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Achilles Last Standの掲示板

東京市場での為替売買におけるFX取引の割合は、全体の約半分を占めるほど巨大だ。欧米市場で投機筋が円を売るだけでなく、東京市場でもFX投資家が円を売れば、かれこれ半年以上にわたって長期円安局面が続くのも無理はない。

こうしたFX投資家の異変を通貨当局も強く意識している。最近はFX取引業者に対する売買状況の照会が増えている。財務省が毎月公表する外国為替平衡操作の実施状況によると、政府・日銀は今回の介入で約2兆8000億円分の円買い・ドル売りを実行した。これは過去最大規模になった8月の貿易赤字額とほぼ同額だ。つまり需給面の円売りを円買い介入で相殺しても、投機筋とFX投資家の円売りを抑えられない計算になる。

この半年間で大幅な円安が進んできたことで、市場関係者の間では「円安の余地が狭まり、投機筋が来年も積極的に円売り戦略を進めることは難しくなる」(マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司氏)との見方が浮上する。FRBの大幅な利上げによる米国景気の後退懸念も強まっており、来年にかけてドル資産への資金流入が滞る可能性は否めない。

だがFX投資家の立場からみれば、潤沢なスワップポイントを得られるかぎり、あわてて円を買い戻す必要性は乏しい。その分、たとえ円安に歯止めがかかっても、大幅な円高局面に転じる可能性は小さい。FRBが明確に利上げを停止する姿勢を打ち出し、投機筋が本格的な円買い戦略にかじを切るまで、政府・日銀には円買い介入で円安の加速にブレーキをかけ続けるぐらいしか有効な手立てを見いだせそうにない。