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4563-アンジェス記事ストック
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中ロのワクチン外交を苦々しく感じているあなたへ その①

2021.03.26

坂田亮太郎

中国Sinopharm社が開発・製造したワクチンが、南米や東南アジアに普及し始めている(画像:123RF)

先日、南米ペルーから一時帰国した友人に驚く話を聞きました。同国の多くの政治家が、承認前の新型コロナウイルスのワクチンを内密に接種していたことが発覚し、現職の閣僚が次々と辞任に追い込まれているというのです。国民を守るべき政治家が、自分や家族の接種を急ぐ姿は「みっともない」の一言に尽きます。私がびっくりしたのは、使われたのが中国Sinopharm社のワクチンだったということ。中国製のワクチンを打ちたい人がどれほどいるのか……というのが多くの日本人の偽らざる本音ではないでしょうか。

「ワクチン外交」──という言葉を、最近よく耳にします。中国やロシアが自国で開発・製造したワクチンを途上国などに提供して、外交上の“武器”にしているという意味で使われています。実際、ペルーでは中国大使館を通じて同国の政治家などに“儀礼的に”提供されていたというのですから、その裏にどのような思惑があるのかと疑ってしまいます。

ただ、我々日本人が直視しなければならない現実があります。日本では、塩野義製薬やアンジェスなどがワクチン開発を急いではいますが、実現は早くても2022年以降と見込まれています。日本は世界有数の経済大国であり、近年は毎年のようにノーベル賞受賞者が日本人から選ばれています。日本発の画期的な新薬だって少なからずあるのに、新型コロナに関しては海外からの輸入ワクチンに頼らざるを得ない。こうした状況が、残念ながら当面は続いていくのです。国産ワクチンの実現が危ぶまれている状況を、「ワクチン敗戦」と称する口さがない人も少なくありません。