ここから本文です
投稿一覧に戻る

QDレーザー 6613の掲示板

( 4 )注目動向
[ 新展開・技術トピックス ] ○光配線・光電子融合
光配線では伝送容量の増加をめざしたシリコンフォトニクス光集積回路の多チャンネル化に関する研究が 各国で進んでいる。国内ではPETRA(技術研究組合光電子融合基盤技術研究所)が25 mm2に12チャン ネルが集積された300 Gbps光送受信機を実現しており、2020年にはインテルから総バンド幅1.6 Tbpsの シリコンフォトニクス光集積回路が報告されている。また、波長多重技術による大容量化の検討も進んでおり、 PETRAは小型16波長多重光回路を実現し、世界に先駆けて1波長あたり32 Gbpsの高速信号伝送に成功 している。光電子融合技術については、MIT を中心とした米国のグループがポリシリコン層を光学層に用いて バルク CMOS や FinFET との一括集積が可能なプラットフォームを開発し、CMOS 集積 WDM 光チップの作 製と動作実証を報告するなどの進展がみられる。
○光演算技術、不揮発光メモリ
光を用いたアナログ演算、特にニューラルネット演算の研究開発が急速に活発化している。ニューラルネッ ト演算においてもっとも負荷が大きい演算はベクトル行列積演算(積和演算)であるが、光を用いると積和 演算を高速、低消費電力に実行できる点がもっとも注目されている。Mach-Zehnder 干渉器( MZI )をマト リックス状に集積した回路で任意のユニタリ行列演算ができることが従来から知られていたが、MIT のグルー プは特異値分解を用いてこの回路で任意の行列演算ができることを利用したニューラルネット演算器を提案し、 シリコンフォトニクスを用いて作製した集積回路で 5 入力信号について原理実証している。彼らはこの方式を、 Recurrent neural network(RNN)やConvolutional neural network(CNN)に用いることを提案し ている。 Stanford 大学のグループは、逆発展による学習も光で行う回路を提案している。この方式では、上 述の MZI によるマトリックス回路において各 MZI に受光器を配置し、この測定データを用いて光を伝搬させ ながら学習を行う。
オンチップ光メモリとして最近注目を集めているのが、相変化材料を用いた不揮発性光メモリである。これ は Ge2Sb2Te( GST )を導波路上に装荷した構造で、GST が結晶相とアモルファス相で大きく異なる光学特 性を示すことを利用したものである。2019 年には、この構造を活かしたニューロモルフィックコンピューティ ングの光アクセラレータが報告された。これは、SiN 光導波路およびリング共振器からなる光回路であるが、 一部に GST が装荷されており光強度に応じて応答が変化するように工夫されており、4 ニューロンの光回路で 文字認識などに成功している。
○ LiDAR とオンチップ光コム
LiDAR 応用では、光フェーズドアレイアンテナ方式と日本発のスローライト方式の検討が進んでいる。前者 については、3 次元集積技術を用いた光フェーズドアレイと駆動 CMOS の単一チップ集積と、それを用いたコ ヒーレント LiDAR のデモンストレーションなどの進展がみられる。また、スローライト方式は JST-ACCEL プロジェクトで研究開発が進んでおり、フォトニック結晶スローライト導波路を用いて高い解像度で広角なビー ムスキャンニングが報告されるなど進展をみせている。オンチップ光コムは SiN マイクロリング共振器などに おける非線形光学効果を利用した光コム発生技術である。化合物半導体光増幅器と SiN チップに形成された ループミラーで構成された励起用レーザと、同じ SiN チップ上に形成された高 Q 値リング共振器を用いた乾 電池駆動のオンチップ光コムなども報告されており、実応用が近づきつつある。