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国産ワクチン2022年以降に遅れ アンジェス、追加治験で
新型コロナ
2021年3月21日 2:00 [有料会員限定]


新型コロナワクチンで国内で初めて国内治験を始めた大阪大学発バイオ企業アンジェスのワクチン開発が遅れている。2021年春の臨床試験(治験)終了を予定していたアンジェスのワクチンは、大規模な追加治験を求められたことから、治験時期の終了が遅れることがわかった。実用化時期も当初予定の21年中から22年以降にずれ込む見通しだ。


アンジェスは20年3月から新型コロナのワクチン開発を始めた。開発するのは「DNAワクチン」と呼ばれる日本初のタイプ。遺伝子治療薬の技術を活用していち早くワクチン候補を作り出すことに成功していた。

米モデルナやファイザーとならび世界でも開発開始は早かった。20年6月には健康な人に対して安全性を確かめる第1段階の治験を始めていた。当初は数百人規模の治験ですむ条件付き早期承認を21年春から夏ごろをメドに取得する狙いだった。条件付き承認は有効な治療法がなく参加者が集まらない場合などに特別に使用が許可される。

しかし医薬品医療機器総合機構(PMDA)が20年9月に公表した新型コロナワクチンの評価方針では、治験を「適切に評価できる規模」とする条件をつけた。事実上ファイザーやモデルナといった海外製薬と同じ数万人単位の治験を国内製薬会社に要求した格好だ。

アンジェスにとって新型コロナワクチン開発で条件付き承認を実質的に活用できなくなった。

アンジェスは現在、国内で安全性と有効性を評価する500人規模の治験を進めている。ただ山田英社長は2月の機関投資家向け説明会で「初夏に治験データを公表する。当局と協議・調整をしながら、最終段階の試験規模・試験プランを考えていきたい」と話した。

海外に比べ感染者数が少ない日本で数万人単位の治験を進めるのは難しく、海外治験が必要となる。21年夏から海外治験を始めてもワクチン評価指標では「1年の観察期間が必要」と定められており、治験終了は22年以降になることは確実だ。

国内勢では塩野義製薬も大規模な国内治験が難しく開発中の新型コロナワクチンの年内投入が困難な見通しとなった。