日経平均株価【998407】の掲示板 2017/05/14
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その時、私はレイカの身の危険を察して、レイカの彼氏のタカシという茶髪にピアスのザ不良少年とレイカの間に不覚にも割って入ってしまった。
「ちょーけた(ふざけた)こと抜かすなよ。誰だよ、あんた」タカシのにらみに私は膝が震えるのを自覚しながらもレイカに手を出せない位置に私は陣取り続けた。レイカは以前にあったように、左目付近を赤く腫らしていたことから、あの時の腫れもタカシによるものだと私は結論付けた。タカシの仲間らしき風体の悪い体の大きい学生が、コンビニ前でやるとまずいぞと私にも聞こえるように言い放った。それを聞いたタカシは今にも私の胸ぐらをつかみそうな状態を押しとどめて「おっさん、顔かせや」と、公園方向に頭を一度大きく振ると、低い声で威圧した。
「そのおやじは関係ないがね。うちらの問題だらー」と、今まで押し黙っていたレイカが堰を切ったようにまくしたてた。その勢いに私だけでなく、タカシもその仲間も面くらったらしく動きが止まった。
「大丈夫ですか」金髪の若い男性店員がコンビニから出てきた。タカシは舌打ちすると、私を一瞥して、「次はないからな」と、どすのきいた声でささやいたのちに、きびすを返して離れていった。仲間も後を追うように離れて、私はその場にしゃがみこんでしまった。コンビニ店員もタカシ達が離れるのを確認したのち、にっこり笑って仕事に戻って行った。
「ださっ」レイカは少し笑ってつぶやいた。左手で顔を押さえているが、そんなにひどいけがではなさそうだった。
そして、思い出したように、コンビニ内へ行ったのち、見慣れた物を持って出てきた。私の愛飲する缶コーヒーだった。「借りは作らない主義だし」
トリペプチド 2017年5月15日 00:12
不良少女レイカにグーパンチを受けてからというもの、私は不覚にもレイカのことを好きになってしまったようだ。
「キモイんだよ、おまえ、おやじ」その時に言われた言葉が今でも心にリフレインしている。
口では、毛嫌いしているようなことを言いながら、レイカは例のコンビニ通いを止めなかったことを考えると、私はそれほど嫌われていないか、まったく歯牙にもかけられていなかのどちらかだろう。どちらにしても嫌われていないであろうことが、私にかすかな希望を抱かせたのは間違いない。幸いなことに私は外回りで、レイカに仕事時間内に遭うのはそれほど難しい所業ではないのだ。
ある時、例のコンビニそばの公園の片隅で紫煙をくゆらせながら、どこか所在無げにたたずむレイカを見た。普段は落ち着きなく周囲に警戒気味のレイカにしては珍しいことだった。よくよく観察していると、タバコを持った左手を下ろしながら、たまに右手で涙を拭くような動作をしていた。
私は、何かにとりつかれたように、レイカに気づかれないよう、徐々に距離を詰めていった。
「よう!元気かい」レイカの後方5メートルぐらいでしばし逡巡していた私は意を決して声をかけた。
驚いたように一瞬振り返ったレイカの左目が少し腫れて涙ぐんでいるのを私は見逃さなかった。
「うっせ、キモおやじ」一瞬こちらを一瞥したのち再度そっぽを向いて、一瞬間をおいて、いつになく元気のない声でささやくような、独り言のような具合にレイカは返した。どうやらなぐりかかる気配はない。
私はメスカマキリに近づく、オスカマキリのような震えた心境で慎重に近づいて、自分用に自販機で買った缶コーヒーを差し出した。
一瞬時間が凍りついたように感じたが、タバコを口にやったレイカは私を向いて煙を意図的にかけて、タバコを捨てた。そして、眉間にしわを寄せ、一瞬にらんだのちに、奪うように缶を取って、すぐに開けて、あっという間に飲み干してしまった。
「苦えよ」、そう捨てゼリフを吐いてレイカはゆっくりと歩いて行ってしまった。ブラックは彼女のお気に召さなかったようだが、不良少女なりきのやせ我慢か感謝かがその一気飲みに有ったのかもしれない。
私は飲み干して、無造作にその場に捨てられた缶を手に持ち、言いようのない喜びをかみしめていた。