投稿一覧に戻る 真面目に相場を語るスレの掲示板 47 hardWorker 2021年6月6日 08:21 株高が続行する世界経済、投資家の将来を左右する「いまはバブルなのか否か」4つの見極めポイント 近年の経済における「バブル」の判断は簡単ではなく、時間の経過を待ち、ある程度の結果が見えてから「やはりあのときは…」と振り返るのがせいぜいです。しかし投資家としては、まさに「いま、この瞬間」に投資の意思決定をしたいでしょうから、そんなに悠長なことはいっていられません。では、なにを基準にどうやって「バブルか、バブルではないか」判断すればよいのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。 政府日銀も判断がつきかねる「バブルか否か」問題 バブルには2種類あります。ひとつは「だれが見てもバブルだ」というもの、もうひとつは「バブルか否かは判断できない」というものです。 前者は17世紀オランダの「チューリップ・バブル」が典型的でしょう。チューリップの球根が現在の貨幣価値で数千万円に値上がりするなど、だれもが高すぎると思うわけですが、「明日はもっと値上がりするだろうから今日買って明日売ろう」と多くの人が考えれば、バブルは拡大を続けるわけです。 「強欲な愚か者が踊っている」と感じる人も多いでしょうが、実際に明日も値上がりすれば、今日買った人は儲かるわけで、冷静に考えれば合理的な行動ともいいえるわけです。かのニュートンもバブルに参戦したようで、「合理的バブル」と呼ばれる場合もあるようです。ちなみにニュートンの結果は失敗だったようですが(笑)。 もっとも、こうしたバブルは最近では稀です。政府や日銀がバブルを潰すからです。例外かもしれないのは、ビットコインですね。昔のバブルをイメージしたければ、ビットコインの値動きを観察すればいいのかもしれませんね。 そこで、「バブルか否かは、そのときにはわからない。潰れてはじめてバブルだったとわかるのだ」といわれるわけです。 ちなみに最近のバブルは、バブルか否か判断できないので、政府日銀が潰すことが困難です。バブルのときは人々がハッピーなので、政府日銀が「バブルを潰します」というと大ブーイングが起こります。「いまがバブルだという証拠を示せ」といわれてしまうと、政府日銀も証拠が示せないので、潰したくても潰せないのです。 そうはいっても、いまがバブルであるか否かをなんとなく判断する材料くらいはほしいですね。というわけで、筆者なりに4つの判断指標を考えてみました。 指標1:高値警戒感を払拭する「今回は違う」論が優勢 「こんなに株価が高いのはおかしい。バブルだろう」という人、そして「いや、今回はいままでとは違う理由で株価が上がっているのだから、バブルではない」という人が出てきます。 日本の平成バブルのときには「日本は米国を抜いて世界一の経済になった。世界一の国の株価や地価が高いのは当然だ」という陶酔感が市場に溢れていました。米国のITバブルのときには、「IT(インターネットなどの情報通信)は夢の技術だから、IT関連の株価が高いのは当然だ」という人が多かったですね。 それとくらべると、今次局面では特段の新しい話は聞かれません。「新型コロナが収束するまで金融緩和が続くだろうから、株価が下がることはなさそうだ」といった程度で、「今回は違う」というわけではないですね。 指標2:資産価格が高騰しても金融の緩和が続いている 通常、株価や地価といった資産価格が高騰するのは景気がいいときです。たとえば平成バブルのときには、「日本経済は世界一だ」という陶酔感が株価を押し上げると同時に、設備投資なども増やしたわけです。 また、値上がりした株を売って贅沢する人などが出てくることで、高騰自体が景気をさらによくする場合も多いでしょう。 景気が過熱するとインフレ懸念が出てくるので、金融の引き締めが行なわれ、それによってバブルが崩壊するのが普通です。したがって、バブルが発生しても拡大する前に自然と潰れるので、普通はバブルか否かを論じる必要はないのです。 しかし、バブルが拡大しても金融が引き締められない場合があります。平成バブルのときには、プラザ合意後の大幅な円高で輸入物価が下がったので、景気が過熱してもインフレ率が高まらず、日銀が引き締めをしませんでした。そこでバブルが拡大を続けることができたわけです。 ITバブルのときも、インターネットによって仕事が効率化したのでインターネットを活用している会社は値上げをせずにすみました。そのため景気がよくてもインフレ率が高まらず、金融の引き締めが行われなかったのです。 今次局面では資産価格が高騰しても金融が緩和されたままですが、今回は景気が過熱しているわけではなく、「景気が過熱しても金融が引き締められていない」というわけではありませんから、第二の指標はバブルか否かの判断材料として使えませんね。 指標3:初心者が大量に市場に参入してくる それまで株式投資にまったく興味を示していなかった人々が大挙して投資を始めるのも、バブルの特徴だといわれています。たしかに平成バブルのときは、たまたまNTT株の売り出しがあったこともあり、株式市場には大量の初心者が参入してきました。 米国の大恐慌前のバブルのとき、靴磨きの少年が株の話をしているのを聞いたある大富豪が「これはバブルだ」と判断して持っている株を全部売ったといわれています。 今次局面でも、米国ではロビンフットという株式投資アプリを使って投資をする若者が急増しているそうなので、3つ目の指標には当てはまっているのかもしれません。 指標4:当事者が盛り上がる一方、周囲は醒めている 平成バブルのときは日本人が盛り上がっていましたが、海外では醒めた目で見ていた人が多かったようですし、ITバブルのときには米国人が盛り上がっていた一方、米国以外では醒めた目で見ていた人が多かったようです。 ITバブル当時、筆者は銀行で経済調査の担当をしていましたが、米国に出張して帰って来た人が次々と「米国経済はすごい。君も米国に出張すれば米国の凄さがわかる」というのを聞いて、「米国に出張すると熱病がうつるから出張したくない」と思ったものです(笑)。 今回は世界的な株価上昇ですから、日本と米国の温度差は小さいのかもしれませんが、株式投資をしている人としていない人の温度差、つまり当事者と部外者との温度差という観点からは、かなり温度差はあるのかもしれません。 「バブルの気配=投資をやめる」というのは少々短絡的 上記を総合的に判断すると、今次局面はバブルであるとはいい切れないですが、バブルの匂いが若干漂っていますから、今後これが本格的なバブルに成長していく可能性は否定できません。 「バブルの匂いがある」と聞くと、「バブルが崩壊して大損をするのは嫌だから、投資はしない」と考える人も多いでしょうが、筆者はそうは思いません。「大切な老後資金を株式投資で増やして豊かな老後を過ごしたい」と考えている人であればリスクを避けて静かにしているべきかもしれませんが、小遣いで賭け事を楽しみたいという人にとっては、大いに楽しめるチャンスかもしれませんから。 多くの人が怖がっているときには、美味しい案件が容易に手に入る可能性があるので、今後バブルが本格的に拡大していくチャンスに賭けてみるというのも、期待値的には(確率的には)面白いかもしれません。もちろん、くれぐれも小遣いの範囲内で、ですが。 あとは、積立投資をしている人は、バブルかもしれないと思っても積み立てを続けましょう。積み立てをやめてしまうと、あとから振り返ってバブルでなかったという場合、残念な結果になりかねないからです。 そもそも積立投資のいい点は、「初心者は株価を予想すると間違えるから、予想せずに積み立てる」というところです。そのため、「バブルか否かを判断してバブル崩壊を予想し、積み立てをやめてしまう」という行動が、積立投資のメリットを損なうわけです。 もしもいまがバブルだとして、それが崩壊して株価が暴落したとしても、積立投資を続けていれば、暴落した安い値段で多くの株が買えることになります。結果、バブル期に高く買った分を補う利益が得られるかもしれないのです。 最悪なのは、バブルが崩壊して株価が暴落した時点で積立投資をやめてしまうことです。この世の終わりが来たかのように狼狽売りする人も多いですが、これこそ初心者の判断の誤りというものでしょう。せっかく決めたルールですから、淡々と積立を続けましょう。 今回は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、当然のことですが、投資は自己責任でお願いします。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 返信する そう思う0 開く お気に入りユーザーに登録する 無視ユーザーに登録する 違反報告する ツイート 投稿一覧に戻る
hardWorker 2021年6月6日 08:21
株高が続行する世界経済、投資家の将来を左右する「いまはバブルなのか否か」4つの見極めポイント
近年の経済における「バブル」の判断は簡単ではなく、時間の経過を待ち、ある程度の結果が見えてから「やはりあのときは…」と振り返るのがせいぜいです。しかし投資家としては、まさに「いま、この瞬間」に投資の意思決定をしたいでしょうから、そんなに悠長なことはいっていられません。では、なにを基準にどうやって「バブルか、バブルではないか」判断すればよいのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。
政府日銀も判断がつきかねる「バブルか否か」問題
バブルには2種類あります。ひとつは「だれが見てもバブルだ」というもの、もうひとつは「バブルか否かは判断できない」というものです。
前者は17世紀オランダの「チューリップ・バブル」が典型的でしょう。チューリップの球根が現在の貨幣価値で数千万円に値上がりするなど、だれもが高すぎると思うわけですが、「明日はもっと値上がりするだろうから今日買って明日売ろう」と多くの人が考えれば、バブルは拡大を続けるわけです。
「強欲な愚か者が踊っている」と感じる人も多いでしょうが、実際に明日も値上がりすれば、今日買った人は儲かるわけで、冷静に考えれば合理的な行動ともいいえるわけです。かのニュートンもバブルに参戦したようで、「合理的バブル」と呼ばれる場合もあるようです。ちなみにニュートンの結果は失敗だったようですが(笑)。
もっとも、こうしたバブルは最近では稀です。政府や日銀がバブルを潰すからです。例外かもしれないのは、ビットコインですね。昔のバブルをイメージしたければ、ビットコインの値動きを観察すればいいのかもしれませんね。
そこで、「バブルか否かは、そのときにはわからない。潰れてはじめてバブルだったとわかるのだ」といわれるわけです。
ちなみに最近のバブルは、バブルか否か判断できないので、政府日銀が潰すことが困難です。バブルのときは人々がハッピーなので、政府日銀が「バブルを潰します」というと大ブーイングが起こります。「いまがバブルだという証拠を示せ」といわれてしまうと、政府日銀も証拠が示せないので、潰したくても潰せないのです。
そうはいっても、いまがバブルであるか否かをなんとなく判断する材料くらいはほしいですね。というわけで、筆者なりに4つの判断指標を考えてみました。
指標1:高値警戒感を払拭する「今回は違う」論が優勢
「こんなに株価が高いのはおかしい。バブルだろう」という人、そして「いや、今回はいままでとは違う理由で株価が上がっているのだから、バブルではない」という人が出てきます。
日本の平成バブルのときには「日本は米国を抜いて世界一の経済になった。世界一の国の株価や地価が高いのは当然だ」という陶酔感が市場に溢れていました。米国のITバブルのときには、「IT(インターネットなどの情報通信)は夢の技術だから、IT関連の株価が高いのは当然だ」という人が多かったですね。
それとくらべると、今次局面では特段の新しい話は聞かれません。「新型コロナが収束するまで金融緩和が続くだろうから、株価が下がることはなさそうだ」といった程度で、「今回は違う」というわけではないですね。
指標2:資産価格が高騰しても金融の緩和が続いている
通常、株価や地価といった資産価格が高騰するのは景気がいいときです。たとえば平成バブルのときには、「日本経済は世界一だ」という陶酔感が株価を押し上げると同時に、設備投資なども増やしたわけです。
また、値上がりした株を売って贅沢する人などが出てくることで、高騰自体が景気をさらによくする場合も多いでしょう。
景気が過熱するとインフレ懸念が出てくるので、金融の引き締めが行なわれ、それによってバブルが崩壊するのが普通です。したがって、バブルが発生しても拡大する前に自然と潰れるので、普通はバブルか否かを論じる必要はないのです。
しかし、バブルが拡大しても金融が引き締められない場合があります。平成バブルのときには、プラザ合意後の大幅な円高で輸入物価が下がったので、景気が過熱してもインフレ率が高まらず、日銀が引き締めをしませんでした。そこでバブルが拡大を続けることができたわけです。
ITバブルのときも、インターネットによって仕事が効率化したのでインターネットを活用している会社は値上げをせずにすみました。そのため景気がよくてもインフレ率が高まらず、金融の引き締めが行われなかったのです。
今次局面では資産価格が高騰しても金融が緩和されたままですが、今回は景気が過熱しているわけではなく、「景気が過熱しても金融が引き締められていない」というわけではありませんから、第二の指標はバブルか否かの判断材料として使えませんね。
指標3:初心者が大量に市場に参入してくる
それまで株式投資にまったく興味を示していなかった人々が大挙して投資を始めるのも、バブルの特徴だといわれています。たしかに平成バブルのときは、たまたまNTT株の売り出しがあったこともあり、株式市場には大量の初心者が参入してきました。
米国の大恐慌前のバブルのとき、靴磨きの少年が株の話をしているのを聞いたある大富豪が「これはバブルだ」と判断して持っている株を全部売ったといわれています。
今次局面でも、米国ではロビンフットという株式投資アプリを使って投資をする若者が急増しているそうなので、3つ目の指標には当てはまっているのかもしれません。
指標4:当事者が盛り上がる一方、周囲は醒めている
平成バブルのときは日本人が盛り上がっていましたが、海外では醒めた目で見ていた人が多かったようですし、ITバブルのときには米国人が盛り上がっていた一方、米国以外では醒めた目で見ていた人が多かったようです。
ITバブル当時、筆者は銀行で経済調査の担当をしていましたが、米国に出張して帰って来た人が次々と「米国経済はすごい。君も米国に出張すれば米国の凄さがわかる」というのを聞いて、「米国に出張すると熱病がうつるから出張したくない」と思ったものです(笑)。
今回は世界的な株価上昇ですから、日本と米国の温度差は小さいのかもしれませんが、株式投資をしている人としていない人の温度差、つまり当事者と部外者との温度差という観点からは、かなり温度差はあるのかもしれません。
「バブルの気配=投資をやめる」というのは少々短絡的
上記を総合的に判断すると、今次局面はバブルであるとはいい切れないですが、バブルの匂いが若干漂っていますから、今後これが本格的なバブルに成長していく可能性は否定できません。
「バブルの匂いがある」と聞くと、「バブルが崩壊して大損をするのは嫌だから、投資はしない」と考える人も多いでしょうが、筆者はそうは思いません。「大切な老後資金を株式投資で増やして豊かな老後を過ごしたい」と考えている人であればリスクを避けて静かにしているべきかもしれませんが、小遣いで賭け事を楽しみたいという人にとっては、大いに楽しめるチャンスかもしれませんから。
多くの人が怖がっているときには、美味しい案件が容易に手に入る可能性があるので、今後バブルが本格的に拡大していくチャンスに賭けてみるというのも、期待値的には(確率的には)面白いかもしれません。もちろん、くれぐれも小遣いの範囲内で、ですが。
あとは、積立投資をしている人は、バブルかもしれないと思っても積み立てを続けましょう。積み立てをやめてしまうと、あとから振り返ってバブルでなかったという場合、残念な結果になりかねないからです。
そもそも積立投資のいい点は、「初心者は株価を予想すると間違えるから、予想せずに積み立てる」というところです。そのため、「バブルか否かを判断してバブル崩壊を予想し、積み立てをやめてしまう」という行動が、積立投資のメリットを損なうわけです。
もしもいまがバブルだとして、それが崩壊して株価が暴落したとしても、積立投資を続けていれば、暴落した安い値段で多くの株が買えることになります。結果、バブル期に高く買った分を補う利益が得られるかもしれないのです。
最悪なのは、バブルが崩壊して株価が暴落した時点で積立投資をやめてしまうことです。この世の終わりが来たかのように狼狽売りする人も多いですが、これこそ初心者の判断の誤りというものでしょう。せっかく決めたルールですから、淡々と積立を続けましょう。
今回は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、当然のことですが、投資は自己責任でお願いします。
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塚崎 公義