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「株」をめぐる雑記録     by  yaetsu farm
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>>326

このたび、久しぶりに『孟子』を読み返し、というか完全な斜め読みでしたが、一番印象に残ったのは「離婁章句下」の中の次のような話でした。

[孟子がいわれた。]「斉の国の男で、妻と妾(めかけ)を一人ずつ持っていて、同じ家でいっしょに暮らしているものがあった。この男は外出すると、いつも酒や肉のご馳走を鱈腹たべて帰るので、その妻が『誰といっしょに食事をなさったのですか』とたずねると、きまってみな金持ちや身分の高い人々ばかりである。あるとき妻は[変に思って]妾に向かっていった。『うちの旦那さまは外出なさると、いつでもご馳走を腹いっぱい食べてお帰りになる。ごいっしょに食事をなさった方をおたずねすると、相手はきまってみな富貴の方々ばかり。ところが、そんなご立派なお方は家へは一度もいらしたことはありません。どうもおかしいから、私が一つ旦那さまのあとをつけていって見ようとおもいます。』その翌(あ)くる朝はや起きして、妻は見え隠れにこの旦那のあとをつけて行ったが、町中歩きまわっても立ち話さえする者もいない。とうとうしまいに東の郊外の墓場で墓祭りをしている人の所へ行って、お供物の残りをねだって食べ、まだ足りないとあたりを見廻しては、またほかの所へ行ってねだるのだった。これが旦那の鱈腹食う方法なのであった。
この様子を見届けた妻は家に帰るなり妾にこの話をして『夫は私どもが一生涯、尊敬して仕える大切な方なのに、それがこんな有様では』といって、二人で散々夫を扱き下ろし怨みののしって中庭でいっしょに泣いていた。ところが、この旦那はそんなこととはつゆ知らず、意気揚々と帰ってきて、いつものように自慢げに妻や妾に話し(ママ)をしたということだ。君子の目から見れば、およそ世間の人が富貴や利達(りえきやしゅっせ)をもとめるやり方というものは、この斉人と似たり寄ったりで、[その浅ましく汚ないこと]もし妻や妾が知ったなら、恥じて泣かないものは殆どまずあるまい。」(『孟子(下)』113-4頁。)



2年前の大河ドラマ「おんな城主直虎」の中で、恋仇といえる貫地谷しほりさんと柴咲コウさんとが一緒になって三浦春馬さんのことを「このスケコマシーッ!」と罵っていた場面を思い出してしまいました。