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低効率の石炭火力発電休廃止 電力、経営へ影響必至 大手5社、4割超を依存

2020/7/7付日本経済新聞 朝刊
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経済産業省が打ち出した低効率の石炭火力発電所の休廃止に電力各社が戸惑っている。大手5電力が発電の4割以上を石炭に依存し、仮に使えない状態になれば経営への打撃は必至。代替電源は見当たらず、国際社会の日本を見る目も厳しさを増しており、経産省が描く高効率型への切り替えですら進まない可能性がある。脆弱なエネルギー体制を放置してきたツケが回ってきている。

石炭火力は減価償却の終了後に多くの収益を生むため、簡単には手放せない
「フェードアウトの仕組みをつくる」。梶山弘志経済産業相は3日、効率の低い石炭火力を2030年をめどに休廃止していく方針を示した。

四国電力は3基のうち西条発電所(愛媛県西条市)の1、2号機が稼働から50年経過している。1号機は発電効率が良い新型に建て替え中。最も効率が悪い「亜臨界」に当たる2号機の休廃止などを検討する見通しだ。 ただ石炭火力は稼働から15~20年たち、減価償却の終了後に多くの収益を生む。そう簡単には手放せない面がある。東北電力は保有する5基のうち4基が稼働から20年以上経過。初期投資分の減価償却が終わり「ガスや石油よりも競争力がある」(東北電)という。

石炭火力が欠かせない地域もある。沖縄は電力需要が本州に比べて少なく、水力や原子力の開発が困難。沖縄電力の19年度の発電電力量に占める石炭火力の割合は55%。全4基が旧式で休廃止の対象になる可能性があるが「大容量の高効率発電機導入は本島でも難しい」(沖縄電)という。

北海道は再生可能エネルギーの適地とされるが、送電容量の問題などで導入が進まない。1キロワット時当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を示す「排出係数」も18年度時点で沖縄を除く大手電力の中ではトップだ。

中国電力や北陸電力も石炭火力は主軸だ。大和証券の西川周作シニアアナリストは「効率性が低い石炭火力の容量が多い会社にとっては長期的に経営に与えるリスクが大きくなる」と指摘する。

現時点で有力な代替電源は見当たらない。18年に太陽光発電で初の出力抑制をした九州電力は「石炭のCO2排出量が大きいのは理解しているが、特に太陽光が多い九州では調整弁としての役割が大きい」とする。原発も思うように再稼働が進まない。関西電力は再稼働した9基のうち4基を持つが、金品受領問題で信頼が低下。立地自治体の不信感を増幅させた。

経産省がもくろむ低効率の石炭火力から高効率への切り替えもすんなりとはいかない。高効率といえどもCO2排出量は小さくなく、環境保護を訴える人たちが厳しい目を向けているからだ。

神戸製鋼所が神戸市で計画する石炭火力は住民が中止を求め訴訟になっている。神奈川県横須賀市では東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAの計画で、住民が環境影響評価(アセスメント)の確定通知取り消しを求める行政訴訟を起こした。

石炭火力全廃を打ち出す欧州各国と比べ、日本は遅れていると批判されてきた。投資資金を引き揚げる動きもあり、コストを考慮すると、価格面などで石炭火力の優位がどこまで続くか不透明だ。各地域の電源構成をどう見直すのか。議論を深める必要がある。

貼っていくスレ 低効率の石炭火力発電休廃止 電力、経営へ影響必至 大手5社、4割超を依存   2020/7/7付日本経済新聞 朝刊  保存 共有 印刷 その他 経済産業省が打ち出した低効率の石炭火力発電所の休廃止に電力各社が戸惑っている。大手5電力が発電の4割以上を石炭に依存し、仮に使えない状態になれば経営への打撃は必至。代替電源は見当たらず、国際社会の日本を見る目も厳しさを増しており、経産省が描く高効率型への切り替えですら進まない可能性がある。脆弱なエネルギー体制を放置してきたツケが回ってきている。  石炭火力は減価償却の終了後に多くの収益を生むため、簡単には手放せない 「フェードアウトの仕組みをつくる」。梶山弘志経済産業相は3日、効率の低い石炭火力を2030年をめどに休廃止していく方針を示した。  四国電力は3基のうち西条発電所(愛媛県西条市)の1、2号機が稼働から50年経過している。1号機は発電効率が良い新型に建て替え中。最も効率が悪い「亜臨界」に当たる2号機の休廃止などを検討する見通しだ。 ただ石炭火力は稼働から15~20年たち、減価償却の終了後に多くの収益を生む。そう簡単には手放せない面がある。東北電力は保有する5基のうち4基が稼働から20年以上経過。初期投資分の減価償却が終わり「ガスや石油よりも競争力がある」(東北電)という。  石炭火力が欠かせない地域もある。沖縄は電力需要が本州に比べて少なく、水力や原子力の開発が困難。沖縄電力の19年度の発電電力量に占める石炭火力の割合は55%。全4基が旧式で休廃止の対象になる可能性があるが「大容量の高効率発電機導入は本島でも難しい」(沖縄電)という。  北海道は再生可能エネルギーの適地とされるが、送電容量の問題などで導入が進まない。1キロワット時当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を示す「排出係数」も18年度時点で沖縄を除く大手電力の中ではトップだ。  中国電力や北陸電力も石炭火力は主軸だ。大和証券の西川周作シニアアナリストは「効率性が低い石炭火力の容量が多い会社にとっては長期的に経営に与えるリスクが大きくなる」と指摘する。  現時点で有力な代替電源は見当たらない。18年に太陽光発電で初の出力抑制をした九州電力は「石炭のCO2排出量が大きいのは理解しているが、特に太陽光が多い九州では調整弁としての役割が大きい」とする。原発も思うように再稼働が進まない。関西電力は再稼働した9基のうち4基を持つが、金品受領問題で信頼が低下。立地自治体の不信感を増幅させた。  経産省がもくろむ低効率の石炭火力から高効率への切り替えもすんなりとはいかない。高効率といえどもCO2排出量は小さくなく、環境保護を訴える人たちが厳しい目を向けているからだ。  神戸製鋼所が神戸市で計画する石炭火力は住民が中止を求め訴訟になっている。神奈川県横須賀市では東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAの計画で、住民が環境影響評価(アセスメント)の確定通知取り消しを求める行政訴訟を起こした。  石炭火力全廃を打ち出す欧州各国と比べ、日本は遅れていると批判されてきた。投資資金を引き揚げる動きもあり、コストを考慮すると、価格面などで石炭火力の優位がどこまで続くか不透明だ。各地域の電源構成をどう見直すのか。議論を深める必要がある。