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ANAホールディングス(株)【9202】の掲示板 2024/02/17〜2024/02/29

この人のコラム大正解だった。
2021.08のコラム。

 まず(1)については、ANAHDが説明するLCCブランド強化が目的だとすると、ピーチにAJの人員や機材を組み合わせれば済む話で、別に新ブランドを立ち上げる必要はないのではないか。(2)にしても、新ブランドが担う中距離東南アジア、オセアニア路線はすでにJALグループのZIP Air Tokyoやカンタス系列のジェットスター、シンガポール航空系列のScoot、独立系LCCのエアアジアXなど中距離LCCが群雄割拠の状況で、後発組のANAがどれだけ食い込んでいけるか疑問符がつく。(3)は、ANAHDの片野坂真哉社長は派遣外国人パイロットの活用を人件費削減の目玉かのように話しているが、AJでは従来から派遣外国人パイロットを雇っており、今回の発言は不可解だ。

新ブランド設立に「巨額支援の手前、やってる感出す必要」「ピーチのブランドを傷つけたくない」との指摘
 これらの疑問について、ある航空アナリストはこう解説する。

「(1)については、ANAHDとしては現在、国や銀行から巨額の支援を受けており、事業構造改革として『やってる感を出せる目玉』が欲しかったのではないかと推察されます。実際、ANAHDが掲げる計画の中身は、機材導入計画の縮小や、ANAとピーチの連携強化など、地味で当然やるべきことばかりで注目を引くような要素はありません。


(2)との絡みでいうと、ANAHD自身もこの新中距離LCC計画の成功確率は高くないと考えているのではないでしょうか。そもそも中距離LCCは短距離のそれと比較して収益性が芳しくなく、この新ブランドがターゲットにする市場は競争が熾烈です。一方、ピーチは日本のLCCとしては最も成功しています。中距離路線のLCCをこれとは別建ての新ブランドにする事で、首尾良く進まなかった場合に、ピーチのブランドイメージを毀損することなく撤退可能という目論見があるのではないかと考えられます。

(3)については、実際はパイロットではなくて、AJの人件費の大部分を占めるCAの待遇悪化に対する批判を避けたかったのではないでしょうか。現在はフルサービスキャリアであるANA便の運航受託をしているAJがLCCになれば、運航コストの下押し圧力に晒されることは不可避でしょう。この流れでCAのさらなる待遇引き下げも考えられる。人件費削減を進めたい経営陣の主眼はそこにあると考えるのが自然でしょう」

AJのCA「検疫補助業務の次は世間アピールの道具」と批判、現役パイロット「自社養成をケチって外国人で埋め合わせていた」
 本連載では、AJのCAはANAHDが政府から受注した成田空港国際線での検疫補助業務に、十分な感染対策が取られない状況で従事させられている現状について繰り返し指摘してきた。そのなかで、ANAHDがAJのCAに「グループ社員とわからないように」と文書で通知するなど、子会社に対する差別的待遇が本質的問題だと報じた。今回の新ブランド設立についても、AJ社員には事前説明はなく報道で初めて知るといった状況だったといい、不信感が高まるのも無理はない。

 AJはANAHDの片野坂社長によって1990年に設立され、AJのCAはANAのCAと同じ制服を着て同じ業務に従事しながら、ANAのCAと大きな待遇の差を強いられてきた。今回の新ブランド設立で片野坂社長が言及した外国人パイロットの活用についても、ANAグループがHD化以降に急拡大した国際線事業でのパイロット不足の穴埋めをする役割をしてきたという。ANAの現役パイロットはこう話す。

「ANAのパイロットは、伝統的にプロパーの仕事が制限されることへの危惧や勤続年数に応じた年功序列の関係があり、日本人純血主義が取られてきましたが、当初予定の08年から3年遅れで納入されたB787が徐々に運用されてくるにつれ、パイロット不足が深刻化していました。ところが、人件費を抑制したいANA経営陣はコロナ禍前に売り手市場だった新卒採用にまったく積極的ではなく、ここ5年でANAのパイロット数はほとんど変わっていません。

 このような状況のなかで、調整弁として重宝したのが増減しやすいAJの外国人パイロットだったというわけです。AJではコロナ禍前は9割が派遣外国人パイロットで、残り1割をANAのパイロットが出向するかたちを取っていましたが、毎月2週間がむしゃらにフライトして本国に戻って2週間休むといった勤務スケジュールで、しかもその飛行機代はANA持ち。決してトータルコストは日本人パイロットと変わらないか、むしろ高いと言われていました。これだったらきちんと自社養成パイロットをしっかり新卒から鍛えたほうがいいとの声は根強くあったのですが・・