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すでに、このプログラムは中国では尋常ではない規模の反対に直面している。
「1人の行為で家族全員が処罰される状況を考えると、誰が誰と最も親密な関係にあるかを探り出す当局の能力は、社会全体に萎縮効果をもたらす」。国際人権NGO「ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)」の中国調査員マヤ・ワンはそう指摘する。

警察は少年たちからもDNAサンプルを集めている=The Shifang Municipal People's Government via The New York Times/©2020 The New York Times
(データベース構築の)キャンペーンは学校も巻き込んでいる。中国南部の海岸沿いの町では、(血液採取用の)針を持つ警察官に、少年たちが小さな指を差し出した。約370キロ北方では、女子生徒がいぶかしげに見守るなか、警察官がテーブルを回って男子生徒から血液を採った。
チアン・ハオリン(31)も血液サンプルを提供した。他に選択肢はなかったのだ。
チアンは中国北部の田舎出身のコンピューターエンジニアだが、当局は彼に「血液を提供しなければ、『要注意世帯』として名簿に載せられるだろう」と告げたという。そうすると、彼と家族は旅行をしたり、病院で治療を受けるといった権利を剥奪(はくだつ)されることになる。彼は昨年、そう話していた。
中国当局が成人男性や少年のDNAサンプルを収集しているのは、単純な理由からである。罪を犯すのは、男たちの方が多いことは統計が示している。
このキャンペーンのきっかけは、元をたどれば内モンゴルの中国北部地域における犯罪の蔓延(まんえん)に行き着く。警察はここ30年近く、計11人の成人女性と少女――その1人は8歳――のレイプや殺害の事件を捜査してきた。警察は23万の指紋を集め10万のDNAサンプルをふるいにかけた。2万8千ドルの報奨金も提供した。
国営のニュースメディアによると、2016年に警察は別件の贈収賄容疑である男を逮捕した。男の遺伝子を調べたところ、2005年に女性の1人が殺された現場に残っていたDNAの持ち主と血縁関係にあることがわかった。そのDNAの持ち主カオ・チェンヨンは、犯罪を告白し、処刑された。