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私と経済の掲示板

韓国輸出企業、ウォン高直撃 家電や半導体など採算割れ

 ウォン高基調の継続で、韓国輸出企業の採算悪化懸念が高まってきた。大韓商工会議所はこのほど、業種や企業規模別の輸出採算レートをまとめた。足元のウォン相場は既に家電製品や半導体・ディスプレーの採算水準を上回って推移しており、輸出すればするほど損が出るケースも発生しているようだ。

 「最近の為替市場の変動拡大に注目する必要がある。必要なら適切な措置をとる」。朴宰完(パク・ジェワン)企画財政相は21日朝の政府の定例会議でこう語った。発言が伝わると対ドルで上昇基調にあったウォンはわずかながら反落。21日は前日終値に比べ1ウォン、ウォン安ドル高の1ドル=1083ウォンで取引を終えた。

 それでもウォン相場は5月末につけた直近の安値から約9%高い水準だ。先進国の金融緩和であふれたマネーが韓国にも流入。「先高観から韓国の輸出企業がウォン買いドル売りを進めているのも足元のウォン高を加速している」

 商議所の調査は10月下旬に輸出企業500社を対象に実施した。業種別に見ると、家電製品や半導体などが既に採算割れとなっている。

 韓国の地域別の輸出構成比は2011年で中国が最多の24%、欧州が14%だった。ただ、決済通貨別に見ると7〜9月期実績で米ドルは8割強。対ドルでの為替変動の影響は大きい。サムスン電子は半導体やディスプレーの大半を韓国内で生産し輸出しているが、ウォン高で7〜9月期の営業外利益を5700億ウォン(約400億円)引き下げた。

 今後もウォン高が続くと見る企業も多い。現代自動車の13年の想定レートは1ドル=1076ウォンと、12年の実績見込み比5%高い。現代自は海外生産比率を高めるなどでウォン高への抵抗力を高めてきたが「今年からは中国向け輸出を人民元建てにする」(李元熙=イ・ウォンヒ副社長)など、対策を加速する。

 同商議所は調査結果を受け、企業は原価削減や技術開発を通じた非価格競争力の向上などに努めるべきだと指摘。同時に、市場介入などの必要性も訴えた。

 ただ、ある韓国政府関係者は「為替市場介入に対する国際的な批判は意識せざるを得ない」と指摘、大規模介入は難しいとの見方を示す。韓国の輸出は10月こそ前年同月比1.1%増えたが、9月までは3カ月連続で前年実績を下回った。量の減少に加え、ウォン高による採算悪化が進めば企業への影響は大きい。業績悪化が設備投資の本格的な減少や人員整理につながれば、韓国経済全体の下押し圧力となりそうだ。