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ウェストウォーター・リソーシズ【WWR】の掲示板

原子力発電とウランの需給
 前回の2016年版以降、世界では原子力発電開発が縮減すると予想されていた。しかし、規制された電力市場においては電力需要量が増加するとともに、低炭素な電源の必要性も拡大すると見られており、原子力発電は拡大していく見通し。これにともない、予測し得る将来にウランの総需要量も継続して増加していくことが見込まれるとした。
 2017年1月1日現在、世界では449基の商業炉が送電網に接続されており、総設備容量(ネット)は約3億9,100万kW。これらが必要とするウランの総量は年間約6万2,825トンUだが、いくつかの国で公表されている政策変更や原子力プログラムの改定を考慮すると、世界の原子力発電設備容量は2035年までに3億3,100万kW(低需要ケース)~5億6,800万kW(高需要ケース)に増加するとした。このためレッド・ブックは、2035年までに原子炉関係で必要とされるウラン所要量(MOX燃料を除く)は、世界の合計で約5万3,000トンU~約9万トンUに増加するとの見方を示している。

 結論としてレッド・ブック最新版は、いくつかの先進国では近年、電力需要が低迷しているものの、世界のウラン需要量は今後数十年にわたって増加していくと予測した。理由としては主に、開発途上国における大規模な人口増加に対応するためだと指摘。原子力は競争力のある価格で低炭素なベースロード電力を供給可能であるほか、原子力発電開発によりエネルギーの供給保証も強化されるため、今後も重要なエネルギー供給源であり続けるとした。
 しかしながら、いくつかの国では福島第一原子力発電所事故により原子力に対する国民の信頼が損なわれ、原子力発電設備も縮小していくと予想。これに加えて、低コストな天然ガス資源に恵まれた北米では、リスク回避的な投資環境が、自由化された電力市場における原子力発電の競争力を失わせていくとした。このため、原子力がもたらすエネルギーの供給保証や低炭素な電力による恩恵が政府や市場の政策に反映されれば、そうした競争圧力を軽減できるかもしれないとレッド・ブックは予測。電力需要が増加するとともにクリーンな発電へのニーズが高まれば、規制された電力市場においてもなお、原子力発電は拡大していくとの見方を示している。

 (参照資料:2018年版レッド・ブック、OECD/NEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)