どのように計算するのか調べました。
「母比率の差の検定」というもので次の式を使います。
Z=(pA-pB)/√(pT(1-pT)(1/nA+1/nB))
pT=(nA×pA+nB×pB)/(nA+nB)
-1.96<Z<1.96なら「有意差なし」、そうでなければ「有意差あり」。
Aを投与群、Bをコントロール群(以下「コ群」)とします。
pA,pBは各群の10点以上の患者の割合。
nA,nBは各群の患者数。ここではnA=nB=100人とします(以下の「100人中*人」は「*%」と同じ)。
pTは両群合わせた10点以上の患者の割合。
この「母比率の差の検定」は「10点以上の割合」と「患者数」だけで計算でき、「母平均の差の検定」で使う平均値や不偏分散は不要です。
コ群で10点以上の患者が100人中0人なら、投与群が100人中3人以下で「有意差なし」、4人以上で「有意差あり」。
コ群で1人なら、投与群が6人以下で「有意差なし」、7人以上で「有意差あり」。
コ群で2人なら、投与群が8人以下で「有意差なし」、9人以上で「有意差あり」。
コ群で3人なら、投与群が9人以下で「有意差なし」、10人以上で「有意差あり」。
脳梗塞フェーズ2bの平均値が、外傷性脳損傷フェーズ2の平均値「投与群8.7点、コ群2.4点」と同様なら、コ群の10点以上は0人とも考えられ、投与群が4人以上なら「有意差あり」。
楽勝が予想されたのかもしれません。
予想より10点以上のコ群の人数が多かったのか、投与群の人数が少なかったのか、わかりませんが結果は「有意差なし」。
もしコ群0人、投与群4人で「有意差あり」だとしたら、こんな少ないデータで薬品として承認されるのは疑問に思います。
この検定は、効く患者30%が想定されるような薬について「治った患者の割合」で検定するのに適するのかもしれません。
SB623の検定としては、外傷性脳損傷フェーズ2の「投与群とコ群の比較」(母平均の差の検定)の方が適しているのではないか思います。
脳梗塞フェーズ2bの治験データに「投与群とコ群の比較」を適用して「有意差あり」が得られることを期待しています。

  • >>5838

    凄い。教える仕事とかしていた事がお有りなんでしょうか。簡潔にめっちゃ分かりやすいご説明ありがとうございます。具体例まで!

  • >>5838

    sbb*****様

    私も薬の有効性を示す解析結果が開示されることを期待しています。

    ご指摘の通り、平均値の差の検定結果は、n数、平均値、不偏分散といった基礎統計量があればわかるので、慢性期2bの結果について、平均値の差の検定結果はすでに出ている可能性は高いと思います。恐らく、SAS※などの統計解析ソフトで計算しているはずですから、データが整った直後に基本的な解析結果は出力されているはずです。

    平均値の差の検定結果が開示されていないのは、当初の臨床試験デザインになかった解析だからなのかわかりませんが、何らかの意図があって、詳細分析後に開示されるのではないかと憶測をしています。

    なお、改善者の割合の比較の検定で、2bのn数を簡略化した「投与群100人、対照群50人」では、10ポイント改善者数が対照群で0人の場合、投与群で8人だと「有意差あり」、7人だと「有意差なし」となります。
    統計検定はn数が変わると結果も変わってしまいます。ある意味で「目安」に過ぎないのですが、どうしても線引きをしなければならないときに仕方なく使うようなものなのだと思います。

    ※「SASは臨床試験データ分析/レポートの領域において、また、FDA(米食品医薬品局) などの規制当局に対する電子申請の領域において、デファクト・スタンダード(事実上の標準)となっています。」(SASのサイトから)とあるように臨床試験結果が出る前にSASのプログラムは用意されているはずで、臨床試験結果データが整った直後に主要評価項目、副次評価項目の解析結果は出ているはずです。当然、その結果にはn数、平均値、分散などの基礎データも含まれているはずです。

  • >>5838

    昨日の投稿(5838)で脳梗塞フェーズ2bの「母比率の差の検定」について述べました。
    これに対して外傷性脳損傷フェーズ2の「投与群とコントロール群の比較」は「母平均の差の検定」で次のように計算します。
    Z=(XA-XB)/√(sAの2乗/nA+sBの2乗/nB)
    -1.96<Z<1.96なら「有意差なし」、そうでなければ「有意差あり」。
    Aを投与群、Bをコントロール群とします。
    XA,XBは各群の平均値。
    sAの2乗,sBの2乗は各群の不偏分散。
    nA,nBは各群の患者数。
    外傷性脳損傷フェーズ2の平均値はXA=8.7,XB=2.4ですが、不偏分散はわからないので、Zは計算できません。
    でも「有意差あり」なので、Z>1.96です。
    上記Zの分子である平均値の差が大きければ「有意差あり」になりやすい。
    各患者データにバラツキが少なければ、分母の不偏分散が小さくなり「有意差あり」になりやすい。
    「母平均の差の検定」は常識にあった検定方法だと思います。
    ただし、各患者データのバラツキが大きければ分母の不偏分散が大きくなり、「有意差なし」になりやすくなります。