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米国金利、高止まり後のリスク

米国の金利の高止まりは、ノンバンク業界を直撃する。リスクの高い借り手に高い金利で貸し付けるビジネスモデルの問題である。伝統的な銀行の2倍の規模に膨れ上がったノンバンク(資産運用会社)のなかでもプライベート・エクイティ・ファンドが代表的だが、高金利の長期化で、借り手の債務返済能力が落ちて問題債権が増える一方、貸し手の資金調達コストも上がってくるからだ。

ノンバンクの問題は、時価会計を行っていない運用会社が多いことだ。問題があっても資金繰りが苦しくなるまで表面化しない。つまり、問題が隠され続けるのである。商業不動産市場では価格が半分になったものも珍しくないといわれているが、証券投信のように日々価格が公表されるわけではない。景気の強さが盛んにいわれるが、経済に内在する不安定な要素は高金利の下で一段と増している。

雇用の4分の3を占める中小企業の9%台の借り入れコストは、売り上げの伸びといってよい名目GDP(国内総生産)成長率の6%弱をはるかに上回る。遠からず、テスラのように雇用調整が始まると予想せざるを得ない。

より大きな問題は、財政赤字の拡大が止まらないことだ。これまでの金利上昇と公的債務の増大で利払い費が増え続けてきた結果だが、景気が減速し、インフレが沈静化しても、国債利回りの低下は極めて緩やかなものにとどまるであろう。さらに、米国金利の高止まりは、ドル高傾向とともに米国外での金利低下の余地を狭め、景気回復が世界的に遅れてしまう。

最近の中国による電気自動車や鉄鋼のダンピング輸出で目立ってきているが、貿易摩擦や国際収支危機から通貨危機へと、地政学的リスクは一段と拡大するだろう。不況下でも財政赤字の削減が大きな課題として残るのは当然だ。