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国内外事情の掲示板

共産主義の中国は、土地の私有は認められず、使用権を自由に売買することもできない。

2人目の政策アドバイザーは「土地制度の改革を前に進めなければならない。多くの土地が有効活用されていない」と提言したが、指導部は積極的に動いていないと付け加えた。

<消費抑える出稼ぎ労働者>

戸籍制度は、毛沢東政権時代の飢饉において、食糧配給と人民の出生地をひも付けし、飢えた農民が大挙して都市に流入するのを防ぐ目的で導入された。

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この都市戸籍と農村戸籍を厳密に分ける仕組みにより、約3億人に上る出稼ぎ労働者の多くは、行政サービスを受けられる範囲が限られてしまう。

都市住民に比べれば医療費の還付額は少ないし、退職までの積立金でも雇い主からの拠出金は得られない。

結果として彼らは所得をより多く貯蓄に回し、マクロ的には当局が経済成長のより明確なけん引役になって欲しいと考えている家計消費が上向かない。

人民銀行(中央銀行)のアドバイザーの1人は、出稼ぎ労働者の消費額は都市戸籍取得者を23%ほど下回っており、中国の国内消費に換算すると国内総生産(GDP)の1.7%、2兆元(2810億ドル)を逸失している可能性があると推計する。

中国では、供給過剰に陥っている集合住宅の需要喚起も必要不可欠の課題だ。GDPの約25%を占める不動産市場は、民間デベロッパーの相次ぐデフォルト(債務不履行)で混乱が続いている。

ハーバード大学のマーティン・ワイト教授は、出稼ぎ労働者と都市住民の間での扱いがより公平になり、前者の雇用や福祉サービスの環境が上向き、住宅を買えるようになれば、不動産市場は相当程度改善すると予想した。

<天国と地獄>

ただ、中国指導部にとって、制御不能なほどの人数が都市に流入すれば、リスクをもたらしかねない。

2017年には、北京で出稼ぎ労働者の居住地域に火事が発生した後、市当局は都市戸籍を持たない人々を「追放」する取り組みに乗り出し、中国では珍しい政府への批判が高まった。

北京や上海、深セン、広州といった巨大都市は、社会の安定や調和の観点からこの先何年も、新たな人口流入に窓を開く「チャンスはない」とジャー氏は言い切る。