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>>1268

続き

今回の人事でブレイナード理事がパウエル氏の後継と目されるのは、相当の理由がある。まず、ブレイナード氏が金融業界の規制強化に前向きであることだ。これが、民主党の進歩派にウケがよい。FRBを率いる立場になれば、パウエル議長の下で緩和された規制を再び強化する方向に進む可能性がある。

またブレイナード理事は、金融政策を用いた経済格差是正の熱心な支持者でもある。もし人事が米議会で承認されれば、パウエル氏の下ではかけ声のみに近い貧困対策や環境問題への取り組みに本腰を入れるようになろう。

さらに民主党内におけるブレイナード人気のもうひとつの大きな理由は、彼女が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行に前のめりであることだ。「デジタルドル」と呼ばれるFRBのCBDCは、同じくFRBが提供する無料デジタルウォレット(口座)や、2万5000ドル未満の取引に限定してエンド・ツー・エンドの支払いを24時間365日可能にするFRBデジタル決済と「三位一体」の、政府による金融サービスを構成する要素になる。

加えてCBDCは、民主党内に支持者が多い最低限所得保障の「ベーシックインカム」や恒久的な扶養子女(児童)税額控除の自動給付装置の一部として機能することが構想されており、リベラル好みの「大きな政府」と親和性の高い政策だ。

だが、FRBによる金融サービスの提供は、銀行など民業の圧迫につながりかねない。このため、規制強化・格差是正・大きな政府など左派的な政策を推進する可能性が高いブレイナード理事は、ウォール街にとってはイデオロギー色が強い「要注意人物」なのである。事実、前述のフェローリ氏は、「(功績の多い)パウエル氏は失職する恐れがある」という間接的な言い回しで、「ブレイナードFRB議長」誕生への警戒を露わにしている。