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【番外編】裏・メモ雑記とか♪の掲示板

>>62498

すると何か月かして、熊から連絡があり「開業しました」と。施術を受けたい旨を伝えると「往診で行かせてください」という。それ以後、月2回うちに来てもらうようになった。それで腰痛が大幅に改善した。

あるとき、冗談半分で熊に「弟子入りしたい。教えてくれるか?」すると、「教えます。ただ、この業界、とりあえず免許があったほうがいいです」ということで、料理人をしながら専門学校に通い、鍼灸師の免許をとった。それが51歳のこと。
当時フランス料理店をやっていて、夜だけオープンの店だったから、昼間は空いている。空いてた部屋に折りたたみベッドを置いて、すぐに開業届を出した。
熊のところは開業して以後、たちまち評判になった。「難病が治った」との口コミが広がり、今や予約のとれない人気店になっている。

熊に弟子入りしたとはいうものの、彼は手取り足取り教えるタイプではないし、そもそもこの世界、教えたからといってできるようになるものではない。熊の流儀は脈を細かくとりながら施術していくスタイルなんだけど、術者の感性が大事。マニュアルで「こういうときにはこうする」的なものではないんだ。だからどうしても、「見て盗め」とか「考えるな。感じろ」という教え方になる。熊には私以外に何人も弟子がいたけれども、みんなやめていった。

  • >>62499

    鍼灸師になった当初は、漠然と「将来的には60歳になれば飲食店をたたんで、治療家としてやっていこう」と思っていた。でも東北の地震があって、人生観が変わった。そんな悠長ではいられないと思って、2011年飲食店をやめて今の鍼灸院と漢方薬店を開業した。

    当初は、熊から教わった流儀で、肩こりや腰痛をメインにやっていたけれども、本当に治してしまうので、こういうお客さんは治ったら来なくなる。当たり前の話だけど。でもこれでは、正直経営的にきついんです。

    そんなとき、肩こりや腰痛で通っている若い女性から「妊娠した」という報告をぽつぽつ受けるようになった。たとえば、そのなかのひとりの女の子は、かなり不摂生で、毎日の食事は乱れていて酒もよく飲む。その子が「私は卵管がつまってる。妊娠したいなら、まずその卵管のつまりを治さないといけない」と産婦人科医から言われた。でも「私は子供は要らないから別につまったままでもいい」と。でもその子が3か月後に「妊娠しました」と。

    そんな妊娠報告が続いて、妊活専門を標榜することを意識し始めた。妊娠というゴールを目指して、定期的に通ってもらえる。それはうちの経営的にはありがたいことだけど、もちろんそれだけじゃない。目的は「体の不調を治す」ではなくて、「この世界に新しい命を迎え入れる」ことなんです。その手伝いをすることに、この上ないやりがいを感じるようになった。