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電力10社の純現金収支、6期ぶり黒字化 業績の改善で

電力大手10社の2024年3月期の純現金収支(フリーキャッシュフロー、FCF)が改善した。合計で1兆3737億円の黒字(前の期は2兆149億円の赤字)と、6期ぶりに黒字転換した。積み上がった現金の活用が焦点になる。

事業活動の資金収支を示す営業CFに、投資活動の資金収支を示す投資CFを加えてFCFを算出した。FCFは成長投資のほか、株主還元や借入金返済などの原資になる。

業績の回復で、営業CFが前の期比33倍の4兆484億円となったことが大きい。24年3月期の最終損益は10社すべてで改善し、合計で1兆8248億円の黒字(前の期は5860億円の赤字)だった。

燃料費の変動を遅れて電気料金に反映する燃料費調整制度の仕組みが大きい。燃料価格が下がり「期ずれ」に伴う差益が膨らんだ。値上げも業績の改善につながった。

国が認可した家庭向けの値上げも合計で1000億円以上の収支改善につながった。消費者保護のため価格転嫁に上限がある。資源価格の上昇分を補えず、自己負担をした一部を転嫁した。

九州電力の前期最終損益は1664億円の黒字(前の期は564億円の赤字)だった。国が義務付けるテロ対策施設「特定重大事故等対処施設(特重施設)」の工事が終わり、玄海原子力発電所3、4号機の稼働率が上がった。

投資CFは設備投資などを行うと通常マイナスになる。合計額は2兆6746億円の赤字(前の期は2兆1375億円の赤字)と赤字幅が広がった。東北電力などでマイナス額が拡大した。

東北電力は女川原子力発電所2号機の再稼働に向けた設備投資や、再生可能エネルギーの送電網の整備などを進めた。東電は前の期の株式売却による収入の反動が出た。

中部電力は唯一FCFが悪化した。業績改善により営業CFは前の期比で増えたものの、東芝に1000億円を出資したことで投資CFの赤字幅が膨らんだ。

10社合計の財務CFは3170億円の赤字(前の期は2兆3909億円の黒字)と6期ぶりに赤字になった。財務CFは有利子負債の返済が進むと赤字になる。QUICKによると、10社合計の有利子負債(24年3月期末)は前の期比2%減の27兆8420億円だった。

  • >>6806

    FCFの改善効果が大きく、前期の合計現預金残高は3兆8861億円と38%増えた。増えた現金の使い道が今後の課題だ。

    電力自由化などで電力大手の収益力は低下している。手元流動性から有利子負債を引いたネットキャッシュは前期、24兆587億円の負債超過の状態にある。

    資源安の恩恵が薄れる25年3月期は、業績見通しを発表した9社の合計純利益は減益になりそうだ。

    野村証券の山崎慎一氏は「自己資本比率が20%を切っている会社は有利子負債の返済が急務になる」と指摘する。大手10社では5社が前期、20%を割り込んだ。

    みずほ証券の新家法昌氏は「送配電部門の投資のほか、原発が動いていない会社は原発再稼働に向けた投資など、やらなければならない投資もある」と説明する。負債圧縮を優先し投資が進まない会社と、投資を上積みする会社とで収益力の格差が広がる可能性がある。