ここから本文です
投稿一覧に戻る

outlookの掲示板

2022-01-15 03:50
見通し
週間為替展望(ポンド/加ドル)−ポンド、雇用・物価データに注目

◆英12月雇用・物価データ、BOEの政策決定に影響を与える可能性も
◆ポンド、ネガティブ材料も少なからず調整の売りも念頭に
◆加ドル、原油高と3月利上げ期待を支援材料に底堅いか

予想レンジ
ポンド円 153.50-158.50円
加ドル円 89.00-93.00円

1月17日週の展望
 英国ではオミクロン株の感染拡大の深刻な状況が続いているが、英政府が規制措置を強化しない方針を示したことや、イングランド銀行(BOE)の2月追加利上げ期待を支えに、ポンドは堅調な動きが続いている。来週は12月の雇用・物価データに注目だ。

 英国予算責任局(OBR)は、インフレ率が第2四半期に前年比+4.4%に達しピークアウトすると予想している。BOEが昨年12月に利上げを決定した際、インフレ高以外のもう一つの決め手となったのが、一時帰休労働者賃金の補助スキームの終了後も労働市場が好調を維持したことである。市場では2月2-3日の会合で0.25%の利上げを織り込んでいるが、来週発表予定の12月雇用・物価データの結果がBOEの政策決定に影響を与える可能性がある。英国を含めた世界経済にとって、オミクロン株の流行とインフレ高進が脅威となっており、景気回復にハードランディングのリスクが高まっている。英国でガス価格が急騰し、2021年に上昇の光熱費はさらに15%近く値上がりするとも報じられるなど、物価の急上昇は家計の負担を重くしている。

 足もとで材料視する動きはあまり見られていないものの、ポンドにとってネガティブ材料も少なくない。まずはコロナ感染の急拡大が続いており、医療体制が圧迫されていることだ。重症化数や死者が増えていないことが救いだが、世界保健機関(WHO)のハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は「今後数週間で欧州人口の過半数が感染する恐れがある」と指摘している。その次に上げられるのが、EUとの「北アイルランド議定書」をめぐる問題だ。英国政府が条約を破棄するという最悪の事態には至っていないが、議論は依然として平行線を辿っており、不透明感が一段と強まれば、ポンド相場には下押し要因となる。また、ロックダウン下のパーティー疑惑でジョンソン英首相は野党だけではなく、与党内からも辞任を求める声が出始めており、政治動向にも注意したい。

 加ドルは、原油相場の堅調な動きを支えに底堅い動きか。原油相場は旺盛な需要が追い風になっているほか、供給不足への警戒感が高まっていることが支援材料となっている。また、カナダ中銀(BOC)の早期利上げ期待も、加ドルのサポートとなる。7日発表の加11月失業率は5.9%と2020年2月以来の低水準となり、就業者数は予想比上振れの5.47万人増と、雇用市場は力強い回復が続いている。BOCは労働市場の緩みがかなりの水準まで吸収されたとの見解を示し、近い将来に利上げが行われることを示唆しており、市場では3月にも利上げに踏み切るとの見方が強まっている。

1月10日週の回顧
 ポンドは上昇の勢いは緩むもしっかり。ポンド円は157円台で上昇が一巡したが、ポンドドルは米12月消費者物価指数(CPI)の結果を受けてドル売りに傾いたことも支えに1.37ドル台まで強含んだ。また、NY原油先物が約2カ月ぶりの高い水準まで上昇したことを手がかりに、ドル/加ドル1.24加ドル半ばまで加ドル高が進み、加ドル円は一時92円台まで上値を伸ばした。