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【松島 新(米ロサンゼルス在住)】
米労働省が24日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%上昇、前年同月比は3.0%上がった。変動の激しい食品とエネルギーを除くコアCPIも前年比3.0%上昇。いずれもウォール街のエコノミスト予想を下回った。連邦政府閉鎖で、ほとんどの公的統計の発表が停止される中、労働統計局はスタッフを呼び戻し、当初予定より大幅に遅れて公表した。社会保障局(SSA)は、公的年金にあたるソーシャル・セキュリティの生活費調整を7~9月のCPIを用いて算出する。つまりデータが不可欠だった。
CPI発表を受け、社会保障局は、2026年の社会保障調整(COLA)は2.8%と発表した。ほぼ予想通りの引き上げ率。社会保障局によると、今年1月時点の公的年金の受給者全員の平均支給額は月1976ドル。
全米5000万人以上の退職者平均は月2008ドルで、来年は56ドル増え2064ドル(約31万5000円)になる見込み。超党派の高齢者団体シニア・シチズンズ・リーグの調査では、過去20年間の調整率は平均2.6%。今年は前年比2.5%上がった。
米国の公的年金の平均受給額は日本の約2倍だが、物価は大幅に高く、多くの年金生活者の余裕はない。
今年のインフレ率は、COLAが8.7%と高水準だった2023年の水準を大きく下回っているものの、コーヒーや農産物などの価格の大幅上昇が貯蓄の取り崩しが必要な退職者の大きな負担になるとウォール・ストリート・ジャーナルは解説した。
CNBCは、生活必需品の購入を公的年金に依存している受給者にとって、2.8%増額でも物価上昇による苦境を和らげるものにならない可能性があると報じた。全米退職者協会(AARP)によると、米国の高齢者の40%が収入の大半を公的年金に依存している。
米国の公的年金の給付額は、収入と退職時の年齢に基づいて決定されるが、制度が潜在的な危機に直面するとの指摘は少なくない。
ワシントン・ポストは、米国人の高齢化に伴い、社会保障に拠出する労働者と受給者のバランスが変化、制度の原動力となる信託基金が枯渇しつつあると報じた。
最新の推計では2033年に枯渇、法律改正がなければ給付金は23%削減される可能性があるとしている。
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