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円安攻防第3幕へ 「157円介入」の残像、天王山は米CPI

外国為替市場で1ドル=155円台後半までじわり円安が進む中、市場と政府の攻防は第3幕に突入する。2度目の為替介入があったとみられる157円近辺に迫ると市場参加者の脳裏には介入の「残像」がちらつき、いったん円安にブレーキがかかりそうだ。攻防の天王山は15日に発表される4月の米消費者物価指数(CPI)だ。結果次第では、再びドル円相場の変動が激しくなる公算が大きい。

対ドルでの円相場は10日、1ドル=155円台を中心に推移した。政府・日銀の為替介入観測に加え、米国の利下げ期待が再燃したことを受け、3日には一時151円台まで急騰したが、その後はじりじりと円安が進んだ。足元では156円を試す展開となっている。

  • >>430

    円の先安観は強い。日米金利差が開いた状況が続き、輸入企業など実需の円売り・ドル買い圧力も健在だ。スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は「日銀は利上げにそれほど積極的ではなく、13日以降もじりじりとドルの上昇が続くのがメインシナリオだ」と話す。

    このシナリオに沿った姿勢を強めるのが投機筋だ。一部のヘッジファンドが「リバースノックアウトオプション」と呼ばれるデリバティブ(金融派生商品)取引を仕掛けている。1ドル=160円など所定の水準に一度でも達すると無価値になる設計で、160円を超えない範囲で円安が進めば利益を増やせるという。

    野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から円安を想定する一方、介入への警戒感から円安の余地はそれほど大きくないとみた場合、こうした取引に賭ける動きが出る」と話す。

    一時1ドル=160円台を付けた後に1ドル=154円台まで急騰した4月29日を攻防第1幕とすれば、ニューヨーク外国為替市場で1ドル=157円台で取引されていた円相場が4円ほど急騰した局面は第2幕。2度の円買い介入とみられる動きを経てもじりじり円安が進む今は第3幕の攻防になる。

  • >>430

    駆け引きのテーマは、政府・日銀が介入に踏み切る防衛ラインだ。1回目の介入があったとみられる4月29日に市場が意識したのは160円。ところが2日に介入とみられる動きがあったのは157円台だった。政府・日銀が投げた「変化球」に、防衛ラインは160円とみていた市場は不意をつかれた。

    2回目の介入で新たな防衛ラインとして意識づけられた157円は市場に残像として残り、再介入のタイミングは見えづらくなった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは「24時間365日、祝日でも介入できるという意思表示だった。157円台からは介入が意識されて攻めづらくなる」とみる。

    介入への警戒感は一定の円売り抑止力にはなる。米シビラ・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、ロレンツォ・ディ・マティア氏は「介入のリスクがあるため、日本円の取引は難しい。158円以上では間違いなく介入するだろう」と予測する。157円の次に158円で介入すれば、介入水準への疑心暗鬼を増幅させる可能性がある。

  • >>430

    20カ国・地域(G20)や主要7カ国(G7)の枠組みでは為替介入は相場を特定水準で維持する目的ではなく、急激な相場変動をならすための「スムージング介入」に限定される。

    2日早朝の2度目の介入とみられる動きは、前日から円相場が157円台後半で安定的に推移するなかで起きた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で追加利上げについて「可能性が高いとは思わない」と発言し、やや円高に振れた直後だった。直前に急激な円安進行があったわけではなく、市場参加者の不意をついたタイミングで、介入効果は高まったと言えそうだ。

    政府と市場の攻防が激しくなるなかで迎える今週の最大のイベントは、15日発表の4月の米CPIだ。現在の市場予想は3月(前年同月比3.5%上昇)より低い同3.4%上昇。4月が市場予想を上回り、インフレの長期化や再加速を印象づける結果が出てくれば、米国の利下げ観測が再び後退しかねない。そうなれば円安が再び進み、政府・日銀と市場の駆け引きは激しさを増す。

  • >>430

    半面、市場予想を下回れば米利下げ先送り懸念は後退し、米国景気のソフトランディング(軟着陸)期待が高まる。「152〜153円前後では(ドルに)押し目買いが入りやすい」(みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジスト)とみられ、円高の進行余地は限られるが、いったんは円安進行に歯止めがかかる可能性がある。

    日銀の植田和男総裁は4月26日の金融政策決定会合後の記者会見で、円安について「基調的な物価上昇率に今のところ大きな影響を与えていない」と発言し、160円を超える円安進行のきっかけをつくった。5月以降は円安の影響を「十分注視していく」と話すなど、発言の軌道修正が目立つ。

    RBCブルーベイ・アセット・マネジメントの債券部門最高投資責任者、マーク・ダウディング氏は「介入は為替相場の動きを鈍らせることはできるが、それだけで大きな転換点にはならない。介入は日銀の政策行動でバックアップされる必要がある」と指摘する。政府と日銀が歩調を合わせ円安に歯止めをかける戦略を練ることができるかもこれからの焦点となる。