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ロシアの凍結資産、ウクライナ支援への活用策 G7が協議

主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議がイタリア北部の都市ストレーザで始まった。ロシアがウクライナへの攻勢を強め、凍結したロシアの海外資産の活用案への支持が広がる。欧州連合(EU)は先行して活用策をまとめており、G7でも具体策を詰められるかが焦点となる。

会議に先立ち記者会見したイエレン米財務長官は23日、凍結したロシア資産の活用について「より野心的な選択肢に向け、ともに作業を続けなければならない」とG7各国に呼びかけた。

西側が凍結したロシア中央銀行の外貨準備は総額3000億ドル(約47兆円)に上る。G7財務相・中銀総裁会議ではウクライナ支援に向けて資産の活用策を議論する。ウクライナのマルチェンコ財務相も参加して協力を直接呼びかける見込みだ。

EU加盟国でつくる閣僚理事会は21日、凍結資産から生じる運用収益をウクライナ支援に活用することで正式に合意した。凍結資産全体の3分の2はEU域内にあり、その大部分はベルギーの決済機関ユーロクリアが管理する。7月にも実施する。

ユーロクリアの保管分からは年間30億ユーロ(約5000億円)に上る運用収益が生じるとされる。9割をウクライナへの軍事支援をするEU基金に移し、残りの1割は復興支援などに充てる。

  • >>6897

    G7での活用策もユーロクリア保管分の活用を念頭に置いているもようだ。米国では資産の将来の利子を担保にした債券発行や融資の構想が浮上する。

    米国や英国はもともと資産自体の没収を主張してきた。特に米国はウクライナなどを軍事支援する予算案を巡り、共和党が財政規律を重視する立場から支援に慎重だったことなどから、より強硬な没収を唱えてきたとの見方がある。

    国際法への抵触やロシアの報復を懸念するドイツやフランスは資産自体に手を付けることに慎重な姿勢を示してきた。鈴木俊一財務相も「国際法に整合的なものでなくてはならない」との趣旨の発言を繰り返してきた。

    運用収益の活用は、これらの意見の折衷案ともいえる。4月に米ワシントンで開いたG7財務相・中銀総裁会議の共同声明では、6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に先立って「アップデートすることを視野に入れて作業を継続する」と明記した。国際法違反を犯したロシアに一定の負担を負わせるべきだとの方向で各国が収束し始めた。

    もっとも、ストレーザでの会議で具体化できるかは見通せない。

    凍結資産の活用を探るG7も火種を抱える。問題の一つはビジネスでつながりが深い欧州の銀行によるロシア向け投融資だ。一部の金融機関では事業縮小が難航し、ロシアの報復に備えたリスク管理が課題になる。

    国際決済銀行(BIS)によると、ロシア関連の投融資は2023年末時点でオーストリアが136億ドルと突出する。米国の117億ドルを上回り、独仏をあわせれば欧州だけで200億ドルを超える規模だ。

    欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の域内銀行にロシア向け投融資の圧縮を求めてきた。23年末時点で侵略前と比べて半分以下に減ったものの、ロシア市場からの撤退や縮小に向けた明確な工程表などリスク回避の取り組みを求める。

    モーニングスターDBRSによると、リスク資産におけるロシア関連の比率はオーストリア大手ライファイゼン・バンク・インターナショナルが15%で、イタリア大手ウニクレディトが5%ある。ロシア事業で稼ぎ続ければG7の金融制裁に逆行しかねず、米国などからの圧力が強まる可能性がある。

  • >>6897

    G7で活用策がまとまった場合でも、EUの活用策との併存が可能なのかといった論点が浮上しかねない。世界銀行によると、今後10年間でウクライナの復興に必要な資金は4860億ドルと膨大だ。運用収益だけでは復興支援を賄いきれない。

    ドイツは6月にベルリンでウクライナ復興に向けた国際会議を開く。G7はウクライナへの長期支援を約束するが、EU域内の凍結資産を活用する場合の国際法上の整理や各国中銀にある凍結資産の取り扱いなど詰めるべき論点は多い。

    11月の米大統領選でトランプ前大統領が再選すれば、そもそも復興支援自体が暗礁に乗り上げかねない。先進国で最大の債務を抱える日本も財政面の余裕は乏しい。ウクライナ支援と内政面での折り合いに向け、綱渡りの調整が求められる。