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2019 年 12 月 24 日 08:29 JST

 【北京】中国が目指す「脱石炭」の取り組みがここにきて失速している。世界最大の二酸化炭素排出国である同国が、気候変動対策で世界をリードするとの野望より経済成長とエネルギー安全保障を優先しているためだ。

 中国は最大の汚染エネルギー源である石炭の使用を大幅に削減すると表明しているが、石炭消費は過去3年に増加に転じ、再びピーク水準に迫っている。中国が建設を進める石炭火力発電所の能力は、同国を除く世界全体を合わせたものより大きい。

 米国との貿易戦争の打撃を和らげるために進めているインフラ投資が石炭消費を押し上げている。一方、最大の石油輸入先であるサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けた9月以降、中国は石炭利用に対する姿勢を緩めており、外国産石油への依存度の高さが浮き彫りとなった。

 中国が再び石炭重視の姿勢に転じていることを受け、炭素排出量削減の本気度に懐疑的な見方が強まっている。また、ドナルド・トランプ米大統領が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を通告したことで、協定の維持に向けて中国に頼る欧州連合(EU)からは不満の声が漏れる。中国は2020~30年までの目標を達成する見込みだが、石炭に対するその曖昧な姿勢は、グリーンエネルギー目標の達成や、EUと足並みをそろえ一段と野心的な排出目標を掲げることについて、意欲が後退していることをうかがわせる。

 「中国はこんなに素晴らしいことをやっていると主張して、とりわけ途上国や新興国からリーダーだとみなされてきた」。シンガポール国立大学エネルギー研究所のシニアプリンシパルフェロー、フィリップ・アンドリューズスピード氏はこう指摘する。だが、中国は化石燃料の段階的廃止を目指しながらも新たな石炭火力発電所の開設を進めており、「これには深い矛盾がある」。

 中国の李克強首相は10月、エネルギー安全保障を確実にするよう、石炭業界の発展を訴えた。この発言は従来方針からの転換であり、政府が「反石炭」のメッセージを撤回しようとしている兆候だと広く受け止められた。

 トランプ氏のパリ協定脱退表明を受けて、中国は当初、気候変動対策を主導する新たなリーダーになる構えを見せていた。だが米国からの圧力がなくなったため、その決意は経済・政治面の困難に直面する中で薄れていったとアナリストは指摘する。

 また米中貿易戦争による影響で中国がエネルギー自給を重視する姿勢を強めたことが、石炭への支援を強める要因になった可能性が高い。コロンビア大学グローバル・エネルギー政策センターの上級研究員、エリカ・ダウンズ氏はこう指摘する。「エネルギー貿易や輸入依存に関してより広範な懸念があっても、石炭には安心感がある」

 石油大手BPの2019年版「スタティスティカル・レビュー」によると、中国の石油の輸入依存度は昨年72%に上昇し、過去50年で最高となった。また11月は石油輸入量が過去最高に達し、増加の大半はサウジからの輸入分が占めた(調査会社ケプラー調べ)。

 中国の石炭利用は近年、増加傾向にあるものの、昨年のエネルギー源全体に占める割合は過去最低の58%と、10年前の72%から大きく低下した(BPのスタティスティカル・レビュー調べ)。背景には、中国がパリ協定の目標達成に向けて再生可能エネルギーへの投資を拡大したことがある。再生エネが全体に占める割合は10%に満たないが、利用は昨年29%伸びており、世界全体の増加分の半分近くを占めた。

 クリーンエネルギー推進派は、中国の石炭政策と気候変動への取り組みを見極めるにあたり、2020年に政府が公表する次の5カ年計画に注目している。

貼っていくスレ 2019 年 12 月 24 日 08:29 JST   【北京】中国が目指す「脱石炭」の取り組みがここにきて失速している。世界最大の二酸化炭素排出国である同国が、気候変動対策で世界をリードするとの野望より経済成長とエネルギー安全保障を優先しているためだ。   中国は最大の汚染エネルギー源である石炭の使用を大幅に削減すると表明しているが、石炭消費は過去3年に増加に転じ、再びピーク水準に迫っている。中国が建設を進める石炭火力発電所の能力は、同国を除く世界全体を合わせたものより大きい。   米国との貿易戦争の打撃を和らげるために進めているインフラ投資が石炭消費を押し上げている。一方、最大の石油輸入先であるサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けた9月以降、中国は石炭利用に対する姿勢を緩めており、外国産石油への依存度の高さが浮き彫りとなった。   中国が再び石炭重視の姿勢に転じていることを受け、炭素排出量削減の本気度に懐疑的な見方が強まっている。また、ドナルド・トランプ米大統領が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を通告したことで、協定の維持に向けて中国に頼る欧州連合(EU)からは不満の声が漏れる。中国は2020~30年までの目標を達成する見込みだが、石炭に対するその曖昧な姿勢は、グリーンエネルギー目標の達成や、EUと足並みをそろえ一段と野心的な排出目標を掲げることについて、意欲が後退していることをうかがわせる。   「中国はこんなに素晴らしいことをやっていると主張して、とりわけ途上国や新興国からリーダーだとみなされてきた」。シンガポール国立大学エネルギー研究所のシニアプリンシパルフェロー、フィリップ・アンドリューズスピード氏はこう指摘する。だが、中国は化石燃料の段階的廃止を目指しながらも新たな石炭火力発電所の開設を進めており、「これには深い矛盾がある」。   中国の李克強首相は10月、エネルギー安全保障を確実にするよう、石炭業界の発展を訴えた。この発言は従来方針からの転換であり、政府が「反石炭」のメッセージを撤回しようとしている兆候だと広く受け止められた。   トランプ氏のパリ協定脱退表明を受けて、中国は当初、気候変動対策を主導する新たなリーダーになる構えを見せていた。だが米国からの圧力がなくなったため、その決意は経済・政治面の困難に直面する中で薄れていったとアナリストは指摘する。   また米中貿易戦争による影響で中国がエネルギー自給を重視する姿勢を強めたことが、石炭への支援を強める要因になった可能性が高い。コロンビア大学グローバル・エネルギー政策センターの上級研究員、エリカ・ダウンズ氏はこう指摘する。「エネルギー貿易や輸入依存に関してより広範な懸念があっても、石炭には安心感がある」   石油大手BPの2019年版「スタティスティカル・レビュー」によると、中国の石油の輸入依存度は昨年72%に上昇し、過去50年で最高となった。また11月は石油輸入量が過去最高に達し、増加の大半はサウジからの輸入分が占めた(調査会社ケプラー調べ)。   中国の石炭利用は近年、増加傾向にあるものの、昨年のエネルギー源全体に占める割合は過去最低の58%と、10年前の72%から大きく低下した(BPのスタティスティカル・レビュー調べ)。背景には、中国がパリ協定の目標達成に向けて再生可能エネルギーへの投資を拡大したことがある。再生エネが全体に占める割合は10%に満たないが、利用は昨年29%伸びており、世界全体の増加分の半分近くを占めた。   クリーンエネルギー推進派は、中国の石炭政策と気候変動への取り組みを見極めるにあたり、2020年に政府が公表する次の5カ年計画に注目している。