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outlookの掲示板

2022-01-29 04:10
見通し
週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、金利上昇と株安の綱引きに

◆豪ドル、CPIが予想を上回りRBAの債券購入終了予測が支えに
◆世界的な株安の流れを受け豪ドルの上値は重い
◆ZAR、SARBの再利上げが支えも、軟調な株式市場が上値を抑える

予想レンジ
豪ドル円 79.50-84.50円
南ア・ランド円 7.35-7.80円

1月31日週の展望
 豪ドルは神経質な動きになりそうだ。今週発表された10-12月期消費者物価指数(CPI)は前年同期比+3.5%と、市場予想の+3.2%を上回る結果となった。また、豪準備銀行(RBA)が注目しているトリム平均(コアインフレ)は、前期比+1.0%、前年比+2.6%となり、中銀目標(前年比2-3%)内に2期連続して戻している。燃料費が6.6%だったほか、新築住宅コストも4.2%の上昇だった。また、燃料費の上昇が起因して、商品インフレ率は2008年以来最速の上げ幅を記録している。

 この結果を受けて、来週2月1日に行われるRBA理事会では、これまでの債券購入プログラムを終了するという予測が優勢になってきている。すでに複数の金融機関が利上げの予想を前倒しするなど、豪金利上昇が豪ドルを支える要因になりそうだ。

 本来であれば、利上げ期待による豪ドル買いがトレンドとなるべきだが、ここ最近は米国を中心とした株安の影響で、リスクに敏感な豪ドルは上値が重くなっている。来週は豪金利上昇による買いと、株価の重さによる売りの綱引き相場になり、豪ドルは方向感を見いだすのが難しいかもしれない。RBA理事会声明文と、翌2月2日のロウRBA総裁の講演にも注目したい。

 なお、経済指標では2月1日に12月と10-12月期小売売上高、2月3日に12月住宅建設許可件数、12月貿易収支などが発表される。

 また、隣国ニュージーランドでは、2月2日に10-12月の雇用統計が発表される。失業率や雇用者数増減だけでなく、労働参加率や平均時給などの詳細にも注目が集まる。豪州同様に今週発表されたCPIが上振れており、雇用改善が確認されれば再利上げへの期待が高まるだろう。

 南アフリカ・ランド(ZAR)はもみ合いとなるか。今週、南ア準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)は2会合連続で利上げを行ったが、株安の影響もあり、豪ドル同様に頭が抑えられている。もっとも、南アのインフレ高進は他国と比較してもスピードが速いことを考えると、次回(3月24日)も再々利上げの可能性があり、金利先高観がZARの支えとなりそうだ。ただし、国民の3人に1人以上、若年層に限っては半数以上が失業している現状では利上げは諸刃の剣でもある。現時点では金利上昇がZAR買いに結び付いているが、度重なる利上げで国民の不満が高まり、治安が乱れるリスクには警戒しておきたい。なお、来週は31日に12月貿易収支が発表される。

1月24日週の回顧
 豪ドルはもみ合いとなった。10‐12月期CPIが市場予想を上回る結果が公表されると買われた。しかし、その後は米株を中心とした株安の影響で上値は抑えられ、方向感のない動きとなった。ZARは大きなレンジを作ることはできなかったが、乱高下する株式市場の動きに翻弄された。SARBは0.25%の利上げを決定し政策金利を4.00%としたが、全会一致ではなく4対1での決定だった。また、「0.25%以上の利上げについては議論されなかった」という声明が出たこともあり、利上げ後の反応は限られた。