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米銀の商業不動産融資、不良債権比率が倍増 IMF報告書
2024/04/17 00:36 日経速報ニュース 1020文字

 【ワシントン=三島大地】国際通貨基金(IMF)は16日、国際金融安定性報告書(GFSR)を公表した。米国の金融機関が抱える商業用不動産(CRE)向け融資の不良債権比率は過去1年間で倍増した。IMFは、2023年の米地銀破綻に端を発した金融不安は後退したものの、CRE向け融資を巡るリスクは依然高止まりしていると警告する。
 IMFの分析では米銀のCRE向け融資の不良債権比率は2023年末に0.81%と前年の0.4%に増えた。オフィス向け商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の延滞率も6.1%に達している。
 背景にあるのがオフィスなどCREの需要低迷と、不動産オーナーの金利負担の上昇だ。新型コロナウイルス禍で在宅勤務が広がりオフィス需要が低下したほか、米連邦準備理事会(FRB)の利上げでオーナーの借り入れ負担が高まっている。

 世界のCRE物件の価格は過去1年に実質ベースで12%下落した。特に欧米の物件で価格低下が著しく、同期間に米国では23%、欧州では17%価格が下落した。
金利が高止まりする中、CRE向け融資の借り換えは一段と難しくなっている。24年〜25年に満期を迎えるCRE関連の融資残高は1兆ドルに上る。銀行がCRE向けの貸し出しを厳格化した結果、借り換え需要が銀行の貸し出し可能額を上回る「再調達ギャップ」は3000億ドルに達する。
 「既存融資の借り換えが困難になると(CRE融資に)集中的にエクスポージャーを持つ金融機関に圧力がかかる」。トビアス・エイドリアン金融資本市場局長は警戒感をにじませる。
 IMFは実現可能性が5%以下のリスクシナリオとして、CREの価格が今後、米国で24%、欧州などの地域で20%低下する可能性があるとみる。IMFは「銀行セクター全体ではCREの損失を吸収できる体制にある」とする一方、「(米国など)一部の経済圏では痛みの伴う損失に直面する懸念がある」と警鐘を鳴らす。