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米国は衰退期、混乱の瀬戸際 歴史に学ぶ投資家が予測

世界の金融市場が緊張感を高めている。インフレはなお世界で根強い。米中対立など世界の分断も強まるばかりだ。世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイ・ダリオ氏に、経済の変化にお金を賭ける投資家の目でみた先行きを聞いた。

――歴史は大きなサイクルで動くと主張し、国家の盛衰についても詳細に調査した。分析からみえるものとは。

「オランダや大英帝国などかつての覇権国は、興隆期から絶頂期に至り、衰退期に入るというサイクルを繰り返してきた。国家のサイクルは全体では6つのステージに分類できる。新たな秩序が始まって政府の官僚制が整うステージ1と2、平和と繁栄を迎え、支出と債務が過剰になるのが3と4、財政状況が悪化し内戦・革命に向かうのが5と6だ」

  • >>6913

    米国は6段階のステージ5

    ――米国は今、どのステージにあるのか。

    「米国は衰退期に属するステージ5の典型例だ。貧富の差や価値観の相違が拡大し、左派と右派が妥協せずに何が何でも勝とうと争うポピュリズムを特徴とする」

    「過剰債務や大国間の紛争、大きな技術革新、病気のパンデミック(世界的大流行)、干ばつや洪水といった破壊的な自然現象などによって、国際秩序が脅かされることもステージ5の特徴だ。ステージ6では内戦や革命がおこる。米国は大混乱に陥る瀬戸際にいる。ギリギリの線を越えるかどうかは指導者次第だ」

    ――内戦は言い過ぎに思える。

    「最も可能性の高い内戦は、市民が銃を撃ち合うようなものではない。州政府や地方自治体が連邦政府の指示に従おうとせず、機能不全に陥るようなものだ」

    「2024年の最大の懸念材料は米国の政治リスクだ。民主党のバイデン氏、共和党のトランプ氏のどちらが大統領になっても、米国内の分断による政治的な紛争と、世界の地政学がもたらす紛争のリスクを抱える」

    「高齢のバイデン大統領が任期をまっとうできなければ、誰が引き継ぐのかという問題に発展する。民主党は穏健左派よりも極左の影響が強い点が心配だ。共和党は極右に支配され、米国ではおそらく大きな政治対立が起こるだろう」

  • >>6913

    政権問わず大幅な財政赤字に

    ――米国が混乱に陥れば基軸通貨の米ドルの行方が問題になる。

    「米国や日本、ユーロ圏と、世界の3大基軸通貨すべてで債務が過剰な状態にある。債務増加が通貨の価値低下につながっている。1つの通貨が他の通貨に対して相対的に下落するというよりは、通貨の購買力が落ちるインフレ圧力や、金(ゴールド)の価格上昇という形で表れる。こうした状況は今後、数年間にわたって起こるとみる」

    「もしトランプ氏が大統領に選ばれれば、米国は保護主義に傾き、関税を大幅に引き上げ、インフレにつながるだろう。バイデン大統領が再選されても財政拡張が続く。どちらが大統領になっても、米国は大幅な財政赤字になるとみる」

    「インフレ圧力が高まり、米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%まで物価上昇率が下がるとは思えない。財政赤字や国債増発は各国に共通、世界のほとんどの中央銀行にいえることだ」

    ――リーマン危機の原因は住宅ローンなど民間の借金だった。今は政府債務が問題なのか。

    「米政府の財政は、新型コロナウイルス禍に対応した支出などで悪化した。赤字の穴埋めに国債発行を増やすだろう。米国債など債券は最も魅力がない市場だ。金利が高くても債務の量が多すぎる。発行の多さとインフレ圧力によって債券利回りは上昇しやすい」

  • >>6913

    中国は100年続く嵐へ

    ――債務問題は、不動産不況に陥った中国でこそ大きいように思える。

    「そのとおりだ。私が開発したバブル測定システムは、5年ほど前に中国の不動産市場と地方債市場でバブルが発生していることを示していた。この2つの市場はまもなく崩壊した」

    「1980年代に始まった中国経済ブームの間に債務が膨張し、貧富の差が広がった。一人っ子政策による人口減も国の債務拡大につながった。債務再編が必要だが、そのプロセスは政治的にも経済的にも痛みを伴い、きわめて困難なものになるだろう」

    「中国は今後100年間続く嵐に突入しつつある。日本がバブル経済崩壊後、景気が回復するまでに何十年もかかったように、試練が続くだろう。株式相場をみると中国株は割安となったが、構造的な問題は解決されていない」

    ――米中対立の行方をどうみる。

    「中国を巡る地政学リスクは、軍事戦争よりも経済戦争のリスクが高いといえる。欧州、中東、アジアを相手にした貿易戦争が長引き、中国企業の経済コストが拡大しかねない。中国製品への関税の引き上げやダンピング(不当廉売)への批判などで、特に過剰生産能力を抱えて輸出しなければならない産業が打撃を受けるとみている」

    「外国企業は地政学リスクを理由に、中国でのビジネスに消極的になりつつある。中国企業ですら同じ動きがある。人工知能(AI)や量子コンピューターを巡る米中の技術対立も懸念材料だ」

    「他の国には好機だ。インドネシア、シンガポール、ベトナムのような東南アジア諸国連合(ASEAN)の各国やインドなどに恩恵が大きい」

  • >>6913

    株式はバブルではない

    ――中国の停滞を受けて、日本を投資先として見直す動きは続くのか。

    「株式市場の観点では、割安株が多い日本株は引き続き魅力的だ。地政学リスクが世界で拡大するなかで、日本は政治的に安定しており恩恵を受けている。金融緩和と円安の追い風もある。日銀は金融引き締めに向かうだろうが、利上げにより日銀は保有する国債に大きな損失を被る。そのため、引き締めのペースは緩慢なものにならざるをえないだろう」

    「一方、日本国債は投資対象としては引き続き最悪の状態となるだろう。日本はインフレ率や名目の成長率に比べて金利を非常に低く抑えている。インフレによる目減りや低金利で、積み上がった膨大な債務の価値は切り下げられていく可能性が高い」

    ――日銀の政策変更は世界の金融市場に影響しそうだ。

    「日銀のマイナス金利政策を背景に、利回りを追って日本から米国債などに流入していた資金は、これまでのような規模を維持することは難しいだろう。米国債への資金流入が減少する結果、米国債の利回りは上昇圧力にさらされる」

    ――米国株は最高値圏にあり、日経平均株価も一時4万円を付けた。バブルとの見方もある。

    「バブル期には、レバレッジ(借金)による株式買いが拡大する。素人の個人投資家が特定の銘柄がもてはやされているのに引かれて市場に参入する。そして強気心理が市場全体に広がるといった特徴がある。熱狂に支えられて、株価水準も一般的な価値の尺度を大きく上回る状態になる」

    「現在、テクノロジー株に熱狂的な買いがある点は否めないが、市場全体ではまだ、過去のバブル期の特徴をすべて体現しているわけでない。バブルとはいえない」

    Ray Dalio 世界最大のヘッジファンド、米ブリッジウォーター・アソシエイツ創業者。1975年設立、運用資産は1200億ドルに増えた。歴史分析でも知られ、2022年に第一線を退き作家活動に注力。著書「巨大債務危機を理解する」で米金融危機や欧州債務問題を予見した理論をまとめた。

  • >>6913

    金融危機に歴史あり(インタビュアーから)

    この5年ほど、ダリオ氏から年1回のペースで話を聞いている。ダリオ氏が毎回、強調するのが、未体験の金融危機だと思っても、金融史を遡ると必ず類似の危機があったという点だ。

    ダリオ氏は国家の盛衰とともに、過去100年余りの間にあった世界の債務危機・金融危機も分析している。48回あったという危機を一つ一つ分析した結果、発生原因から解決まで一定のサイクルと原理があるという。

    1920年代の株式大暴落や2008年のリーマン・ショックなど、米国が経験した巨大な債務危機は、混乱を経ながらも終息した。ダリオ氏は、パニックに陥らずに債務保証や流動性供給で経済を刺激しながら借金を減らす解決策を「美しいデレバレッジ(債務削減)」と表現する。

    そして今、ダリオ氏が最も危機感を募らせているのが中国の債務危機だ。「中国経済の回復はいかに美しいデレバレッジを成し遂げるかにかかる」と強調する。