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Achilles Last Standの掲示板

先週末にニューヨークのヘッジファンドの知り合いたちと「Zoom」による会議の機会があった。結局、日銀が為替介入で、はからずも1ドル=140円台前半の値固めをしてくれた、との見解が目立つ。「サンキュー、ミスタークロダ」とのつぶやきが印象に残った。先週末は、ポンド売りに回っていた投機マネーも、一巡すれば、円売りに戻ってくるもくろみが透ける。短期投機筋は「新黒田ライン」を1ドル=146円に見立て、1ドル=140円台前半のレンジ内で円売買を繰り返し利ザヤを稼ぐ姿勢だ。

しかし、中期運用のグローバル・マクロ系は1ドル=150円、さらには1ドル=160円も視野に、円キャリートレードの継続あるいは新たな設定に動く構えだ。

おりからドルインデックスは113を突破して新高値を更新。歯止めがかからない歴史的ドル高の流れに逆らう、ドル売り・円買いの単独介入は所詮無理筋との意見が主流だ。

BOJ(日銀)を「永遠のハト派」と決めつける投機筋は、特に日本の経済データを追うわけでもなく、日本経済に関する知見も薄く、さらに、円を売ったからといって特に日本について勉強する姿勢も感じられない。アナリストの理論的説明には無関心だ。

たしかに、筆者の体験でも、欧米市場において外為ディーラーで成績を上げるには、理論的説明より、市場の乱高下というストレスに耐える「胆力」のほうがはるかに大事だ。スイス銀行チューリヒ本店外為トレーディングルームのトレーダーで大卒は少数派であった。アメリカンフットボールの選手みたいな男性ディーラーが、おろおろする時に、隣席の小柄の女性が冷静に売買を続ける光景が忘れられない。

  • >>116

    今や市場の構造も激変している。ニューヨークの市場最前線では、ディーラーが、人工知能(AI)やアルゴリズムを駆使して高速度取引で為替介入に対峙している。2011年の為替介入当時と比較すると、マーケットのインフラが劇的に変化していることを改めて痛感させられた。

    日銀に遠慮がないニューヨークのトレーダーたちと、「ジャパン・コーポレーション=日本株式会社」のトレーダーたちの立場の違いも鮮明である。

    振り返れば、今回の1ドル=110円台からの急速な円安は、基本的にニューヨーク市場主導であった。それから、彼らは連戦連勝の勢いに乗ってしまった。チャート上の抵抗線突破や大台超えも、おおむねニューヨーク時間で起こった。日本側は説明役に回ってしまった。ニューヨーク市場で為替介入は、まさに通貨戦争との認識だ。日銀・財務省とヘッジファンドのせめぎ合いは野球でいえばまだ五回表というところか。