ここから本文です
投稿一覧に戻る

outlookの掲示板

2022-01-15 03:34
見通し
週間為替展望(ドル/ユーロ)−日銀の物価・成長率上方修正が円安抑制

◆ドル円、日銀の物価・成長率の上方修正が円安を抑制する可能性に注意
◆オミクロン株感染拡大状況や米歳出法案の行方などにも警戒
◆ユーロドル、ウクライナ情勢や欧州中央銀行(ECB)理事会議事録に要注目

予想レンジ
ドル円   113.00-116.00円
ユーロドル 1.1200-1.1600ドル

1月17日週の展望
 ドル円は、日銀が物価・成長率を上方修正した場合、上値が重い展開が予想される。米国の12月の消費者物価指数が前年比+7.0%へ上昇し、1982年6月の前年比+7.2%以来、39年6カ月ぶりの高水準を記録した。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ開始決定、さらに年内4回の利上げ観測が高まっているものの、ドルはほぼ全面安の展開となっている。

 前回の米連邦準備理事会(FRB)の利上げ局面(2015年12月〜2018年12月)、バランスシート縮小局面(2017年10月〜2019年8月)ではドル安に推移していたこともあり、FRBの利上げや量的金融引締政策(QT)が必ずしもドル高要因とはならない可能性には留意しておきたい。

 また、17-18日の日銀金融政策決定会合では、最新の景気予測である「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が公表される。最近の原油高や円安を背景に、2022年度の物価上昇率見通しを前年度比+0.9%から上方修正、成長率見通しもコロナ禍を受けた政府の経済対策による押し上げ効果を踏まえて従来の+2.9%から上方修正されることが予想されている。日銀による物価及び成長率見通しの上方修正は、円安を抑制する要因。注意が必要だろう。今春に携帯電話通信料の引き下げによる下押し要因が剥落すると、物価は1%を超える伸びになる可能性が高い。

 ドルの懸念材料としては、マンチン米上院議員の反対で採決が先送りされている、バイデン米政権の「気候変動・社会保障関連歳出法案」の行方や、ウクライナ情勢や台湾海峡を巡る米国と中国・ロシアとの対立激化への警戒感が挙げられる。ウクライナ情勢に関しては、今週、ロシアと米国及び北大西洋条約機構(NATO)が協議を重ねたものの、両者の妥協点に到達できなかった。来週も引き続き関連ヘッドラインに警戒していくことになる。

 ユーロドルは上値が重い展開か。昨年12月の欧州中央銀行(ECB)理事会では1〜3月期のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)における買い入れペースの低下が決定されたことで堅調に推移している。しかしながら、ユーロドルの上値は、欧州での新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大やウクライナ情勢への地政学リスク懸念から限定的だと予想する。今週は、ECB理事会議事録でPEPP終了後の資産買取プログラム(APP)増額幅の拡大の可能性などを見極めることになる。

1月10日週の回顧
 ドル円は、115.85円から113円半ばまで下落した。12月の米消費者物価指数が前年比+7.0%まで上昇したものの、市場予想の範囲内に収まったことから米10年債利回りが1.8%台から1.69%台まで低下。全般ドル売りが強まる動きとなった。ユーロドルは、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)における買い入れペースが低下しているほか、米金利低下を受けて1.1285ドルから1.14ドル台後半まで上昇した。ユーロ円は130.16円から131.48円まで上昇したものの、株価の下落を受けて再び130円台まで下押しした。