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くるみぱん2
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くるみぱん2の掲示板

>>182

フェイクフード
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そして、こうした技術は多数の特許のもとに一部の企業が独占することになるだろう。食の独占はさらに進んでいくだろう。無人化された植物工場や培養肉工場がたくさん作られても職はさほど生まない。そしてそれを維持するためには莫大なエネルギーが必要とされるようになる。それは自然な循環を断ち切ってしまう。自然な循環を断ち切ってしまう培養肉は気候変動、生物多様性絶滅の危機をさらに大きくするだろう(5)。
 
 でも、本当の肉を作るためには何が必要かというと、小麦や米などが育たない痩せた土地に家畜を放っておくだけでもできる。何のインプットもなくとも! 太陽光で育つ草を家畜は食べて、糞は土に入り、炭素が循環する。多様な生物が共存することができる。自然な畜産は気候変動をむしろ抑える。自然は何と素晴らしいことだろう。これに比べれば、培養肉は文明の進歩などではなく、退化・退廃以外のなにものでもない。人間はまだ生態系システムや生命を操作するだけの知識も哲学も十分持っていない。
 
 わたしたちは生きていく上で他の生物の命をいただいている。その命がどんなものであるか、考える時だと思う。人間は微細なレベルで生命を作れるまでになってしまった。しかし、生態系というレベルで見ればその力はまったく微細なレベルに留まっている。バイオテクノロジー企業はそんなレベルで操作してしまって、この生態系のバランスをすでに破壊しつつある。培養肉の普及はその度合いを急速に高めるだろう。
 
 Integrityという言葉がある。日本語にしにくいのだけど、完全性、全体性、さらには誠実とか高潔、品位なども意味する。ちなみにArroz integralといえばポルトガル語で玄米。欠けることのない状態と考えればいいだろうか。培養肉は明らかにこのIntegrityを損なわれた生命。Integrityを失った肉の細胞は果たして、健全性を保ち続けるだろうか。そうしたものに依存するつけは限りなく大きなものになる気がする。もし、それしか肉はないということになるのであれば肉など食べなくても人は生きていくことができる。ここは東アジア食文化が本領発揮すべきところではないか?
 
 培養肉には今後、世界で投資が集まり、そうした企業は注目されていくかもしれないが、それはわたしたちが進むべき方向ではないと思う。