ここから本文です
prismhit~~~明日から令和ですね。
投稿一覧に戻る

prismhit~~~明日から令和ですね。の掲示板

ルネサス閉鎖工場、9年半ぶり再開 半導体増産早く安く

ルネサスエレクトロニクスは11日、2014年10月に閉鎖した甲府工場(山梨県甲斐市)を9年半ぶりに再稼働した。電力を制御するパワー半導体を生産する。半導体受託製造のJSファンダリ(東京・港)は1984年稼働の工場に130億円を投じて3割増産する。電気自動車(EV)やデータセンター向けに需要が拡大するなか、老朽工場を活用して機動的に生産体制を整える。国内の半導体産業の底上げにもつながる。

ルネサスの甲府工場で同日開いた開所式で、柴田英利社長は「EVや人工知能(AI)の普及で電力が際限なく必要になる」と語った。建屋は2000年竣工で真新しさはない。ただ、建屋の中に入ると、新たに整備されたクリーンルームや最新の製造装置が並ぶ。一度閉鎖した工場を使うことで「非常に迅速に稼働できた」。

甲府工場はパソコン電源向け半導体が主力だったが、再開後はパワー半導体を生産する。ルネサス全体のパワー半導体の生産量は25年以降に現在の2倍に増える見込みだ。

23年に入り再稼働に向けた整備を本格的に開始。23年10月にはクリーンルームが完成し、装置の搬入が始まった。半導体工場をゼロから建設しようとすると、一般的に数千億円の費用がかかり、着工から稼働まで2〜3年かかるとされる。甲府工場に投じた費用は900億円程度で、整備期間は約1年に短縮した。

  • >>5954

    EVやデータセンターの需要を背景に、省エネに寄与するパワー半導体の市場が拡大している。富士経済(東京・中央)によるとパワー半導体の世界市場は30年に約6兆円と23年比で約9割増える。

    名古屋大学の山本真義教授は「パワー半導体市場が急速に立ち上がり、投資リターンを得やすくなった」と指摘する。既存工場を活用することで機動的に生産能力を高めようとする動きが広がる。

    JSファンダリは25年に130億円を投じて、パワー半導体の生産能力を3割増やす。同社は米半導体大手オンセミの新潟工場(新潟県小千谷市)を22年12月に取得し、同月内に受託生産事業を開始した。今回は需要拡大をにらみ追加投資をして最新の製造装置を導入する。

    同工場は1984年に建てられた新潟三洋電子(現パナソニック)の工場が前身で、11年にオンセミが買収した経緯がある。JSファンダリは新潟三洋電子から働く40〜50歳代の技術者が引き継ぎ、大規模な人材採用をせずに事業を軌道に乗せた。

    JSファンダリの酒井明彦社長は「老朽工場を再生させることで、半導体を供給できる体制が早期に整った」と話す。経済産業省は国内生産基盤を厚くすることが経済安全保障上重要だとし、JSファンダリに約50億円を支援する方針を決めた。

    ロームは太陽電池工場をパワー半導体に転用する。23年11月に出光興産子会社のソーラーフロンティア(東京・千代田)から宮崎県国富町の工場を取得した。24年末に工場を稼働し、3000億円規模を投じ段階的に生産能力を上げる。30年度までに次世代素材の炭化ケイ素(SiC)の基板を使ったパワー半導体生産量を21年度比で35倍にする。

  • >>5954

    国内には1980〜90年代に稼働した半導体工場が多く、経産省によると21年には国内に約80の半導体工場があった。

    パワー半導体の回路線幅は百ナノ(ナノは10億分の1)メートル超と、最先端の演算用半導体に比べて微細ではない。最先端の製造装置よりも、設計技術や生産管理のノウハウをもつ技術者が求められる。人材確保やクリーンルームなどの設備の整備ができれば、生産に乗り出せる。

    パワー半導体の投資は海外勢が先行する。独インフィニオンテクノロジーズは26年に50億ユーロ(約8200億円)を投じて、独ドレスデンで工場棟を新設する。マレーシアでも約70億ユーロをかけ新工場を稼働させる。投資額は日本のパワー半導体各社の合計を上回る規模だ。

    一方、国内のパワー半導体メーカーは海外競合に比べて規模に劣り、投資余力が限られる。老朽工場の再生が日本全体の半導体産業力を底上げする一つの形になる。