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写真中央がマリーヌ・ルペン候補(写真:ロイター/アフロ)

ドル円は4月11日の海外市場で約5カ月ぶりに110円ちょうどを割り込み、円高が進んだ。4月以降、米国によるシリア空爆や北朝鮮問題などを受けて、金融市場で地政学リスクが意識されるようになった。

4月16日には北朝鮮が弾頭ミサイルを発射。ミサイルは直後に爆発し失敗に終わったが、米ホワイトハウスは「もし核実験が行われていたら、米国は別の行動を取っていた」と表明するなど、緊張は高まっている。

市場は地政学リスクをまだ深刻に捉えていない

通貨オプションの「リスクリバーサル」では、通貨を売る権利(プット)と買う権利(コール)の価格の傾きを見ることで、「売り」と「買い」のどちらのオプションの需要が高いかを知ることができる。

ドル円の1カ月物のリスクリバーサル(25デルタ)をみると、4月に入ってからドルプット・オーバー、つまりドルプット=「ドルを売る権利」のほうが、買う権利より価格が高い状態となり、その傾きは4月初旬の1.0%から、2.9%程度に拡大した。これは、オプション市場でドル売り・円買いの権利の需要が高くなっていることを示しているが、プット・オーバーの水準は、2016年6月の英国民投票(3.45%)、2016年11月の米国大統領選挙(3.21%)に比べれば小さい。

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また、興味深いのは、3カ月物には特に変化がみられないことだ。短期的な円高リスクに備える動きは徐々に現れはじめているものの、トレンドとして円高・ドル安が継続するとの警戒感が高まっている様子はみられない。

また、別名「恐怖指数」ともいわれるVIX指数(S&P500指数のオプションのボラティリティーをベースに算出される指数)は、足元じわり上昇しているものの依然15前後で推移しており、「総悲観」の基準といえる20を超えてはいない。どうやら、地政学リスクはまだ、主要なリスク要因として深刻に捉えられはていないようだ。