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2004063

tao***** 強く買いたい 2014年5月18日 12:27

米国では中国eコマースの巨人アリババのIPOをめぐって、アリババ株を22.6%保有するYahoo!が注目を集めて来た。しかし投資家がもっと注目すべきは日本の企業ソフトバンクだ。ソフトバンクはアリババ株を34.4%保有し、Yahoo!より強固な事業の基盤を持つ企業なのだ。

ソフトバンク創業者である孫正義氏はYahoo!が検索分野で挽回の道を探ろうと立ち向かっている課題の大きさを理解できる人物だ。2000年のドットコム・ブームの頂点で、彼は一時世界一の金持ちに登りつめたこともあった。その富は初期Yahoo!へのベンチャー投資がもとになっていたのだが、ITバブルがはじけるとソフトバンク株は98%も下がってしまい孫氏の資産の大半を消失させてしまった。しかし彼はIT関連ポートフォリオを立て直し、まず日本において一つ目の携帯電話事業に進出したと思ったら、今度はついに19ヶ月前には、二つ目の携帯電話事業として米国に進出して来て、220億ドルをつぎ込んでスプリントの80%を取得したのだ。ソフトバンクは今日ではインターネット、固定・モバイル通信、オンラインゲーム、eコマースを世界中で展開するITゴングロマリットとなっている。


2012年10月、スプリント買収に着手したソフトバンク株について我々はここで、行く手に様々な障害があるかもしれない点を注意喚起しつつポジティブに評価した。テック関連株の調整につられる形で直近でソフトバンク株は高値から20%下落してしまったが、それでも我々の同記事(『てっぺんを目指すソフトバンク傘下の新スプリント』2012.10.22)が掲載された時点からは225%上昇している。近々予定されるアリババの上場は新たな株価押し上げ要因になるだろう。「ソフトバンクは依然、日本で最も魅力的な投資対象であり、日本国内では同業他社より高い成長率を持ち、日本に勝る高成長市場への投資に積極的で米国だけでなく中国へも投資を行っている。その一つが中国のアリババだ」と語るのはロンドンのNew Street Research のアナリスト、カーク・ブルーディ氏だ。

事実、ソフトバンクの売上高は前期の3.78兆円(約370億ドル)から今期は6.36兆円に、来期にはさらに7.6兆円に跳ね上がるだろうと予測されていた。純利益も前期の2894億円(約29億ドル)から5600億円へ、そして来期には6000億円を超えると見られている。オンラインゲームと日本国内での通信事業に加え、スプリントおよびヤフージャパンがソフトバンクの利益成長を支えている。(ヤフージャパン自体も利益の大きいインターネット・プロバイダーを保有している。)


昨年ソフトバンクはガンホー・オンラインを通じてフィンランドのゲームメーカーSuperCell Oyを取得、さらに米国のモバイル端末流通業のブライトスターを取得し子会社化した。猛烈なコスト削減でスプリントの経営改善も進めた。ただし3位としてはAT&Tやベライゾンに比べるとその距離はまだ大きいが。

Yahoo!のアリババ株保有分全体の価値は370億ドルと推計されているが、アリババ上場でソフトバンクが手にする見込みの利益570億ドルに比べれば豆粒にすぎない。市場で囁かれている最新の数字ではIPO価格は1株72ドル。これに基づけば以上のような金額になる。

「過去14年間でこれほど巨額のリターンにつながった投資は類がない」と先のブルーディ氏は言う。IPOによる新株発行でソフトバンクの保有率は30%程度に下がるとみられるが、保有株の40%の売却を計画しているYahoo!と違いソフトバンクは保有株を売るというのではない。少なくとも今後数年はアリババ株を1株たりとも売らないと世間に公約済みでもある。仮にIPO後アリババ株価が20%上がると、ソフトバンクの利益はさらに95億ドル増えることを意味する。

ソフトバンクは蓄えた利益をどう使おうとしているのだろうか。その資金規模は同社が過去20年間に行った非常に積極的な長期投資額を超えるものだ。香港のカンター・フィッツジェラルド社アナリストのNaoshi Nema氏(漢字不明)は、最優先は米国でスプリントを強化するための投資だろうと予測している。同社は早ければ7月にもTモバイル買収提案を正式に発表するとも見られている。

米国政府当局者はこれまでのところ主要4社体制の通信市場を3社に減らす合併には難色を示しているが、Nema氏によると孫正義氏はTモバイル買収をあきらめないだろうという。「2社だけが強者で他の2社が弱者にすぎないという4社体制で2流の通信インフラが続くなら米国にとって妥当なことではない」と孫正義氏は最近語っている。3位のスプリントと4位のTモバイルが合併できれば2大強者に脅威となる競争が生まれ、インフラ投資をさらに迫り、消費者により安い料金でサービス提供する競争にかきたてるだろうと孫正義氏は主張している。.

仮にTモバイル取得が不可能になってもソフトバンクは他の大きな案件に投資を行うはずだとNema氏は見ている。ただ、それは孫正義氏から提案した85億ドルでのVivendi傘下のユニバーサルミュージックグループ買収案がにべもなく拒否された経緯のある欧州以外になるかもしれないということだ。「ソフトバンクはコンテンツとオンラインゲームに注目しそうだ。とにかくアリババの価値上昇の恩恵を受けて孫正義氏は何だって買えるほどビッグな小切手帳を手にしており様々な可能性が広がっている」とNema氏は言う。

ブルーディ氏が設定しているソフトバンクの目標株価は11500円。現在の株価からの上昇余地は54%ある。それでも今年の純利益に対して15.5倍、純資産の4倍にすぎない。アリババ株の代理株としてソフトバンクはYahoo!よりもはるかに良いと言う。「Yahoo!の持分は小さいし、IPOの一部として保有株の40%を売却しようとしている。アリババ株の価値を除けばそれほど価値のある事業も持っていない。ヤフージャパン株もあるにはあるが、IPO後の上昇に伴う利益を享受するのはほぼ不可能だ。それに比してソフトバンクには収益性の高い強力なコアビジネスがあり、スプリントの黒字転換や今後のTモバイルとの合併の可能性もある。どの観点からもYahoo!とは比べ物にならない」とブルーディ氏は力説した。