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骨は珊瑚、目に真珠の掲示板

>>1014

【株の移動は…】

テラは、東京大学医科学研究所の矢崎雄一郎氏が創業、大学発ベンチャーとして期待を集めたものの、看板の樹状細胞ワクチン療法の商業化がうまく行かずに低迷。借金が嵩み、その影響もあって矢崎氏が不透明取引に手を染めて代表を解任され、経営を受け継いだのが元民主党代議士の平智之氏だった。
このテラに着目したのが、医療コンサルタントで藤森氏の医療法人再建に乗り出していた竹森郁氏だった。
竹森氏が捻り出したスキームは、セネ社とその周辺人脈で矢崎氏や大株主が持つテラ株を購入、「メキシコでのコロナ治療薬の治験」がアナウンスされれば、株価の高騰が見込まれるので、それで矢崎氏らテラの既存株主は負債を清算、同時にテラは業績低迷から脱却、藤森、竹森の両氏は、テラとの共存共栄を図れる、というものだった。

株は、4月27日の前後、大きく移動する。大量保有報告書によれば、矢崎氏は4月1日に88万株(1株110円)、5月1日に60万株(1株377円)を内田建設(横浜市)に売却。テラ株の第三者割当増資を17年に引き受けて245万株を保有していた投資ファンドのレオス・キャピタルワークスは、4月27日に約半分の122万株(1株151円)をセネ社に売却、残りは6月末までに市場処分している。この前後を含めたテラ株の移動にインサイダー取引が発生しているのかについて竹森氏は「公表されているものに問題はありません」と、明言する。

「金商法166条6項は、重要事項の公表前に互いがその事実を知った上で相対取引する行為を、インサイダー取引の適用除外と定めています。『クロクロ取引』と呼ばれるものです。当局が問題視しているのは、『クロクロ取引』以外で4月27日以前に重要事項を入手、市場で売買した人たちです」

  • >>1015

    【テラ社の責任は?】

    一方、テラは責任を問われないのか。
    弁護士事務所の報告書で、<薬事承認など受けていないし、州の承認は存在しない>という文書は紹介したが、その他、イダルゴ州知事発言のスペイン語訳を適当にすり替え、<薬事申請>という言葉を差し込んだり、といった細かな工作まで含めると、偽計、株価操縦、風説の流布といった犯罪が疑われるのもやむを得ない。
    それが、たとえセネ社主導ではあっても、現地に何度も出向いた担当の藤森氏はテラ社取締役(21年3月退任)でもあり会社としての責任は免れず、証券監視委捜査によっては、東証が上場廃止を判断する可能性もある。
    いずれにせよ、現段階での公表は弁護士事務所の報告書(9月27日)と、有価証券報告書や適時開示の修正(9月28日)であり、最終的なテラの行方は、捜査が決着するまでは見定められない。

    【テクノシステム事件との連動】

    ここまでは、今年3月3日に強制捜査のあったテラ事件であり、それが大詰めを迎えているということだが、さらにその先がある。東京地検特捜部が捜査するテクノシステム事件との連動だ。最後に、捜査関係者と事件関係者の声を総合、こちらの「今後」にも触れておきたい。
    テラ株売却で余裕資金が出来たセネ社は、一時的な運用先として四国・丸亀市の太陽光発電事業「まんのうプロジェクト」に約15億円を投じた。この買収に名乗りを挙げたのが融資詐欺で特捜部が摘発したテクノシステム(横浜市)。
    特捜部は、その仲介に当たった政界フィクサーが経産官僚に対して行った許認可を巡る工作や、資金繰りに苦しむテクノシステムが政治家を使って行った政府系金融機関に対する資金調達工作を継続捜査、「政官ルート」が弾ける可能性もある――。

    両事件は地下茎で結ばれている。