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くるみぱん2
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くるみぱん2の掲示板

>>182

フェイクフード

シンガポールで世界で初めて培養肉の販売が昨年12月に承認されて以来、培養肉に関する情報があふれている(1)。三菱商事も投資に積極的に動いている(2)。培養肉は家畜の幹細胞などを人工的に培養して作る肉のこと。
 シンガポールの培養肉は鶏の羽の細胞をもとに作るという。これだと動物愛護の観点から家畜を殺さなくてもいいし、非衛生的な状態で尊厳のない超過密飼育で抗生物質漬けで作られる肉よりも安全で、しかも牛などが出す大量のメタンガスの発生も抑えられるので気候変動の見地からもいいんじゃないかと考える人が出てくる。でもちょっと待ってほしい。
 この肉をどうやって作るかが問題になる。培養肉が細胞分裂して増えていくためには、そのために必要なミネラルやビタミン、アミノ酸、ブドウ糖などが提供されなければならない。これらはどう提供されるか。腸の代わりを作る、つまり腸内細菌と似た機能を持つ遺伝子組み換えされた微生物を使うのが効率的だろう。それではその微生物は何の栄養で育てるか? 遺伝子組み換えトウモロコシや遺伝子組み換えサトウキビなどが活用されていくだろう。つまり培養肉を育てるために大量の遺伝子組み換え生物が必要になる(3)。

培養するのは家畜の幹細胞からさらに合成生物に代わっていくかもしれない。合成生物とは人間がゼロからDNAを設計した生物のことで、すでにそうした合成生物は作られており、石鹸などの製品化まで行って、大問題になった。合成生物工場のために遺伝子組み換えサトウキビ生産が本格化することを見越した土地投機の動きもある(4)。こうした産業が本格的に動き出したら、森林がさらに破壊されて、小農の農地が奪われ、遺伝子組み換えサトウキビ畑に変えられてしまうだろう。
 
 それだけではない。幹細胞を取り出して培養するにしても、その細胞分裂する範囲には限度がある。ほんの1つの細胞から巨大な肉が作れるわけではない。一定の分裂した後、限界に達すれば死んでしまうからだ。考えるほど培養肉は効率的ではない。この培養肉自身にも遺伝子組み換えを施さないとこの産業は利益率を保てなくなるのではないか? 果たして食べるに値するものになるだろうか?