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Achilles Last Standの掲示板

円安・ドル高が止まらない。気がつけば、3月の米連邦準備理事会(FRB)による利上げ開始から半年以上にわたって長期円安局面が続いている。政府・日銀による約24年ぶりの大規模な円買い介入にもかかわらず、なぜ歯止めがかからないのか。円相場の舞台裏を探ると、為替市場の巨大プレーヤーである外国為替証拠金(FX)投資家の取引姿勢の変化が見えてくる。
「これまでのFX取引とは様相の異なる動きになっている」。長年、FX取引の最前線にいる外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は、こんな見方を示す。違和感の原因は「ドルが上がったら売ろうというムードが感じられない」ことだ。

逆張りのFX投資家。これまでFX取引を手がける国内の個人投資家は、ヘッジファンドなどの投機筋が経済統計や金融政策会合を材料に相場を大きく動かしたタイミングで即座に反対売買を入れ、狭い値幅で細かい利益を積み上げる手法を多用してきた。その意味では、投機筋とFX投資家の売買の対立が為替相場の急変動を抑えてきた側面があった。

ところが現在のFX投資家の取引姿勢は、ほぼ円売り一辺倒。その結果、為替市場で何が起こったか。米利上げ継続による日米間の金利差拡大で円売りを仕掛ける投機筋に対し、FX投資家も追随して円を売り続ける。春以降の半年間は、投機筋とFX投資家が共闘して長期円安局面を築き上げる異例の構図になった。

FX投資家による円売り一辺倒の行動はデータからも透けてみえる。外為どっとコム総研がFX取引を手がける個人顧客を対象に毎月実施している先行き1カ月の相場観調査によると、春以降は一貫して円安・ドル高予想が大勢になっている。

なぜFX投資家は反対売買の円買いに動かないのか。理由の一つは、FRBが大幅な利上げを続けているために日米金利差が大きく開いたことだ。ドルを保有し続けていれば「スワップポイント」と呼ばれる、金利差から発生する利益を潤沢に得られる環境になっている。