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ソフトバンクグループ(株)【9984】の掲示板 2017/06/04〜2017/06/06

日本経済新聞
思惑漂う米・サウジ連携に組み込まれた孫正義氏  
(2/2ページ)2017/6/5 2:00


 今回の合意の内訳を見ると、最大の案件はサウジによる1100億ドルの米製武器の調達。ソフトバンクの1000億ドル規模の投資ファンドが続く。この2つで全体の過半を占める。米サウジ関係の復活を内外に示す舞台で、米国に投資と雇用をもたらすソフトバンクのファンドは主役級の役割を与えられた。

 サウジがソフトバンクとの取り組みを重視するもう一つの理由がある。

 ▼石油・ガスの2本柱(の産業構造)に、その他の分野を加えるために投資を拡大。
 ▼そのための投資手段の充実。
 ▼政府リソースと経済の多角化を目標とする投資効率の向上。

 サウジ政府が昨年4月に発表した成長戦略「サウジ・ビジョン2030」に登場する文言だ。全86ページの文書はサウジが石油依存から脱するための見取り図だ。様々な数値目標のなかに、「投資能力の最大化」を盛り込んだ。


■「僕にとっての薩長同盟だ」

 これはサウジの投資戦略の大転換である。アラブ首長国連邦(UAE)やカタール、クウェートなどの中東産油国は原油高の時代に積み上がったオイルマネーを株式や債券、不動産などに積極的に投じてきた。

 実務を担うのが各国の政府系ファンド(SWF)。運用資産が7千億ドル規模とされるUAEアブダビ首長国のアブダビ投資庁(ADIA)は日本企業を含む、世界中の優良企業の株式などに幅広く資金を投じる。

孫氏は脱石油の未来を懸けたサウジの投資戦略への転換に一役買う
 これに対し、サウジはピーク時には7千億ドルを超えた在外資産の運用については、通貨庁を通じた米国債の購入など、比較的リスクの少ない資産が中心だった。それを経済の多角化と新たな産業の育成につながるハイリターン路線へかじを切った。成否は脱石油の行方を左右する。サウジを知る事情通は「投資先の選定や運用成果の還元に口を挟みたいと考えるのは当然だろう」と語る。

 トランプ大統領とサルマン国王という世界が注目する2人の指導者を投資ファンドでつないだ孫社長。自身が敬愛する坂本龍馬が、薩摩藩と長州藩を引き合わせた故事になぞらえ、「僕にとっての薩長同盟だ」と語った。巨額資金を得たファンドが米国発のイノベーションに一役買うのは間違いない。