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ジャスダックインデックス【23337】の掲示板 2015/04/01〜2020/11/29

【こんな話もある(2)】
 この考え方を聞いてどう考えるか。可能なのは二とおり。私は平等だという潜在意識をもった社会を重視する立場です。その意味で、私はマイケル・ヤングという英国人社会学者と同じです。彼は1950年末に、『能力主義の高まり』(邦訳『メリトクラシー』至誠堂)というほんとうに素晴らしい本を書きました。その本で彼は、学校での能力によって人々を選別することは、人々に自分たちは平等ではないという感情をもたらすことになるだろう、と予測しました。この教育の違いを重く見る考え方は、米国でトランプ大統領が選出された過程を見ればよく分かります。世論調査の担当者が最初に言うのは「トランプ氏を支持しているのは、教育レベルがもっとも低い人々だ」でした。BREXITについても同じようなことが言われました。
 これに対して、この社会のかなり進んだ不平等を受け入れようという考え方もあります。社会は階層化されているのだし、人々は教育レベルで平等ではない、というわけです。だから「民主主義の消滅というのは正当化される現象だ」というためにこの考え方を援用する人もたしかにいます。私はその人たちには全く同調できません。
 私はむしろ高等教育自体が愚かしいものになり果てたといっているのです。高等教育が無用だといっているのではありません。それがもはや知性だとか創造性だとかを発展させるための教育ではなくなっているという問題を指摘したいのです。それはむしろ、体制順応主義、服従、社会規範の尊重を促すだけの教育になっているのです。私は、もっともよい教育を受けた人たちが、どんどん知性的でなくなっていると思います。
(エマニュエル・トッド)