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私と経済の掲示板

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ところが5月に入ると中国側は突然、補助金や技術移転など重要分野で「合意を後退させた」(ムニューシン氏)。米中交渉筋は「劉鶴氏が米国と折り合った協定案を、共産党指導部の政治局が拒んだ」と打ち明ける。盤石を誇ってきた習体制だが、国内の「弱腰批判」を無視できなくなったとの見方だ。

中国は天安門事件30年を約1カ月後に控え、政治的に敏感な時期にさしかかる。習氏が主導してきた対米交渉が決裂した印象を与えれば威信低下も避けられないだけに、報道管制を敷いてトランプ氏の強硬発言が広まらないようにしている。

関税を引き上げた第3弾は消費財が約2割を占め、米経済も返り血を浴びかねない。それでもトランプ氏が強硬策に転じたのは、株価が回復して経済面で余力ができたからだ。「ロシア疑惑」もひとまず乗り切り、米調査会社ギャラップによると、4月後半のトランプ氏の支持率は46%と過去最高水準に上昇した。

米国は中国が報復に出れば関税を課していない3250億ドル分の中国製品も制裁対象に加える方針だ。一方でトランプ氏は9日、習氏から「非常に美しい手紙」を受け取ったと記者団に明かし、電話協議の可能性に触れるなど交渉継続にも余地を残した。米中は6月の20カ国・地域(G20)首脳会議に向けて協議の立て直しを図るとみられるが、将来の覇権争いをにらんだ強硬論は両国で勢いを増しており、ハードルは少なくない。

国際通貨基金(IMF)は19年の世界経済の成長率予測を3.3%に下げたが、貿易戦争が悪化すれば成長率はさらに0.4ポイント下振れし、世界景気は好不況の節目とされる3%を下回ると警告する。「二大エンジン」の米中経済が減速すれば、弱含みつつある世界景気を失速させかねない。