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「超円安」投機が増幅 理論値は142円、金利差で説明困難

外国為替市場で為替介入への警戒感が強まっている。5日公表の米雇用統計で強い数字が出れば、1990年以来となる1ドル=152円台へ下落する可能性があるからだ。金利差や経済指標を使って「円の実力」を探ると142円や133円といった値が出てくるが、実勢値との差は大きい。円を巡る資金フローの変化と投機筋による値動き増幅が理論値での説明を難しくしている。

3日の外国為替市場では円相場が1ドル=151円台後半で膠着感を強めた。「ヘッジファンド勢はこまめに利益確定の円買いに動いている」。ある外国銀行のディーラーはこう話す。3月の米雇用統計など重要指標を控えるなか、政府・日銀の為替介入を警戒していったん円売り持ち高を落としているという。

2日の米債券市場で長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時4.4%と23年11月以来の高水準を付けた。それでも円安・ドル高の進行が限定的だったのは、こうした円の買い戻しが下値で入りやすくなっているためだ。

政府・日銀とヘッジファンドの神経戦が続いている。鈴木俊一財務相は2日の閣議後記者会見で「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除しない」と述べ、投機筋による円売り拡大を強くけん制した。一方でファンド勢は引き続き円売りの機会を探っているとみられ、雇用統計後の円安再燃リスクは残る。

  • >>336

    株式には割安・割高を測る多数の指標があるのに対し、通貨には為替レートの適正値を測る明確な指標は存在しない。為替の適正水準を巡って戸惑いを生む原因でもある。それでも市場関係者は様々な指標を用いて妥当な水準を探る。実際に「理論値」を試算すると円は売られすぎに映る。

    代表的な指標は2国間の金利差だ。22年以降、日米金利差の拡大に比例するように円安・ドル高は進んできた。2年金利差が約1%拡大すると約8円程度円安が進む。足元の日米の金利差は約4.5%で、これに当てはめると円相場は142円程度が妥当な水準となる。実勢値は理論値に比べて9円程度円安が進んでいる計算だ。

    交易条件や対外債務など幅広い指標で試算した理論値と比較しても、円の実勢値の安さは際立つ。日本経済新聞と日本経済研究センターが推計した23年7〜9月の「日経均衡為替レート」は約133円だった。同期間の実際の対ドル円相場は145円程度で、これでも12円程度の乖離(かいり)が生じている。

    理論値と実勢値が大きく乖離し続けているのはなぜか。「国内勢は実需、海外勢は投機の動きが円相場を押し下げた」とSMBC信託銀行の二宮圭子シニアFXマーケットアナリストは指摘する。

    まず企業や個人の取引で発生する「実需」の円売り圧力が強い。23年の貿易・サービス収支は9.8兆円の赤字となった。赤字額は22年の21兆円からは縮小したものの、赤字の状態では輸入品を購入するためにドルを買う需要が、輸出のもうけをドルから円に換える需要を上回っている。

    海外テック企業が提供するクラウドサービスなどへの支払いが増加している。いわゆる「デジタル赤字」の拡大だ。国内機関投資家の外債購入なども円安につながっている。少額投資非課税制度(NISA)の拡大を通じた個人の海外株人気も円売り圧力を高める。

  • >>336

    次に為替水準よりも絶対的な金利差に着目して運用益を狙う「キャリー取引」だ。海外のヘッジファンドや国内の個人投資家は主要通貨で最も金利が低い円で調達し、それを元手に円を売って高金利の外貨を購入し運用している。

    日米の短期金利差(5%程度)がキャリー取引によるもうけの目安になる。市場では年内の米連邦準備理事会(FRB)による利下げと日銀による追加利上げが予想されているが、それでもなお4%程度の金利差が残る。少なくとも米利下げが本格化するまでは安定した収益が見込める取引として余剰な運用マネーが集まり、継続的な円売り圧力となっている。

    実需勢やキャリー取引の動向をみて、投機筋が円売りを強めている。マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司フェローは「151円台の円安水準は投機的な円売りの寄与が大きい」と話す。

  • >>336

    投資主体として金融政策や為替の方向感に賭けるマクロ系ファンドや、値動きに沿って売買を膨らませる投資会社「CTA」などの名前が挙がる。米商品先物取引委員会(CFTC)がまとめた3月26日時点の非商業部門(投機筋)による円の売り越し幅は1.6兆円と前週から拡大した。2月につけた17年以来の売り越し規模に匹敵する。

    「構造的な円売り」が長期的な円安をもたらす――。投機筋は3月の日銀金融政策決定会合を経て、このシナリオに自信を深めているようだ。日銀はマイナス金利を解除しても金融緩和姿勢を強調し、むしろ低金利の円が際立った。実際に為替市場で円を買う動きは強まらなかった。米ゴールドマン・サックスは円相場の3カ月先の見通しを従来の145円から155円に修正した。

    3月の製造業景況感指数など、足元では米景気の底堅さを示す経済指標が相次ぐ。5日の米雇用統計も良好な結果となれば、市場は「6月米利下げシナリオ」の見直しを迫られ、一段と円安・ドル高が進みかねない。

    市場参加者の多くは1ドル=152円台で政府・日銀が為替介入に踏み切るとの警戒を強めている。介入が入れば過度な円安が修正され、理論値に近づく可能性はある。ただ実需勢の円売り構図は変わらず「為替介入の円高効果は一時的」(大和証券の多田出健太チーフ為替ストラテジスト)との指摘があった。