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安田倉庫(株)【9324】の掲示板 2015/04/29〜2020/02/26

財投再び存在感
政府は18年度にも1.5兆円を融資した。無駄な道路整備を生んだと批判された財政投融資が日銀の大規模緩和による超低金利を背景に再び存在感を増している。まるで高速道路や公共工事向け資金を生みだす打ち出の小づちのようだ。政府の19年度一般会計予算でも、公共事業関係費は約6兆9000億円と当初ベースで約10年ぶりの水準に膨らんだ。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「金利が低いために財政規律が緩み、景気拡大局面にもかかわらず、政府は毎年のように追加財政を打ち出している」と批判する。17年度の利払い費は約8兆円と12年度からほぼ横ばいだが、国の公債残高は17年度末に864兆円と2割増えている。
精査甘い地方債
地方でも大がかりな公共工事が目立つ。青森県むつ市では20年度の完成をめざす総事業費約50億円の「むつ市総合アリーナ」の工事が進む。人口は5万8000人と旧体育館ができた1970年代から約1万人減った。だが体育館面積は古いものより3倍以上になる。
体育館に50億円もかけるのは約360億円(19年度当初)の同市年間予算に比べ過大にみえる。だが「市民の強い要望に応えて整備する」(むつ市市民スポーツ課)との方針を掲げている。事業費は21億円が国や青森県からの補助金で、残りは返済の7割を国が肩代わりする「合併特例債」などで賄う。昨年8月に同市が作った「財政中期見通し」によると、収入に占める借金返済の割合を示す実質公債費比率は17%と全国約1700市町村でワースト16位だ。現状でも22年度に必要な支出に対し7億円の収入不足に陥るとみられる。仮に金利が上がれば、市財政の悪化はさらに進むだろう。総務省によると、17年度の地方債残高は144兆円。国債利回りは満期10年までマイナス圏で推移する中、地方債はプラスの利回りが得られるため投資家の人気は高い。財政状況が国の基準を満たしていない自治体が地方債を発行する場合、総務省などが精査する制度がある。ただ9割超の自治体が健全とされており、「基準の甘さから財政規律の緩みを招きかねない」(土居丈朗慶応大教授)と懸念が強まる。日銀の超低金利に甘え、国も自治体も財政規律のタガが緩んでいる