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ANAホールディングス(株)【9202】の掲示板 2020/08/07〜2020/08/14

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FP技能士1級 強く売りたい 2020年8月14日 07:41

今回の5000億円規模の資金調達を、なぜ「劣後ローン」で行おうとしているのだろう?

劣後ローンのメリットとデメリットは次の通りである。
▪️メリット:政府系金融機関などから資金調達を行うと、借入金を「自己資本」に組み入れることが認められる。その結果、民間銀行からみた企業の財務の健全性が高まり、通常の融資を受けやすくなる。
▪️デメリット:金融機関にとっては一般的な融資と比べてリスクが高く、その分金利が高くなる。

ちなみに、6月26日時点におけるANAの自己資本比率(41.4%)が、劣後ローンと通常の借入の場合では次のように異なってくる。
▪️劣後ローン:41.4% → 51.0%
▪️通常の借入:41.4% → 34.7%

<参考>
▪️JALの自己資本比率:58.9%(6月26日時点)

以上のことから、劣後ローンを選択した理由は、今後まだ必要になると考えられる通常の融資を受けやすくするためと思われる。
合わせて、JALとの経営統合話が今後万一出た際に主導権を握る上で、少しでも遅れを取りたくないという経営判断が働いたのではないかと考えられる。

なお、劣後ローンがどういうものかということを少なくともマーケット関係者は理解しているので、これが売り材料になることはあっても買い材料になることはまずないだろう。

また、会社にとって最も負担が少なく、かつ財務の健全性が高まる資金の調達方法は「増資」である。しかし、今回それを選択しなかった理由は、おそらく株主のことを特に配慮したためではなく、単純に引き受け手がいなかったためであろう。
(※政府が出資を行う場合は、1回で終わらせるために、ANAの債務の総額がある程度固まるまではたぶん出資を行わないだろう。)