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【新機能】2025年1月から「掲示板の話題を要約」の試験導入を開始
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長期レンジ下抜けたユーロ 日本化懸念、円高圧力にも

ユーロ相場が下落している。11月下旬におよそ2年ぶりの安値をつけ、長期のレンジを明確に下抜けた。欧州の景気低迷が続く中、政局不安も意識され、景気を熱しも冷ましもしない中立金利を下回る水準への利下げも視野に入る。対ドルで1ユーロの価値が1ドルを下回る「パリティー(等価)割れ」が近づき、一段の下落を見込む声もある。ユーロ安は円高圧力にもなり得る。

対ドルのユーロ相場は11月22日、一時1ユーロ=1.03ドル台前半まで下落し、2022年11月以来の安値をつけた。2022年12月以降、長期的に1.05〜1.125ドルの間で推移するレンジ相場が続いてきたが、その下限を明確に下回ったことがポイントだ。足元でも1.05ドルを下回る水準にある。

長期のレンジ相場は上限と下限の中で大きな売買の流れがバランスを保っている。値動きがその範囲を明確に抜けるとバランスが崩れて一方向に進みやすい。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「ユーロは対ドルで下限のレンジを明確に下抜けたことで、さらに下値を試す動きが強まる」とみる。

  • >>15823

    最近の市場では1ユーロ=1ドルを下回る等価割れが起きるのかが注目されてきた。ただ、そこまであと1割程度の距離に近づいたことで、宇野氏は「次に意識される水準は22年9月下旬につけた0.95ドル台前半となり、対ドルでの等価割れはもう意識されにくい」と話す。市場のユーロに対する目線が1段階下がったわけだ。

    前回、ユーロが等価割れしたのは22年7月。ウクライナ情勢の悪化やエネルギー価格の高騰を背景にユーロ安が進んだ。9月にはイタリアでメローニ現首相率いる極右政党主導の政権が誕生する見通しとなり、ユーロは約20年ぶりの安値まで下落した。0.95ドル台前半はその当時につけたものだ。

  • >>15823

    足元では欧州の盟主、ドイツで景気懸念が強まり、ウクライナ情勢の悪化も嫌気されてユーロが売られている。22年当時と似通ったところは政局の不透明要因だ。

    フランスでは、7月の選挙を経て下院でどの党も過半数を持たない「宙づり議会」となった。財政赤字削減を織り込んだ予算案に野党が反発し、内閣総辞職の公算が大きくなっている。ドイツでも予算協議が難航し、連立政権が瓦解した。

    「ユーロは25年に利回りが世界的にワーストランクの通貨になる」。米JPモルガンは11月27日付のリポートでこう指摘し、25年1〜3月に対ドルでの等価割れを見込む。米関税政策の不確実性が欧州の利下げ拡大につながるとし、ユーロ圏は25年末までに世界32中銀の中で下から4番目の低金利になるとみる。下に残るのは日本・中国・スイスのみだ。

    第一生命経済研究所の田中理首席エコノミストは「ドイツでは構造的な不況が解消されづらく、政策対応も期待されているほどには早まらない。トランプ次期米大統領の関税政策もネガティブに働き、緩やかに景気が持ち直すというシナリオは崩れる確率が高まっている」と分析している。

  • >>15823

    JPモルガンに限らず、市場では欧州中央銀行(ECB)が景気下支えのため、継続的に利下げを進めるとの観測が根強い。ユーロ圏の中立金利は2%前後とされるが、それを下回る水準まで利下げが進むとみる市場参加者も多い。英LSEGによると、25年6月に政策金利が中立金利を下回る1.75%まで下がると見込む市場参加者の割合は3日昼時点で8割近い。

    景気下支えのための利下げが行き着くところまでいっても、欧州景気は低インフレやデフレの状況で停滞が続くのではないか。かつての日本経済になぞらえる「日本化懸念」も強まってきている。

    一方、米国では12〜13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利下げが見込まれるが、その後はトランプ次期政権の政策によるインフレ懸念から利下げペースが鈍るとの見方も根強い。長期的にはユーロはドルに対して売られやすい。

    ユーロ安は対円でも進んでいる。SMBC日興証券の小田ちなみ為替・外債ストラテジストによると、対円のユーロ相場はチャート分析の「一目均衡表」で「三役逆転」という強い売りのサインが点灯した。8月に付けた直近安値の154円40銭台を下抜ければ150円を割り込む展開もあり得るという。

    小田氏は「対円のドル相場も3つの強い下落シグナルのうち2つが点灯している。1ユーロ=150円を下回るなどユーロが大きく下落すれば、対ドルでも円高余地が出てくる」と話す。円の対ドル相場は日銀の追加利上げ観測などで上昇傾向だが、ユーロ要因で一段と上昇圧力がかかる展開も想定される。